イギリス食品基準局 メカジキ、フカなどの水銀汚染に注意を喚起
情報源:Environment News Service (ENS)
LONDON, United Kingdom, May 13, 2002
Mercury Food Alert Issued for Swordfish, Shark
http://ens-news.com/ens/may2002/2002-05-13-01.asp
掲載日:2002年5月19日



 イギリス食品基準局(UK Food Standards Agency)は、フカ、メカジキ、マカジキなどの水銀による汚染レベルは高いので、妊娠中あるいは妊娠しようとしている女性、乳児、16歳以下の子どもは、これらの魚肉を食べない方がよいと警告を発した。

 同局は、336種の生身、冷凍、及び加工した海の魚貝類の水銀汚染濃度を調査したところ、フカ、メカジキ、マカジキ以外の魚貝類の水銀汚染濃度は特に問題がないことがわかった。

 フカの水銀濃度は最も高く、メカジキの水銀濃度もほぼ同レベルであった。
 マカジキの水銀濃度は幾分低かったが、それでもこれらの魚類に次ぐ汚染濃度のオレンジ・ラフィ(orange roughy)の2倍の濃度であった。

 この警告は、アメリカ食品医薬品局(FDA)が2001年1月に出した勧告と同様なものである。FDAの勧告は妊娠中の女性及び妊娠適齢の女性はフカ、メカジキ、サバ、及びタイルフィッシュなどを食べないようにというものであった。FDAはまた授乳中の母親と幼い子どもこれらの魚を食べないようにと勧告している。

 カナダ保険局も、カナダ人はフカ、メカジキ及び生身または冷凍のマグロを食するのは1週間に1回程度に、さらに妊婦、妊娠適齢女性、及び子どもは1カ月に1回程度に制限するよう勧告している。

 すべての魚は大なり小なりメチル水銀で汚染されていたが、「食物連鎖で上位に位置する大型魚ほどメチル水銀の体内残留が多くなる。しかし、今回の調査においては、汚染度に問題があるのは3種類の魚、フカ、メカジキ及びマカジキだけであるということがわかった」とイギリス食品基準局は述べた。

 メチル水銀は動物だけでなく人間に対しても神経毒であることが知られている。メチル水銀は胎児の神経系を冒す。また、乳児や子どもはその体重当たりの食物摂取量が大人よりも多いので、水銀による危険度が高くなる。

 妊娠中に高濃度の水銀を摂取すると胎児の神経系が影響を受け、幼児期に注意力や記憶力、運動機能に関する問題を生ずることがあるとしている。
 成人の場合、水銀中毒の最初の兆候は膚のむず痒さとひりひりした痛みである。もし水銀濃度が非常に高くなければ、これらの症状は一時的なものであると同局は述べている。

 バランスのとれた食事をしているのなら、たまにフカ、メカジキ、マカジキを食しても特に問題は生じないが、予防措置として、週に1回を超えて食べないよう勧告している。

 水銀は土壌中や岩石中に、そして湖沼、河川、海洋中に自然に存在する金属である。水銀は、これら自然界に存在するもののほかに、パルプ・製紙工業、鉱工業、ごみ焼却、化石燃料の燃焼等、人間の諸活動によっても環境に放出される。

 食品、消費財及び環境中の有毒化学物質に関する独立専門家委員会( The independent expert Committee on Toxicity of Chemicals in Food, Consumer Products and the Environment)は6月の会合でこの調査結果について検討し、さらに必要な勧告を出すこととなっている。 (訳: 安間 武)


化学物質問題市民研究会
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