2012年7月11日 SAICM/ICCM.3/3
SAICM 世界行動計画への追加の提案 情報源:SAICM/ICCM.3/3, 11 July 2012 Proposed additions to the Global Plan of Action of the Strategic Approach to International Chemicals Management http://www.saicm.org/images/saicm_documents/iccm/ ICCM3/Meeting%20documents/iccm3%203/K1282323_SAICM_ICCM_3_3_EN.pdf 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2012年9月11日 更新日:2012年9月18日 更新日:2012年9月22日
附属書 I 戦略略的アプローチの世界行動計画にナノ関連活動を含めることの説明文書 2012年9月18日
このページへのリンク:附属書 II 戦略的アプローチの世界行動計画に電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質を含めることの説明文書 2012年9月22日 http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/saicm/iccm3/ iccm3_proposed_additions_to_GPA_of_SAICM.html 内容
II. 背景 III. ナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルに関する追加の提案 IV. 電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質に関する追加の提案 (12/09/13) 附属書I. 戦略的アプローチの世界行動計画にナノ関連活動を含めることの説明文書 (12/09/19) テーブル:オリジナルを参照のこと 附属書II. 戦略的アプローチの世界行動計画に電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質を含めることの説明文書 2012年9月22日 附属書 III. 電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質に関連する新たな作業領域の下に含めるための提案される活動の修正テーブル:オリジナルを参照のこと I. はじめに 1. 国際化学物質管理会議第2回会合(ICCM2)は、国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)の世界行動計画(GPA)に新たな行動を含めるための手続きに合意した。 2. 世界行動計画に関連する新たな作業領域と関連する行動の追加のための二つの提案を事務局は受領した。ひとつはナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルの環境的に適切な管理に関するものでスイスにより提出された。もうひとつは電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質の環境的に適切な管理に関するもので、SAICMに関する第4回アフリカ地域会合の参加国により提出された。 3. 両方の提案はSAICM地域会合において、及び2011年11月15〜18日にベオグラード(セルビア)で開催された「国際化学物質管理会議(ICCM)に関する公開作業部会(OEWG)第1回会合」で検討された。 4. 新たな行動を世界行動計画に含めることに関する決議 OEWG.1/1の中で公開作業部会は国際化学物質管理会議(ICCM)に、第3回会合において管理会議は世界行動計画にナノテクノロジーと工業用ナノマテリアル及び電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質を含めるよう勧告した。 管理会議による可能性ある行動 5. 管理会議は下記を希望する。 (a) 第3回会合において管理会議は世界行動計画にナノテクノロジーと工業用ナノマテリアル及び電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質を含めることとするOEWG.1/1 に含まれる公開作業部会の勧告を考慮すること; (b) 新たな作業領域としてナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルを世界行動計画に含めるためにスイスにより提示された勧告に関連する、及び電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質に関して世界行動計画に修正提案された追加に関連する、利害関係者から受領したコメントを考慮すること; (c) 適切なら、 それぞれSAICM/ICCM.3/17 (当研究会日本語訳)及び SAICM/ICCM.3/16 に含まれるナノテクノロジーと工業用ナノマテリアル及び電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質に関する進捗レポートを考慮すること; (d) この件に関する決議を採択すること。 