イギリス環境・食糧・地方事業省ニュス・リリース
火葬場から発生する水銀を半減させるための措置を発表


情報源:Department for Environment, Food and Rural Affairs(DEFRA)
News Release January 10, 2005
MERCURY FROM CREMATIONS TO BE HALVED
http://www.defra.gov.uk/news/2005/050110a.htm

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2005年2月1日


 火葬場から大気に排出される有毒な水銀の量を半減させるための措置が本日、イギリス政府によって発表された。
 大気及び水中に蓄積する水銀は、脳、腎臓、神経系、そして胎児に害を及ぼす。
 火葬場からの水銀の排出は歯の詰め物に由来するもので、イギリス全土の水銀排出の16%を占めるとされている。何も対策を講じなかった場合,2020年までに、66%程度の増加が見込まれている。

 新たな政府の規制指針は、全ての火葬場は2012年までに水銀排出を50%に削減するための装置を設置するよう求めるものである。
新設の火葬場は水銀抑制装置が設置されねばならないが、年間火葬件数が750以下の火葬場は2012年までにこの要求を満たせばよい。
 オーストリア、ベルギー、ドイツ、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、スイスなどの国々では、すでに火葬場からの水銀排出の規制措置をとっている。
 イギリスは,重金属(カドミウム・鉛・水銀)の排出制限に関する国際条約である”重金属に関するオーフス議定書”(UN Protocol on Heavy Metals)にも署名しいる。イギリスは、水銀排出レベルを1990年のレベル31.6トン以下にするという責務のひとつを2002年に果たして8トンまで削減した。

 環境大臣ラリー・ウィッティは、「このままでは、2020年までにイギリスでは火葬場が水銀排出の最大の汚染源となるであろう。何か手を打たなければならない。我々が熟慮して決めたことは、火葬場に課されるコストについての懸念と、人間の健康及び環境を脅かす物質の排出規制の必要性についてのバランスを勘案することであった」と述べた。

記者への補足:

 イギリス火葬公共事業連合と火葬事業協会は、全国規模で共同で問題解決に当たる作業を展開しているが、50%削減要求を満たすどのような工夫をも火葬場が共有することが奨励される。
 水銀排出と火葬場に関するこれまで2回行われたパブリックコメントの内容は下記ウェブサイトで見ることができる。
 http://www.defra.gov.uk/corporate/consult/crematoria/index.htm
 http://www.defra.gov.uk/corporate/consult/crematoria-two/index.htm

新たな指針は下記ウェブサイトから入手できる。
 http://www.defra.gov.uk/environment/airquality/lapc/aqnotes/aq01(05).htm

”重金属に関するオーフス議定書”は3つの特定の有害金属:カドミウム、鉛、水銀を対象としている。基本的な責務のひとつは、これら3つの金属の排出を1990年レベル以下にすることである。
イギリスは下記を達成した。
水銀排出1990年:31.6トン 2002年:8.0トン
カドミウム排出1990年:20.3トン2001年:5.1トン
鉛排出1990年:2780トン2001年:194トン

詳細な情報については下記ウェブサイトを参照のこと。
http://www.unece.org/env/lrtap/full%20text/1998.Heavy.Metals.e.pdf


訳注:オーフス議定書関連情報

■Press Release ENV/DEV/748 L/T/4381 23/12/2003
PROTOCOL ON HEAVY METALS ENTERS INTO FORCE, NEW WORK ON PERSISTENT ORGANIC POLLUTANTS AGREED

■EICネット-海外ニュース 2003.10.04
重金属に関するオーフス議定書を批准


化学物質問題市民研究会
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