SAICM 実施計画策定の
公開と市民参加の要望と
環境省の回答

(PDF版)

化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2007年5月12日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/iken/2007/SAICM_070512.html


 2006年2月6日、ドバイでの国際化学物質管理会議(ICCM)で採択された国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)の実施に関し、環境省のウェブサイト「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)関係省庁連絡会議」(http://www.env.go.jp/chemi/saicm/conference.html)では、国内実施計画の策定は関係省庁職員を構成員とする省庁連絡会議が行うとしており、これは市民の政策決定への参加及び情報公開という観点から全く不十分であると当研究会は考え、2007年4月20日付けで環境大臣宛に「SAICM 実施計画策定の公開と市民参加の要望」を出しました。 http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/iken/2007/SAICM_070420.html
要望項目:
  1. 国内実施計画は行政、識者、産業界及び市民の代表からなる策定委員会で策定すること
  2. 策定委員会は公開で行われること
  3. 策定委員会の資料は公表されること
  4. 途中経過及び最終結果はパブリックコメントにかけて国民の意見を反映すること

 当研究会の要望に対し、平成19年5月7日付けで環境省環境保健部環境安全課からこのページの最後に示す回答がありました。

 この環境省の回答は、最も重要な下記2点の要望項目を拒否しています。
  1. 国内実施計画は行政、識者、産業界及び市民の代表からなる策定委員会で策定すること
  2. 策定委員会は公開で行われること
 SAICMでは下記に示すように化学物質管理への関係者の参加が強く推奨されています。

ハイレベル宣言
18. 我々は、特に化学物質管理への女性の均等参加に努めるなど、社会のすべての部門にわたる透明性、公衆参加及び説明責任によって、効果的かつ効率的な化学物質管理のガバナンスに向けて取り組む。

包括的方針戦略
2. 地方、国家、地域、地球規模を含むすべての関連部門及び関係者の関与は、透明で開かれた実施プロセス、及び意思決定における公衆参加、特に女性の役割の強化などと同様に、SAICM の目的を達成する鍵となると考えられる。

世界行動計画
164 関係者の参加
化学物質管理への挑戦において考えられる反応や化学物質安全に関係する規制や意思決定の手続きにおいて、すべての段階で女性を含む幅広く意味のある関係者の参加を確実にするよう作業すべき

 国内実施計画の策定を行政、識者、産業界及び市民の代表からなる策定会議で行うのではなく、関係省庁職員を構成員とする閉ざされた省庁連絡会議が行うということは、SAICMの意図を無視するだけでなく、意思決定への関係者の参加という民主主義の基本的なルールにも反すると考えます。

「化学物質と環境円卓会議」の場でSAICMについて取り上げたことや、関係省庁連絡会議主催の「SAICMアジア太平洋地域会合に向けた国内フォーラム」を開催したということを環境省は強調していますが、そのようなことは国民に情報提供すべき国としての当然のことがらであり、”SAICM策定に関係者が参加”したことにはなりません。円卓会議やフォーラムは単なる情報提供/共有の場であり政策策定の場ではありません。

 国はSAICM国内実施計画に真摯に取り組み、関係者の参加の下にSAICM国内実施計画を策定するよう再度、強く要望します。


5月7日付環境省回答

化学物質問題市民研究会 御中

 環境保健行政の推進につきましては、日頃よりご理解を賜り、誠にありがとうございます。

 4月20日付「SAICM実施計画策定の公開と市民参加の要望」につきましては、以下のとおりお答えいたします。

 国際的な化学物質管理に関する戦略的アプローチ(SAlCM)については、我が国としても、平成18年4月に閣議決定された環境基本計画に位置づけるとともに、同月、政府としてこれを推進するため、関係省庁連絡会議を設置し、国内実施計画を策定することを決定したところです。今後、アジア太平洋地域会合や先進国グループ会合等を通じて諸外国の動向について情報収集しながら、策定作業を進めることとしております。

 関係省庁連絡会議では、実施計画の策定過程で、関係者との意見交換会を開催するとともに、案を公表して国民の意見聴取を行う旨合意しております。これに沿って、これまでも、市民、産業界、行政からのメンバーからなる「化学物質と環境円卓会議」の場でSAICMについて取り上げるとともに、本年3月、関係省庁連絡会議主催により、「SAICMアジア太平洋地域会合に向けた国内フォーラム」を開催しました。

 関係省庁連絡会議は、行政内部の連絡調整のための会議であるため、公開で開催することは考えておりませんが、関係資料については、できる限り公表していきたいと考えております。また、各界の意見を幅広く取り入れるべく、今後とも各種の会合を開催するとともに、実施計画案のパブリックコメント等を行いたいと考えております。
平成19年5月7日
環境省環境保健部環境安全課
〒100−8975 東京都千代田区霞が関1−2−2
電話03−3581−3351(代表)内線6358 FAX O3-3580-3596



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