II. 背景 6. 世界行動計画(環境省訳)は、2006年2月にアラブ首長国連邦のドバイで開催された国際化学物質管理会議第1回会合(ICCM1)で、利害関係者がSAICMの目的を達成するのを支援するために、勧告された。世界行動計画は、利害関係者によって彼等の適応性に従い、必要に応じて見直され、行動が検討され、実施されることが意図されている。世界行動計画は、包括的方針戦略(環境省訳)の目的の5つの分類に従い構成されている。リスク削減、知識と情報、ガバナンス、能力向上と技術協力、不法な国際取引である。これらの分類について、世界行動計画は可能性ある作業領域と関連する行動、関係者、目標と時間枠、進捗の指標、及び実施の側面を提示している。 7. 国際化学物質管理会議は第2回会合(ICCM2)で、世界行動計画に新たな行動を含めるための手続きを採択した。第2回会合の報告書[1]の附属書Uに示されている手続きは利害関係者又は利害関係者のグループが事務局に、提案の長所を説明する文書を添えて提案書を提出することを許している。提案書のコピーもまたSAICM地域フォーカルポイントに送付されなくてはならない。事務局は、提案書と説明文書をSAICMウェブサイトにコメントを求めるために掲載し、それらを地域のSAICM会合における討議のために配付するよう指示されてる。地域会合の利害関係者は、公開作業部会が提案書を評価し、次回の会合で国際化学物質管理会議による検討のために限定された事項を選択することができるよう、公開作業部会による検討のための提案を優先することになっている。 脚注[1] SAICM/ICCM.2/15. Report of the International Conference on Chemicals Management on the work of its second session III. ナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルに関する追加の提案 8. 第2回会合(ICCM2)でスイス政府は、ナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルは新規の政策課題であるとみなされるべきであり、この課題に関連する行動は世界行動計画に加えられるべきであると提案した。当時、管理会議は、行動を世界行動計画に加えるための手続きに関してまだ決定しておらず、時間的制約のために第2回会合での提案の検討は除外された。しかし管理会議はナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルに関する決議 II/4 E を採択し世界動計画への、関連する行動の追加は第3回会合の議題とすることに同意した[2]。 脚注[2] SAICM/ICCM.2/15., para. 88. 9. スイス政府により提出された説明文書(新たな作業領域のための提案を含む)は、公式な編集はせずにコピーが本文書の附属書Tに示されている。この提案は2011年のSAICM地域会合、アフリカ(ナイロビ 4月5,7,8日)、ラテンアメリカ・カリブ海(パナマシティ 6月2,3日)、中東欧(ウッチ、ポーランド 6月27,29日)、アジア太平洋(北京 9月8,9日)及び、ナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルの意識向上のために開催されたワークショップで討議された。全ての地域会合及びワークショップで参加者等は、提案書の修正を討議し、ナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルに関する行動を世界行動計画に追加することを支持する勧告をした。この提案はアフリカ及びラテンアメリカ・カリブ海で開催された地域会合において正式に支持された。 10. 公開作業部会は第1回会合で、この提案を検討し、管理理事会はその第3回会合でナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルに関連する行動を世界行動計画に追加するよう勧告する決議 OEWG.1/1 I を採択した。その決議の中で、同作業部会はまた、管理理事会第3回会合の準備における更なる協議のための特定の指示を提示した。 11. スイスによる提案に関連して、公開作業部会は決議 OEWG.1/1 I の中で; (a) ナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルに関連する行動を世界行動計画に追加することに関しては、提案中の行動4〜6, 12〜15, 21 及び 22について原則として合意に達し、これらの行動の言い回しについての編集上の修正を排除せず、それらの追加は”新規行動”と示された欄の内容だけに参照されるということに言及した。 (b) また、スイス政府による提案中の他の行動に関し、更なる討議が管理会議第3回会合において必要であろうと言及した。 (c) 現在までのところ、新たな行動が世界行動計画中のどこに含められるべきかに関してどのような合意にも達していないことが認識された。 12. 管理会議第3回会合における討議の準備に作業部会は決議 OEWG.1/1 の中で; (a) 全ての利害関係者はスイス政府による提案の中の行動に関するどのような懸念についも明確にし、それに関するコメントを早急に事務局に提出するよう要請した。 (b) 事務局は利害関係者から受領したどのようなコメントも編集し、SAICM ウェブサイトで入手可能にするよう要請した。 13. 決議 OEWG.1/1 に従い、事務局は、スイスによる提案に関して2012年3月5日から4月27日までの間にコメントするようSAICMウェブサイトを通じて要請した。利害関係者は下記を要請された。 (a) スイスによる提案中で、欄中に”新規行動”と示された行動 4〜6, 12〜15, 21 及び 22に関する編集上の修正を提供すること。 (b) 新規行動は世界行動計画中のどこに含まれるべきかに関してコメントすること。 (c) 提案中に含まれる他の行動に関連するどのような懸念をも明確にすること。 14. コメントは、カナダ、コスタリカ、日本、マダガスカル、セネガル、アメリカ、欧州連合、化学物質の適正な管理に関する国際機関間プログラム(IOMC)、Ecological Restoration、地球の友インターナショナル、国際化学工業協会協議会(ICCA)、及びナノテクノロジー 産業協会から提出された。 A. 編集上の修正 15. 受領した編集上の修正は、ナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルの環境的に適切な管理、及び電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質の環境的に適切な管理に関連する行動を世界行動計画に含めることに関して利害関係者から受領した提言(SAICM/ICCM.3/INF/4)に関する事務局に附属書Tの中にオリジナルのテーブルとともに注釈付きで提示されている。受領した編集上の修正は、公開作業部会により第1回会合で原則として合意された9つの作業行動に制限されるものではなく、更なる合理化と取り組みの可能性ある重複を回避するための提案を含んでいる。 B. 新規行動の世界行動計画中への配置 16. 多くのコメントが新規行動の世界行動計画中への配置に関連していた。あるものは、全ての行動が既存の作業領域の下に含めることができるのだから新規作業領域は必要ないという見解を述べ、一方、他のものは、ある行動、特に行動12と21は、”リスク削減”よりも”知識と情報の強化”の下に配置するのが最良であると言及した。他のもうひとつは、行動の配置の考慮は、提案された行動が実行可能明確に記述されていることを確実にすることに比べれば、それほど重要ではないと示唆した。 C. 追加の未解決事項 17. レビュー者の多くは、経済協力開発機構(OECED)を含む様々なフォーラムで現在実施されている既存の作業を十分に活用・考慮し、効果的な情報交換のためのメカニズムを構築し、調和と協力を推進し、特定の作業行動実施の実行可能性が十分に考慮されることを確実にするために、いくつかのトピックスの科学的な議論の段階を認識する必要性を強調した。いくつかの活動、特に認証制度(certification schemes)の開発、ラベル表示、ナノマテリアルを含む廃棄物の環境的に適切な管理、及び労働者と公衆の保護に関連する行動は削除すべきとする提案があった(訳注1)。いくつかの行動に関するコメントが、発展途上国の人的資源を強化するために先進国と発展途上国にわたる包括的な枠組みの中で実行されるべきと提案した。ひとつのコメントは、官民パートナーシップの推進に関する行動22は、潜在的な利益相反についての懸念を提起し、環境、健康、安全の目的が損なわれないことを確実にするためのガイダンスが必要かもしれないという示唆を含んでいた。 訳注1:日本政府のコメントの概要 SAICM/ICCM.3/INF/4/Rev.2 28〜29ページ ▼法的(legal)文書のlegalを削除し拘束力のない枠組みを提案、▼義務的(mandatory)ラベリングのmandatory削除を提案、▼ナノの定義が確立しておらず科学的知見は限定されているので、製品中のナノマテリアルの存在に関する世界的な自主的認証制度をGPAに含めるのは時期尚早、▼ナノを含む廃棄物に関する規制条項の削除を提案、▼ナノのライフサイクルを通じての管理は重要であるが、ERP(拡大生産者責任)には慎重・・・など相変わらず消極的である。米国、EUなども基本的には同様。 IV. 電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質に関する追加の提案 (12/09/13) 18. 2011年4月5〜8日にナイロビで開催された第4回アフリカ地域会合の参加者等は、2011年3月28〜31日にウイーンで開催された電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質に関する国際ワークショップの成果を検討した。その後アフリカ地域会合は、電気・電子製品中の有害物質に関する活動を世界行動計画に含めることを求める決議を採択し、管理会議第2回会合で採択された手続きで要求されている説明文書を作成した。その説明文書(附属書U参照)は、公開作業部会第1回会合で検討された。 19. 公開作業部会はその決議 OEWG.1/1 II の中で、管理会議はその第3回会合で電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質に関連する新たな活動を世界行動計画の中に含めることを提案した。