エコロジー・センタ プレス・リリース 2005年2月23日
米自動車メーカー 安全なプラスチック使用で落第点に近い
トヨタが自動車産業界のリーダーに


情報源:Ecology Center, Press Release February 23, 2005
U.S. Automakers Receive Near Failing Grades
on the Use of Environmentally Safe Plastics in Cars
Toyota Emerges as Industry Leader
http://www.ecocenter.org/releases/20050223_autoplastics.shtml

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2005年3月19日


車に使用されている石油化学由来のプラスチックにより、有毒化学物質が埋立処分場から漏れ出す、車内で人が危険な毒気に曝されるという懸念が高まっている

プレス・リリース 2005年2月23日

【アン・アーボー、ミシガン】 ミシガンを拠点とするエコロジーセンターがクリーン・プロダクション・アクションの協力を得て、本日発表した報告書によれば、アメリカの自動車産業は、リサイクルできる安全なプラスチックの使用で落第に近い評価点がつけられた。アメリカでの販売上位6社の、環境負荷の少ないプラスチックを使用するという公約の実施状況が採点された。

 1960年以来、車に使用されるプラスチックの重量パーセントは0.6%から2003年の7.5%まで増加し、アメリカだけで年間使用量が43億ポンド(約200万トン)に達している。報告書によれば、全ての自動車メーカーは、まだ石油化学由来のプッラスチックに大きく依存しており、それらのプラスチックの多くが製造過程、自動車使用中、及び廃棄処分において有毒化学物質を排出し、リサイクルも難しい。塩ビは持続可能でないプラスチックの最悪の例である。車のダッシュボードから外装品に至るまで使われている塩ビは、石油と塩素から作られ、有毒な添加剤を含んでおり、リサイクルが難しく、燃やすとダイオキシンやフラン、塩化水素を発生する。

 ”残念ながら、今日、車に使用されているプラスチックは、公衆の健康と環境に悪い有毒化学物質を排出する。しかし、よいニュースもある。それは、より安全で毒性のより少ないプラスチックが容易に入手できるということである。アメリカの自動車メーカーはそれらを使う必要がある”と報告書の主著者でありクリーン・プロダクション・アクションの研究ディレクターであるマークロッシ博士(MIT)は述べた。

 この報告書は、アメリカでの販売上位6社であるダイムラー・クライスラー、フォード、ジェネラル・モーターズ、ホンダ、ニッサン、及びトヨタをプラスチックに関連する17の環境項目について採点評価した。持続可能なプラスチックは、有毒化学物質を含まない、リサイクルできる、再生可能な原料から製造される−として定義された。トヨタは評価グレードCで1位であり、フォード、ダイムラー・クライスラー、及びジェネラル・モーターズは最低評価に位置し、評価グレードはDであった。

 ”トヨタは、より安全で環境負荷の少ないプラスチックを彼らの車に使用している点で明らかにトップであり、アメリカの自動車メーカーが学ぶことのできる多くの工夫を行っている。しかし、首位のトヨタの評価グレードがCであったという事実は、まだ多くの改善の余地があることを意味している”とエコロジー・センター自動車プロジェクト・ディレクターのチャールス・グリフィスは述べた。

 同報告書は、いくつかの海外の自動車メーカーは、持続可能なプラスチックの領域でアメリカのメーカーより進んでいるが、これはアメリカ政府がリサイクル要求と有毒化学物質の排除という点で日本や欧州連合より遅れているからであると指摘している。GMはオペルやヴォクスホールなどのヨーロッパの関連会社を通じて、持続可能なプラスチックをもっと使うようにしていることを認めている。

 ”それはダブル・スタンダードである。なぜ、ヨーロッパのGM車はアメリカのGM車より安全で環境負荷が少ないのか? 自動車メーカーは世界中で等しく、環境的に安全なプラスチックを消費者に提供する必要がある”とグリフィスは述べた。

 同報告書は持続可能なプラスチックへの進捗は全体に遅いことを指摘しているが、産業界の積極的な転換の事例をも見出している。トヨタは総合的な持続可能プラスチック計画に向けて最も進捗を上げている。トヨタは再生可能な原料から作られる一つのプラスチックと、”クローズ・ループ”リサイクルで再び同じ製品にすることができるもうひとつのプラスチックを開発した。トヨタはまた、持続可能なプラスチックのための明確で総合的で測定可能な目標を設定し、塩ビの使用を削減することを公約した。

 同報告書は、自動車メーカーに対し、持続可能なプラスチックの多用を達成するよう、下記を含む勧告を行った。
  • 世界中でで持続可能なプラスチックを使用することを公約すること
  • 持続可能なプラスチックに向けて測定可能な目標を設定し、世界に向けてその進捗を報告すること
  • 廃棄自動車の処分方法としての焼却を止めること
  • 自社のウェブサイトに持続可能なプラスチック使用についてのより良い情報を掲載すること

 地域や全国レベルの多くの環境団体が、自動車メーカーに、この報告書の勧告を受け入れ、塩ビ使用の廃止を公約することを求めるエコロジー・センターとクリーン・プロダクション・アクションの呼びかけに参加した。

持続可能なプラスチックへの
最終評価結果
メーカー全項目平均点とグレード
トヨタ2.1 (C )
ホンダ1.3 (D+)
ダイムラー・クライスラー1.2 (D+)
フォード1.2 (D+)
ニッサン1.1 (D )
GM1.0 (D )


報告書のコピー及び他の関連資料は下記エコロジーセンターのウェブサイトで入手可能である。
Press Release
http://www.ecocenter.org/AutoPlasticsRelease.pdf
Full Report
http://www.ecocenter.org/auto_plastics_report.pdf
Executive Summary
http://www.ecocenter.org/auto_plastics_exec.pdf
Report Card Overview
http://www.ecocenter.org/report_card_overview.pdf
Report One-Pager
http://www.ecocenter.org/ReportOnePager.pdf
Letter to Automakers
http://www.ecocenter.org/LettertoAutomakers.pdf

 エコロジー・センターは地域の非営利環境団体であり、健康な地域共同体、クリーンな製品、及び、持続可能な製造のために活動している。
http://www.ecocenter.org/
 クリーン・プロダクション・アクションは、クリーン・プロダクション政策の技術的支援を展開し構築するために、世界中の環境団体、公衆健康団体、労働組合、及び地域団体と連携して活動している。
http://www.cleanproduction.org/AAbase/default.htm

詳細については下記に連絡してください。

Charles Griffith, Ecology Center Auto Project Director 734-663-2400, ext. 116
Jeff Gearhart, Ecology Center Campaign Director 734-663-2400, ext. 117
Claudette Juska, Ecology Center Auto Project Coordinator 734-663-2400, ext. 118; 248-467-9532 (cell)


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