Beyond Pesticides, 2006/02/10
コネティカット州の公園 農薬不使用宣言
予防原則に基づくプレインビル町議会決議


情報源:Beyond Pesticides, Daily News, February 10, 2006
Connecticut Park Goes Pesticide-Free
http://www.beyondpesticides.org/news/daily.htm

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2006年2月14日


 2006年2月6日、コネティカット州プレインビル町議会は満場一致(7-0)で、37エーカー(約150,000m2)のパデレウスキー公園の全てで農薬と化学肥料を使用しないことを採択した。この町では初めて、有機緑地プログラムがパデレウスキー公園の球技場でも実施される。プレインビルの町は農薬使用の代替を推進する自治体のリーダーである。”最終目標は町の所有地を全て農薬不使用とすることであり、したがってパデレウスキー公園決議の意味は大きい”と保全委員会のメンバーであるジェイソ・ルパカは述べた。

 パデレウスキー公園決議は、農薬不使用の決定のベースとして予防原則を引用している。予防原則は、”ある行為の結果は不確かであるが、重大な又は不可逆的な有害影響の可能性があるなら、その行為は避けた方がよい”−という考えである。その決議はまた、芝生での化学物質使用を禁止する理由として、農薬と肥料の流出の影響を引用している。

 ニュー・ブリテイン・ヘラルド紙によれば、このプロジェクトは、うまく機能するかどうか、他の施設でも実施できるかどうかをみるために、有機緑地プログラムのパイロット・プログラムとして実施される。この決議を町議会に提議した議会のメンバー、カービー、ディーガンは、パデレウスキー公園は、つり用の池、遊び場、球技場のある家族公園なので、このプロジェクトを開始するのによい場所であると述べた。”農薬を排除することは環境のためにも住民のためにも間違いなくよいことである”−とディーガン氏はニュー・ブリテイン・ヘラルド紙に述べた。”我々全ては程度の差はあれ環境についての懸念を持っている。話を聞けば聞くほど、私はかかわりが深まる。”

 プレインビルの地域で不必要な農薬使用に対し住民が取った措置は、プレインビルで初めての事例ではない。2005年7月、プレインビル町議会は芝生と庭園での農薬及び合成肥料の自主的不使用を支援する決議を採択している。それ以来、46人の住宅所有者が”自由芝生イニシアティブ”を結成し、私有地15エーカー(約60,000m2)を農薬不使用ゾーンとすると約束した。

 ニュー・ブルリテイン・ヘラルド紙によれば、ルパカ氏が率いるこのイニシアティブは、芝生管理用農薬の使用はヒトのある種のがんと先天性障害、及び動物の奇形又は死亡のリスク増大に関係しているという米疾病管理予防センター(CDC)を含む情報源からの証拠に基づいている。

 2003年、カンサス州ウィッチトー市は、同市の105ある公園のうち10の公園を農薬不使用にした。それはカンサス州ローレンス市を習ったもので、そこではそれに先立つ春に、3つの公園で合計12エーカー(約50,000m2)を農薬不使用と指定した。ワシントン州シアトル市では2001年に6つの公園が農薬不使用となった。



 我々は、人間の活動は危険を伴うかもしれず、人々は最近の歴史が示す事例に鑑み、もっと注意深くしなくてはならないということを認める。企業、政府、組織、地域、科学者、そして全ての個人は、全ての人間の活動に対し、予防原則を採用しなくてはならない。

 ある行為が人の健康又は環境に対する危害の恐れを引き起こす場合には、たとえ原因と結果の関連が科学的に十分には確立していなくても、予防的措置がとられなくてはならない。(予防原則として知られている。)

 連邦政府農薬登録は安全を保証していない。

 農薬の定期的な使用は、望ましくない害虫を駆除してくれるかもしれない益虫や健康な生物をも殺す。言い換えれば、農薬は自然の営みのバランスを崩す。

 芝生と庭園は、非点源流出で見出される窒素の11%を占める。また、殺虫剤は、農業用水よりも都市の川の方がより高い濃度でしばしば、そして通常、見出される。

 窒素ベースの肥料は、異常な量の酸化窒素を大気に放出し、地球温暖化の原因となる温室効果をもたらす。

 我々が2001〜2002年の冬に経験したような旱魃が非点源汚染を濃縮し、将来の嵐の時にもっと大きな影響を及ぼす。

 土壌の改良と水分保持のための培養土(堆肥)を加えることによって有機芝生と有機庭園を維持し、より深い根を張らせれば、それだけ手入れも水やりも少なくてすむ。

 従って、プレインビルの町民の健康、彼らの水、環境、そしてロングアイランドサウンドは、パデレウスキー公園における化学肥料と農薬の使用による影響を受けることなく利益を享受するであろう。そして町議会は全ての町民が自主的に化学肥料と農薬の使用を自制し、芝生の有機管理を行うことを奨励する。


化学物質問題市民研究会
トップページに戻る