同決議の中で、それは事務局に下記を要求した。 (a) 有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約の事務局と協力し、公開作業部会の成果を十分に検討し、世界行動計画に含めることについての文書はまだ合意されていないことに留意し、管理理事会第3回会合での検討用に世界行動計画へ追加する提案を記述する文書を作成すること。 (b) 上記の文書を戦略的アプローチのウェブサイトにコメント用に掲載し、受領したコメントを編集し、電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質に関連する活動を含めることについて管理会議第3回会合で討議することを知らせること。 A. 世界行動計画への追加提案のテーブル修正 20. 電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質に関連する新たな作業領域の下に含めるための提案される活動の修正テーブルは本ノートの附属書Vに示されている。この提案は、バーゼル条約事務局、戦略的アプローチ・アフリカ地域フォーカルポイント、ペルー国家フォーカルポイント、国連産業開発機構、バーゼル条約アフリカ地域調整センター及び国際POPs廃絶ネットワーク(IPEN)の協力の下に事務局により作成された。 B. 修正提案へのコメント 21. 事務局は、2012年4月3日〜5月7日の間、戦略的アプローチのウェブサイトを通じて提案活動の修正テーブルに関するコメントを求めた。コメントは、カナダ、日本(訳注2)、アメリカ、欧州連合とその加盟国、IOMC、国連開発計画、及び情報技術産業協会からから出された。コメントは、SAICM/ICCM.3/INF/4 の附属書に示されており、それはまた、受領したコメントをハイライトする注釈をつけた提案活動の修正テーブルを含んでおり、戦略的アプローチのウェブサイトからも入手可能である。 22. 一般的に、コメントは、他のフォーラムで実施されている作業に関しては取り組みの重複を警告し、利害関係者が他の国際的協定の範囲にあるはずの新たな取り組みを作り出さないよう警告した。受領したコメントは、二つの例外を除いて、世界行動計画に関連する提案活動の修正テーブルに示される電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質に関連する新たな作業領域を含めることを支持していることを確認した。追加を支持しなかったひとつのコメントは、提案中で目を向けているトピックスはすでに既存のフォーラムで取り扱われているという見解を述べており、もうひとつのノコメントは、提案されている全ての活動は世界行動計画の既存の作業領域に含めることができるので、新たな作業領域は必要ないということを示唆した。この見解提案者は、提案された活動が収まるべき世界行動計画の特定の既存作業領域を指し示した。一般的に他のフォーラムで実施されている作業との重複を避ける必要性を強調し、利害関係者が他の国際的協定の範囲にあるはずの新たな取り組みを作り出さないよう警告した。 訳注2:日本政府のコメントの概要 SAICM/ICCM.3/INF/4/Rev.2 54〜56ページ ▼オリジナル:プログレスの指標/電気・電子製品中の有害物質に関するハザードとリスクに関するデータベースと情報が自由に利用可能。 コメント:データベースと情報はハザード特性に限られるべきではない。特定製品グループに関連する証拠とリスクを明らかにし、そのような情報を含める方が良い。 ▼オリジナル:有害化学物質の削減、廃絶、代替のための設計を進めるツールと最良の慣行を特定する。 コメント:製造者による実施可能/適用可能なリソースの選択のためのツールと最良の慣行は、もしそのようなツールと最良の慣行が、リソースタイプによる製品の分類を通じて、及び不適切な処分のリスクに基づいて、特定することができるなら、発展途上国と移行経時国にとって有用な情報となるであろう。 ▼オリジナル:環境的に適切な製造 コメント:日本は、この作業領域の普及の重要性を支持する。 附属書 I (12/09/19) 戦略的アプローチの世界行動計画にナノ関連活動を含めることの説明文書 公開作業部会第1回会合で検討されたスイスにる提案 ナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルの環境的に適切な管理に関連する新たな作業領域と関連する活動により国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ世界行動計画を補完すること ナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルの利用は、2006年の化学物質管理に関する国際管理の第1回会合以来、急速に進展している。今日、これらの亜r棚技術は広範に使用されており、重要な研究と開発が多くの諸国で実施されている。ナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルは、社会的経済的便益と共に、潜在的な環境、健康、安全へのリスクをもたらす。 ナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルは、化学物質管理に関する国際会議第1回会合においてはまだ課題となっていなかったが、それらは2009年に開催された化学物質管理に関する国際会議第2回会合(ICCM2)のはじめにSAICMの下における新規政策課題として目が向けられた。