イギリス環境・食糧・地方事業省 (DEFRA) ニュースリリース
英政府 ノニルフェノール、オクチルフェノールの利用削減を目指す
産業界の自主的プログラムを発表


情報源:Department for Environment, Food and Rural Affairs
NEWS RELEASE, 15 October 2003
REDUCING RISKS FROM HAZARDOUS CHEMICALS
- VIEWS SOUGHT ON VOLUNTARY ACTION

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2003年11月7日


 イギリス政府は、広く使用されている多くの化学物質に関連するリスクに対応するための産業界の自主的プログラムに関する提案について発表した。

 提案に含まれるノニルフェノールとエトキシル酸ノニルフェノールは、産業用及び家庭用の洗剤、繊維や皮の製造プロセス、金属加工、身体手入れ用品、及び化粧品などに広く利用されている。
 また、この提案は、同じような、しかしそれほどは広く使われていないオクチルフェノールとエトキシル酸オクチルフェノールにも適用される。

 ノニルフェノールとエトキシル酸ノニルフェノールの供給者は彼らの顧客であるこれらの化学物質を使用する産業ユーザーとともに、より安全な代替物質を見つけることを提案している。
 ユーザー産業界は、最も危険なノニルフェノール、オクチルフェノール及びそのエトキシル化合物の使用ををできるだけ速やかに、遅くとも2004年末までに段階的に廃止することを提案している。

 政府は、この提案にまだ参加していないこれらの化学物質のユーザーや供給者に参加への同意を呼びかけ、全ての関係者に見解を求めている。

 この提案は、 EU の立法によるリスク制限の進捗が非常に遅いので自主的な行動が必要であるとする、独立系 ”イギリス化学物質関係者フォーラム (UK Chemicals Stakeholder Forum )”によってなされた。

 産業界や環境団体など幅広い組織の代表者たちからなるこのフォーラムは、これらの物質が残留性、有毒性及び生体蓄積性の懸念に対する基準に合致していること、及びそれらが環境に著しいリスクを及ぼすことを指摘している。
 ノニルフェノールとオクチルフェノールは、また、内分泌かく乱化学物質である。オクチルフェノール及びそのエトキシル化合物はノニルフェノール及びそのエトキシル化合物ほどには広範に使用されていないが、同じような特性を持っているので、それらの代替物として使用される可能性があり、従って環境曝露として同様な危険性がある。

 ノニルフェノールとそのエトキシル化合物は、2005年には EU の新規制の対象予定であるが、今回の提案は、オクチルフェノール及びそのエトキシル化合物については EU の規制予定がまだ決定されていない現在の段階において、特にオクチルフェノール及びそのエトキシル化合物について貴重である。

 食糧・地方事業省 (DEFRA)大臣アルン・マイケルは、彼らの早急な行動を評価してこの提案を歓迎した。彼は、次のように述べている。
 「私は、このように産業界の多様な分野が参集し、環境へのリスクについての懸念に対し早急な行動をとることに合意することができたことについて大変うれしく思う。私はそれらが政府と関係者によって共有されていることを知っている。私は、これらの提案に織り込まむためになされた努力とその決定に対し、お祝いと感謝の言葉を申し上げる。私は、この活動をスタートさせ、多くの会社・団体にこの活動に加わるよう働きかけるための労をとった "UNIQEMA" と ”化粧品、トイレタリー、香水協会” に対し特に感謝いたしたい」。

 「このようなやり方で共同作業を行っていくことは、今後の自主的な合意にとって重要なだけではなく、現在準備中の将来のEU立法の要求に対して産業界が準備することができる」。



記者への参考
  1. ”化学物質関係者フォーラム”は政府に対し、ノニルフェノールとそのエトキシル化合物のリスクを規制する EU の立法準備に時間がかかっていることを受けて、早急な自主的行動を起こす必要性があることを勧告した。
     フォーラムは同様な化学物質であるオクチルフェノール及びそのエトキシル化合物が、代替物として使用されれば、同様なリスクを引き起こすことを恐れて、そのことを防ぐ自主的な行動を勧告した。

  2. フォーラムの勧告は、すでに EU 加盟国によって合意されリスク削減戦略に基づいている。EU の立法もこの戦略に基づくであろう。

  3. 政府はフォーラムの勧告を受け入れたので、ノニルフェノールとそのエトキシル化合物の使用を制限する ”市場出荷と使用”の立法に関する交渉が予想よりかなり速く進んだ。理事会指令76/769/EEC を26回修正した指令2003/53/EC が2003年7月17日に発表された。従って、 ”市場出荷と使用指令 ”は2005年7月17日から実施される。

  4. 自主的な行動は、これらを業界が早期に使用制限し、オクチルフェノール及びそのエトキシル化合物を代替物として使用されることを防ぐことを狙いとしている。

  5. 提案の詳細、協議文書、及び、規制影響評価は次のウェブサイトで見ることができる。
    Action to Control the Risks from Nonylphenol, Octylphenol and their Ethoxylates

  6. ”市場出荷と使用”指令は次の欧州委員会のウェブサイトで見ることができる。
    Recently adopted Amendments or Adaptations


化学物質問題市民研究会
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