EPA 健康安全ファクトシート
子どもを農薬から守る 2002年1月

情報源:EPA Health and Safety Fact Sheets
Protecting Children from Pesticides, January, 2002
http://www.epa.gov/pesticides/factsheets/kidpesticide.htm

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2006年5月5日

子どもたちは保護を必要としている

 子どもは多くの理由によりある農薬に対しリスクが成人に比べて高い。子どもの内部器官はいまだ発達中で未成熟であり、酵素、代謝及び免疫系は成人に比べて自然の保護力が小さい。人の発達中の”重要な時期”に有毒物質に暴露すると生物学的システムに変更が加えられる。子どもは大人に比べて異なる食物をしばしば摂取するので、ある農薬に対してより多く暴露する。

 例えば、子どもは一般的により多くのミルク、アップルソース、オレンジジュースなどを体重あたり成人よりも多く摂取する。子どもは一般的に農薬が使用されている床や芝生で遊んだり、口にものを持っていくなどの振る舞いのために、農薬に暴露するチャンスが増加する。

 農薬暴露の有害影響はめまいや吐き気など軽度のものから深刻で長期的な神経障害、発達障害、生殖障害まである。アメリカ人は、作物畑、家庭、職場、学校、公園、病院、その他の公共の場所で害虫を駆除するために毎年10億ポンド(約45万トン)以上の農薬を使用している。
  • 1996年、食品安全法(FQPA)は農薬のリスクから幼児と子どもを守るためにより厳しい基準を設定した。EPAはこれらのより厳しい基準を実施しているが、それらは農薬の幼児及び子どもへの影響を検討するときに発達リスクと不完全なデータ、及び幼児と子どもが受けるかもしれない農薬化学物質への特別な感受性と暴露を勘案して、追加的安全係数を含んでいる。

  • EPAは、子どもへのリスクを特定した時には措置をとってきた。例えば、1999年8月、EPAは、有機リン系(OP)農薬メチルパラチオンの主要な”子ども用食物”への使用の無効と、他の有機リン系(OP)農薬アジノホスメチルの著しいし使用制限を発表した。科学的データは、これらの農薬使用に対し、食品安全法(FQPA)の子どものための保護要求の特別措置の必要性を示している。

  • EPAは、全ての有機リン系(OP)農薬の残留基準を再評価している。有機リン系(OP)農薬に加えて、EPAは、アトラジン、アルジカルブ、及びカルボフラン、その他を含む優先的レビューのためのいくつかの高リスク農薬を目標にした。

  • 最初に、EPAは、子どもたちに対する影響(特に発達神経毒、急性及び亜慢性)をよりよく理解するために農薬に関する数百の追加調査を要求している。さらに、EPAは幼児と子どもに独特な要素を目標にした新たなテストとリスク評価方法を開発した。

  • EPAは、有機リン酸エステル類のようなより毒性の強い農薬に対するよりリスクの低い代替から成る多くの新たなより安全な農薬を近年登録した。

  • EPAは、全国の食品雑貨店に消費者情報冊子を配布し、食品中の農薬についての重要な情報を消費者に提供するために相互作用のウェブサイトを立ち上げた。http://www.epa.gov/pesticides/food

  • EPAは、近年、科学者らんによって表明されている化学物質は内分泌系−ヒトと動物の発達、成長、生殖、及び行動をつかさどる内分泌腺とホルモン−をかく乱しているかもしれないという懸念に向けたスクリーニング・テスト計画を実施中である。内分泌系のかく乱は生殖障害、先天性欠損症、免疫機能低下、その他有害影響をもたらすかもしれない。



化学物質問題市民研究会
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