SAICMの世界行動計画(GPA)はまだこの課題に対応していない。 ICCM2において、SAICMの工業用ナノマテリアルとナノテクノロジーに関連する活動をSAICM GPAに含めることに関する議論が、スイスにより提示された会議室ペーパー(SAICM/ICCM.2/CRP.6)に基づいて行なわれた[1]。このCRPは、GPAに加えられるべき提案される活動の暫定的テーブルを含んでいた。ICCM2は、この課題は化学物質管理に関する国際会議第3回会合(ICCM3)で検討されるべきと結論付けた。この決定に従い、スイスは関連する利害関係者と協議し、2012年の化学物質管理に関する国際会議第3回会合(ICCM3)において、ナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルの適切な管理のための新たな活動と共に、世界行動計画に新たな作業領域を加える公式な提案を作成した。 2011年4月3日付けのこの提案書はSAICM事務局のウェブサイトに掲載され、協議のために全ての地域及び国家のSAICMフォーカルポイントに送付された[2]。さらなる地域協議が、SAICM地域会合と背中合わせに開催されたナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルに関する地域ワークショップ、すなわちアフリカ(2011年4月)、ラテンアメリカ・カリブ海(2011年5月)、中東欧(2011年6月)、アジア太平洋(2011年9月)の間にそれぞれ実施された。協議を通じて受領したインプットに基づき、スイスは、2011年11月の公開作業部会における最初の討議のベースとして、この最終提案と行動テーブルを作成した。 提案された新たな作業領域は下記のための行動を含む:
様々なSAICMの目的の下にこの新たな作業領域の提案される活動を配置している下記のテーブルを見よ。 ICCM2の間に採択された戦略的アプローチのGPAに新たな活動を含めるための手続きに従い、このドラフト文書は、どのように提案された新たな作業領域の活動が人の健康と環境を守ることに関連があるか;国家の、地域の、又は世界の約束、目的優先事項、及び必要性への貢献;どのようにそれは最良の慣行を反映し、効果的であるか;国又は参加者レベルで実施する手段;について記述する。 脚注: 1 This CRP will be made available as an information document. 2 This draft proposal will be made available as information document. 活動の人の健康と環境を守ることへの関連性を含む背景情報 ナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルの新規政策課題文書に関連する背景情報文書(SAICM/ICCM.2/INF/34)は、2009年のICCM2の間に、この新規政策課題に関する議論を導き、提案される協働行動の根拠を提供するために、二つのリード国であるアメリカとスイスにより作成された。この文書は、”SAICMは化学物質政策と適切な化学物質管理のための包括的な政策の枠組みを提供することを目的とするが、それはまだ、このますます重要となる化学物質管理の領域に目を向けていない”と言及した[3]。 同じ文書は、ある応用にふさわしい工業用ナノマテリアルをつくる同じ独自の特性のあるものがまた、ナノマテリアルの人の健康と環境への影響についての疑問を提起することを述べている。ナノ粒子の毒性と運命は、その粒子に関する電荷、面積、反応性、コーティングタイプのような表面特性やサイズや形状などの物理化学的特性の多様性に依存する。これらの要素はまた、人の体内へのナノ粒子の摂取と分布にも影響する。粒子そのものに加えて、それらの分解の産物の潜在的な人の健康と生態系の影響が、それらの他の汚染物質との相互作用とともに、考慮されるべきである。 一度血流に入るとナノマテリアルのあるものは体中を移動することができ、肝臓、脾臓、骨髄、肝臓、心臓、生殖器、軟部組織、及び骨格に吸収されることを研究が示している[4]。さらに、胎盤通過が最近の研究によって支持されており、それはあるナノ粒子は妊娠マウスから仔マウスの脳と睾丸に移動する能力があることを示した[5]。多くの研究がまた、あるナノ粒子は、血流関門を越えて嗅覚神経から中枢神経系に移動するかもしれないことを示した。 ナノマテリアルの遺伝毒性に関して、通常は人工化学物質を通さないDNAを含む細胞内区画を貫通する能力があることを研究が示している。ナノマテリアルが直接的及び/又は間接的に(酸化ストレスを通じて)DNA、RNA、及び/又はヒストン(訳注:ウイキペディア)を損傷することができることを示す研究を考慮すれば、ナノマテリアルの細胞間移動は特に懸念されることがらである[6]。 さらに、あるナノマテリアルは生態系に有毒かもしれないという証拠がある。例えば、ナノスケールの二酸化チタンは、ミジンコ、魚、又は藻類のような環境指標における死亡率又は行動的を又は生理学的変化を引き起こすことができ、また水生生態系における窒素・炭素循環のかく乱を潜在的にもたらしつつ、光合成生物にストレスを与えることが示されている[7]。 