IPEN Press Releases SAICM 2009年5月15日
NGOs ナノに関する
第2回国際化学物質管理会議(ICCM2)の結果に失望


情報源:IPEN Press Releases SAICM May 15 2009
NGOs Disappointed at Nano Outcome of International Conference
on Chemical Management (ICCM2)
http://www.ipen.org/ipenweb/news/press/nano_iccm2.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
Translated by Takeshi Yasuma
Citizens Against Chemicals Pollution (CACP)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年5月16日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/saicm/ipen/ipen_SAICM_090515_nano.html


【ジュネーブ 2009年5月15日】 国、産業、及び非政府組織の代表が、国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)の旗印の下に化学物質管理の問題を討議するために、今週、ジュネーブに参集した。代表者らは、ナノテクノロジーなど新たに出現している多くの課題を検討した。

 ”本日同意されたナノテクノロジーに関する行動は、この課題の緊急性を反映していない。代表者らは、ナノマテリアルはナノ粒子が母親の血液を通じて母親から子どもに伝えられる世代をまたがるリスクを及ぼすことについて知らされている。しかし、これらのリスクは、ICCM2 による対応の中では無視されているように見える”と IPEN 共同議長のマリアン・ロイドスミス博士(訳注1)は述べた。

 ”1年も経過していないダカールにおける化学物質安全に関する国際フォーラムで採択された声明(訳注2)の足元にも及ばない”とETC グループのダイアナ・ブロッソン(訳注3)は述べた。”そこでは、政府、産業、労働組合、非政府組織が、予防原則が適用される必要があること、国はナノテクノロジーにノーという権利を持つべきであること、脆弱なグループを守るための特別の措置が必要であることに同意した。ジュネーブではそれらについて我々は何も得なかった”。
 国連及びその加盟国の大部分は軽視され、ダカール宣言はこの会議の準備期間中に弱められた。英語だけで夜遅くの会議で協議された草案は、経済協力開発機構(OECD)(訳注4)と国際標準化機構(ISO)(訳注5)にすっかり委ねられてしまった。予想されたことであるが、これは代表者らの支持を得ることに失敗した。

 ”ある程度厳しい交渉の後、会議の総会で採択された決議は、ナノテクノロジーによって提起された課題に対応するために、真にグローバルでオープンで透明なプロセスの必要性を認め、さらなる研究がなされる必要があり、製品中のナノマテリアルの存在についての情報のより広い周知が必要であることを述べている”と国際環境法センター(CIEL)のデービッド・アゾレイ(訳注6)は述べた。
 ”決議はまた、次の3年間の控え目な行動のための緩い提案を含んでいる。すなわち、協議、情報共有、異なる地域における会議とワークショップ、そして批判的に、第3回国際化学物質管理会議(ICCM3)における途上国および移行経済国への関連する課題に関する報告などである。本質的な議論がICCM3でのより強い行動計画を導くことができるようにするために、これらの行動に必要なリソースが供給されることを確実にすることができるかどうかは、これらの課題ついて関心を持つ組織と政府次第である”。

 ”途上国はこれらの工業的物質についてよりよい情報を必要としている”とクック島のアイランド・サステイナビリティのイモゲン・イングラム(訳注7)は述べた。”消費者として、我々は、肌に塗っている日焼け止めの中に何が入っているか知る必要がある。SAICMでは、人の健康と安全及び環境に関連する化学物質は機密とみなされるべきではないと述べている。我々は産業側が情報を自主的に提供しようとしていることで満足することはできない。我々はそれらを含む製品にラベル表示することを強く産業に求める”。

 労働組合の一部であるサステインレーバー(Sustainlabour)のジュディス・カレラス(訳注8)もまた、ナノに関連する労働安全衛生の問題に関し、より強い声明がなされなかったことに失望の意を表明した。”我々は、かろうじて文書中に労働者についての記述を得たが、彼らは職場におけるナノマテリアルへの暴露の最前線にいる(研究、製造、包装、・・・)。多くの場合、労働者たちは、彼らがナノ粒子を扱っていることはもちろん、有害影響のリスクにさらされていることすら知らない。この問いはもっと多くの注目を受けることが必要であり、我々は、ある代表者らはより強い条項に反対したことに失望した”。

David Azoulay, CIEL : +33 686 524625 (dazoulay@ciel.org) (訳注6
Diana Bronson, ETC Group: 1 514 629 9236 (diana@etcgroup.org)(訳注3
Imogen Ingram, Island Sustainability Alliance: isaci@oyster.net.ck(訳注7
Judith Carrera, Sustainlabour: 34 91 449 1045, sustainlabour@sustainlabour.org(訳注8


訳注1
Dr Mariann Lloyd-Smith

訳注2
第6回政府間化学物質安全性フォーラム IFCS/FORUM-VI報告書エグゼクティブサマリー 2008年9月24日 工業ナノ物質に関するダカール声明

訳注3
Covering the deserts in white plastic.Interviewed by Diana Bronson, May 11, 2009
This is just one of the ideas being floated by geoengineers as a possible solution to the problem of catastrophic climate change. The goal is to find a technological answer to global warming - or at least convince Wall Street that you have. Diana Bronson has been tracking the issue of geoengineering for several years. She's with the ETC group in Montreal.

訳注4
経済協力開発機構 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

訳注5
国際標準化機構 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

訳注6
DISCUSSION DRAFT:ADDRESSING NANOMATERIALS AS AN ISSUE OF GLOBAL CONCERN, May 2009 by David Azoulay(CIEL)

訳注7
Imogen IngramStudent at University of South Pacific Cook Islands

訳注8
Sustainlabour



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