OEWG2 2014年12月16日
内分泌かく乱化学物質(EDCs)に関する IPEN の発言
アレクサンドラ・ケイターバウ
(Women in Europe for a Common Future (WECF))

情報源:IPEN Intervention on Endocrine Disrupting Chemicals (EDCs)
at OEWG2, 16 December, 2014
Alexandra Caterbow, Women in Europe for a Common Future (WECF), Germany
http://ipen.org/sites/default/files/documents/IPEN%20intervention%20on%20EDCs.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2014年12月29日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/saicm/ipen/OEWG_2/
141216_IPEN_intervention_EDCs_OEWG2.html


議長、ありがとうございます。

 EDCs が緊急の政策課題であることへの合意は、EDCs への暴露を最小にするための第一歩です。EDCs に対して行動を起こさないことによるコストはすでに莫大な額になっているので、EDCs 暴露最小を達成するために、私たちは現在、具体的な行動を早急に必要としています。手をこまねいている暇はありません。IPEN と内分泌学会は、公益団体と政策立案者のための EDC ガイドをつい最近、発表しました(訳注1)。皆さんは、ホールの IPEN のブースでこのガイドのコピーを手にすることができるでしょう。私たちはまた、UNEP/WHO の素晴らしい報告書 『内分泌かく乱化学物質の科学の現状 2012年版(State of the Science of Endocrine Disrupting Chemicals 2012)』(訳注2)を非常に歓迎します。この報告書は、全ての国連言語に翻訳され、定期的に更新されるべきです。

 EDCs の健康と環境に及ぼす否定的な影響を示す科学的に正当な結果に対する産業側による疑念の創出は、解決を遅らせるだけです。それは産業側にもっと多くの利益を生み出すでしょうが、人々、政府、そして社会はそのために健康とお金を犠牲にしなくてはなりません。

 EDCs に関する SAICM 実施作業には、内分泌学者の専門性を取り込み、EDCs の下記の特性を考慮すべきです。
  • 単一のホルモンは、発達中の異なる時期及び体内の場所により影響が変化し、感受性も異なる。従って、将来を予知できる感度の高い評価項目が内分泌かく乱物質を特定するために優先される必要がある。

  • ホルモンは非常に低濃度で作用するので、非常に微量の内分泌かく乱物質が体系的に考慮される必要がある。

  • 発達の初期におけるホルモン作用への化学的な干渉は、後年に顕在化する長期的な、永久的ですらある影響をもたらすことができ、内分泌かく乱物質は体に誤った適合を引き起こすことができる。

 SAICMは、下記の要素を含む EDCs に関するプロジェクトを設立するために関連する国連組織を招聘すべきです。
  • EDCs 及び潜在的な EDCs のリスト、及び暴露経路に関するデータの収集

  • 監視調査、特に発展途上国及び移行経済国における実施

  • 法律にあるギャップの特定とそれらを克服するための政策措置

  • 利用可能な最良の慣行、より安全な代替、そして非化学的代替の収集と促進

  • 特に妊婦や子どもたちのようなぜい弱なグループの必要性に目を向けた、公衆、関係者、及び政策策定者のための意識向上

 製品中の化学物質(CiP)プロジェクトとの相乗効果は EDCs を事例研究に含めることにより達成されるべきです。全ての行動の進捗は、SAICM 地域会合及び、将来の OEWGs 及びICCM5 で報告されるべきです。

 毎年、1億3,300万人の子どもたちが生まれていますが、彼らを、不妊、学習障害、乳がん、精巣がん、前立腺がんのような EDC 関連疾病から守ることは、あなた方の手中にあるのです。  先ほど申し上げた通り、手をこまねいている暇はありません。


訳注1
米国・内分泌学会−IPEN 2014年12  内分泌かく乱化学物質(EDCs)入門 公益団体と政策立案者のためのガイド

訳注2
UNEP ニュースセンター 2013年2月19日 ヒトと野生生物のホルモンかく乱物質への曝露影響が画期的な国連報告書で検証



化学物質問題市民研究会
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