化学物質が生物濃縮する時には、その化学物質の背景環境レベルが低くても、時間が経過すると組織濃度が増大する。”バクテリアと生細胞はナノサイズの粒子を取り込むことができ、食物連鎖中で潜在的な生物濃縮のベースをなる”[8]。さらなる研究が、ミミズが土壌中に存在する銅ナノ粒子を吸収することができることを示している”[9]。被捕食動物から捕食動物への特定の有毒物質の濃度の増加、すなわち生物濃縮もまた、全ての食物網の基礎を成す超微細の生物が関与しつつ、水生環境におけるナノマテリアルについて証拠がある[10]。 生物濃縮のこの証拠は、ノのマテリアルの人の健康と環境へのリスクは時間経過とともに増大するかもしれないことを示唆している。さらに、”現在の使用ではナノマテリアルの多くは、セラミック、金属、酸化金属のような本質的に生物分解しない無機化学物質であり、生物分解することは期待できない”[11]。 工業用ナノマテリアルは、塗料、化粧品、衣料品、家庭用品、食品容器などを含んでますます増加する多くの製品の中に含まれて、すでに市場に出ているので、諸国はそのようなナノマテリアルの使用の全ライフサイクル−例えばナノスケール材料製造の潜在的影響、あるいは、例えば、リサイクル業者への新たなハザード・コミュニケーション・プログラム又は処分のための新たな懸念−を通じて、潜在的な健康又は環境への影響を正当に検討すべきである[12]。この脈絡でICCM2 の暫定的文書によれば、SAICMは発展途上国と移行経済国がしっかりした政策と活動を開発し実施するために、協働の国際的枠組みを提供すべきである[13] ここでスイスにより提案されたナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルに関連する新たな世界行動計画(GPA)の活動は、諸国がこの課題に対応し、適切な政策を開発して実施し、そのような政策のための支援を得るのに役立つはずである。 脚注: 3 Background information in relation to the emerging policy issue of nanotechnology and manufactured nanomaterials, note by the secretariat, SAICM/ICCM.2/INF/34, available at http://www.saicm.org/documents/iccm/ICCM2/meeting%20documents/ICCM2%20INF34%20nano%20background%20E.doc 4 SCENIHR, Risk Assessment of Products of Nanotechnologies, pgs 24-29 (2009) (citing several science-based studies) available at http://ec.europa.eu/health/ph_risk/committees/04_scenihr/docs/scenihr_o_023.pdf 5 Takeda et al., Nanoparticles Transferred from Pregnant Mice to Their Offspring Can Damage the Genital and Cranial Nerve Systems, Journal of Health Science, Volume 55, number 1, February 2009 6 Id., pg 32 (referencing Gonzalez et al 2008 and Landsiedel et al 2008). 7 See e.g. Carla Cherchi and April Z. Gu, Impact of Titanium Dioxide nanomaterials on Nitrogen Fixation rate and intracellular Nitrogen storage in Anabaena Variabilis, 2010, Environ. Sci. Technol., 2010, 44 (21), pp 8302-8307, available at http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/es101658p 8 U.S. EPA, Nanotechnology White Paper, at p. 50 (2007), available at http://www.epa.gov/OSA/pdfs/nanotech/epa-nanotechnology-whitepaper-0207.pdf (citing Biswass and Wu, 2005). 9 Jason M. Unrine, Olga V. Tsyusko, Simona E. Hunyadi, Jonathan D. Judy, Paul M. Bertsch. Effects of Particle Size on Chemical Speciation and Bioavailability of Copper to Earthworms Exposed to Copper Nanoparticles. 