『美に隠された危険』プレスリリース
マニュキア液の危険成分に関する警告

フタル酸ジブチル(DBP)と女性と先天的障害との
関連について懸念が深まる
情報源:Environmental Working Group (EWG) プレスリリース
WASHINGTON, November 28, 2000
Researchers Warn Consumers About Hazardous Ingredient In Nail Polish
Growing Scientific Concern About Dibutyl Phthalate (DBP),
Reproductive Age Women and Links to Birth Defects
http://www.ewg.org/pub/home/reports/beautysecrets/pr.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2000年12月3日

 非営利の環境研究団体であるエンバイロメンタル・ワーキング・グループ(EWG)は、出産適齢女性の体内に見出され、出産児の先天的障害との関係が疑われているフタル酸ジブチル(DBP)を含む化粧品類に関する消費者への警告書、『美に隠された危険 (Beauty Secrets)』を発表した。

 今秋のアメリカ疾病管理予防センター(Centers for Disease Control - CDC)の研究で、調査した全ての独身者の体内からDBPが検出され、特にその危険性が問題となる出産適齢の女性が最も高濃度であったために、DBPの危険性に関する科学的な懸念がにわかに高まってきた。

 DBPは深刻な先天的障害を引き起こすことが動物実験でわかっているので、出産適齢女性に対する影響を科学者たちは懸念している。動物実験によれば、DBPは男性生殖機能の発達に関するほとんど全ての身体組織に異常をもたらす可能性がある。それらの異常には、睾丸萎縮、睾丸欠損、精子数の減少などがある。

 連邦政府の法律には抜け穴があり、化粧品メーカーは危険性に対するテストも要求されず、無制限にDBPのような化学物質を化粧品に入れることが許されている。EWGの調査によれば、現在市場に出回っているマニュキア液の約3分の1にDBPが含まれており、他の化粧品類にも同じように含まれている。

 「化粧品について消費者は用心しなくてはならない。妊娠を希望する女性、妊娠中または授乳中の女性はDBPを含む製品は避けた方がよい」とEWGのシニア・アナリストで『美に隠された危険』の主著者、ジェーン・ホーリハンは述べた。

 消費者にとってどの製品にDBPが含まれているのかわかりやすくするために、EWGは店頭及びインターネットで製品を実際に購入し、また特許庁で特許申請記録を調査して、DBPを含む製品を調べ上げた。それによれば:

  • L'Oreal, Maybelline, Oil of Olay, CoverGirl などの有名ブランドを含むポピュラーなマニュキア液、トップコート、硬化剤などの37品にDBPが含まれていた。(テーブル1参照
  • 特許申請記録によれば、シャンプー、コンディショナー、ローション、育毛剤、発汗抑制剤、日焼け止め剤等を含む広範囲の化粧品やパーソナル・ケア製品でDBPを使用している。
  • 多くの主要メーカーが化粧品や関連製品にDBPを使用している。EWGが調査した100以上の特許申請記録によれば、プロクター&ギャンブル社が最も多く、37のパーソナル・ケア製品にDBPを使用している。その他のメーカーとしてはL'Orealが10、Lever Brothers が4、Maybellineが3の製品にDBPを使用している。
 国家毒性計画(CDC)は、若い女性がDBPに暴露するルートの1つは化粧品とパーソナル・ケア製品であるとしている。DBPは、マニュキア液が乾燥した時に均一な膜となるよう、液を混合したときに均一の濃度となるよう、そして化粧品が肌によく浸み込むよう添加される。DBPはそれを含む製品を塗った肌からの吸収、または肺への吸入によって体内に取り込まれる。

 EWGは非営利の環境研究団体であり、ワシントンDC、ワシントン州シアトル、カリフォルニア州オークランドにオフィスがある。『美に隠された危険 (Beauty Secrets)』の全テキストはEWGの下記ウェブサイトで入手可能である。
http://www.ewg.org/

(訳:安間 武)

化学物質問題市民研究会
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