ケムセック(ChemSec) 2010年11月10日
ケムセック 製品中の化学物質(CiP)に関する
情報につての UNEP 研究を実施


情報源:ChemSec 10 November 2010
ChemSec Carries out UNEP Study on Information on Chemicals in Products (CiP)
http://www.chemsec.org/news/news-2010/643-chemsec-carries-out-unep-study-on-information-on-chemicals-in-products-cip

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2010年11月29日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/saicm/news/Chem_Sec_101110_SAICM_CiP.html


 国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)の世界の枠組みの中で、ケムセック(ChemSec)が、電子製品中の化学物質に関する情報についての詳細な研究を実施することが決まった。

 ケムセックは、スタンフォード大学(米)、地球環境戦略研究機関(IGES)(日本)、及びダンウオッチ(DanWatch)(デンマーク)と協力して、電子機器の全ライフサイクルに関わる利害関係者と情報交換をするために現在の状態を明確にしようと努力している。これらは化学物質と材料の製造者、部品製作者、商標権所有者及び小売業者、消費者、回収業者及び電子廃棄物取り扱い業者を含む。

 この研究は、ライフサイクルの全段階で電子機器中の化学物質の安全な取り扱いのための能力向上を図るという包括的な目的の下に、異なる利害関係者が必要とする情報に目を向け、情報入手を改善するための勧告を行なうものである。

 研究の成果は、SAICM の意思決定機関である国際化学物質管理会議(ICCM)への勧告を開発するために重要であり、第3回国際化学物質管理会議(ICCM3)は2012年に開催される。ケムセックは2011年1月にこの研究の結果を発表する予定である。

SAICM CiPプロジェクトの背景

 2009年5月、ICCMの第2回会議(ICCM2)は、製品中の化学物質に関するプロジェクトを実施することに同意する決議を採択した。このプロジェクトは、ライフサイクルを通じて化学物質に関する情報の入手可能性に関して、SAICMの包括的方針戦略(環境省訳)のパラグラフ15(b)(訳注)の実施を促進するという全体的な目標を持っている。

(訳注):
15.(b)すべての関係者に対して、以下のことを確実にすること
(@)適切な場合には製品中の化学物質も含めた、化学物質のライフサイクル全体の情報が、すべての利害関係者たちにとって入手可能で、容易に利用でき、ユーザーフレンドリーであり、適正で適切であること。情報の適切なタイプは、化学物質の人の健康と環境への影響、それらの本来的な特性、潜在的な用途、防護措置と規制を含む
(A)そのような情報が、とりわけメディア、化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)のようなハザードコミュニケーションメカニズム、及び国際協定の関連条項を十全に利用することによって、適切な言語で普及すること


 ICCM2 は、2020年までに化学物質は人の健康と環境に及ぼす著しい有害影響を最小にする方法で使用され製造されるという SAICM の目標を満たすためにさらなる行動が必要であることを認めた。適切な共同行動をとるという観点をもって、同会議は製品中の化学物質に関する情報を改善するためのさらなる必要性を検討することに同意した。

 同会議は、国連環境計画(UNEP)に対し、このプロジェクトを主導し促進し、プロジェクトの開発と実施に関して助言するするための管理グループを設立するよう要請した。同会議はさらに、下記の作業が行なわれることに同意した。
  1. 規制、標準及び産業における実施など、しかしこれらに限らず、製品中の化学物質に関連する情報システムに関する既存の情報を収集しレビューすること。
  2. 全ての関連する利害関係者の必要に関連する情報を評価し、ギャップを特定すること。
  3. そのような情報に関し、SAICM の実施を促進する行動のための具体的な勧告を開発すること。
 UNEPは、このプロジェクトの実施とその成果に関して、2011年中頃のオープンエンド作業グループ及び2012年の ICCM3 に報告するであろう。

CiP 事例研究

 CiPプロジェクトの第一段階は、初期のプロジェクト活動の範囲を決定することであった。どの優先製品分野が最初に着目されるかを決定するために SAICM の利害関係者が調査対象となり、結果は2009年12月の範囲決定会議(Scoping Meeting )で検討された。

 これらの最初の協議に従い、利害関係者は、詳細研究が実施されるべき4つの主要な分野を特定した。すなわち、電子機器、繊維製品、建築資材、及びおもちゃである。2010年4月に、ケムセックは電子機器中のCiPに関する事例研究を実施するために選ばれた。

 この事例研究は、いくつかの主要な目的を持つが、それらは下記を含む。

  • この分野におけるCiP情報交換のための最先端のレビューを行うこと(また地域間の相違に目を向けること)
  • 選択された分野の異なる利害関係者のCiP情報の具体的な必要性を特定し、分野における情報の流れを描き出し、ギャップ分析を実施すること。
  • 情報提供と評価の障害を特定すること。
  • そのような障害を克服するのに役立つ可能性ある行動を探すこと。


訳注:参考情報


化学物質問題市民研究会
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