2010, Journal of Environment Quality, 2010; 39 (6): 1942, available at 10.2134/jeq2009.0387. 10 R. Werlin, J. H. Priester, R. E. Mielke, S. Kramer, S. Jackson, P. K. Stoimenov, G. D. Stucky, G. N. Cherr, E. Orias, P. A. Holden. Biomagnification of cadmium selenide quantum dots in a simple experimental microbial food chain. Nature Nanotechnology, 2010; DOI:10.1038/nnano.2010.251, available at http://dx.doi.org/10.1038/nnano.2010.251 11 U.S. EPA, Nanotechnology White Paper, supra note 15, p. 50. 12 See supra note 1. 13 See supra note 1. その活動は、国家、地域、又は世界の約束、目的、優先事項及び必要を達成するのに、どのように寄与するのか SAICMの一般的な目的は、包括的方針戦略(OPS)(環境省仮訳)及びドバイ宣言に詳細に述べられている。これらの包括的な目的は、リスク削減、知識と情報、ガバナンス、能力構築と技術協力を含む。世界行動計画(GPA)は、SAICM OPS 及びドバイ宣言に述べられている約束と目的を遂行するために利害関係者により実施されるかもしれない活動に関連する作業領域を特定する進化するツールである。提案される新たな作業領域は、OPSの目的 14(e) に一致するナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルに関連するOPSの目的にいたる実施の道を提供することを狙いとしている。 ICCM2の期間中に、ナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルに関する決議(訳注:Resolution II/4 on Emerging policy issues E: Nanotechnologies and manufactured nanomaterials)が採択された。この決議は、SAICMの利害関係者に、発展途上国及び移行経済国がナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルを責任をもって使用し管理するために彼等の能力を強化するための支援を提供すること(1 項)、及びナノマテリアルを含む製品に関連する人の健康と環境の安全情報のより広く普及させること(7 項)を求めている。その決議はまた、人の健康と環境を守るための適切な行動の促進を求め(2 項)、ナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルの責任ある管理のための規制的、自主的、及びパートナーシップ的アプローチの役割を認め(3 項)、多様な利害関係者の対話の確立を勧告した(6 項)。ナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルに関連する新たな作業領域を含めるために提案された新たな世界行動計画(GPA)活動は、これらの目的の実現を支援するであろう。2009年,2010年及び2011年U開催されたその後のSAICM地域会合、すなわちアフリカ、ラテンアメリカ・カリブ海、中東欧、及びアジア太平洋の地域会合は、ナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルの安全な管理に関連する国家及び地域の特定の必要性を入念に吟味した。これらの必要性は、パートナシップと協力の確立;人の健康と環境に対する潜在的なリスクに関する研究のために必要な資金調達;工業用ナノマテリアルの製造、使用、輸送、及び処分に関する安全な実施を確実にするための法的条項の開発に関連する。 スイスがSAICMのGPAに追加することを提案した新たな活動は、様々な地域協議と2009年/2010年及び2011年にアフリカ及び GRULAC によって満場一致で採択された決議の中で議論されているように、これらの必要性と優先事項の実現を支持するよう設計されている。 例えば、ナノマテリアルのライフの全段階に関して安全な実施を確実にするための法的条項の制定と施行ための要求を満たすために、スイスは既存の法的及び制度的枠組みにあるギャップを評価するための活動を含め、国家及び地域の政策と規制的取り組みに関する情報共有を促進・強化し、ナノマテリアルを含む廃棄物の環境に適切な管理のための法的条項を特定・強化・実施し、技術的ガイドラインと調和の取れた基準を促進することを提案する。 同様に、工業用ナノマテリアルの潜在的な人の健康と環境への影響に関するより良い情報のために、これらの地域や諸国によって述べられた必要に合致するために、スイスは工業用ナノ物質のさらなる情報共有と研究を通じて、環境的健康と安全影響の理解を増すための活動を加えることを提案する。 活動が最良の慣行を反映し効果的になるであろう方法 ナノテクノロジーと工業用ナノマテリアルに関する新たな作業領域に含める活動は、既存の規制的及び自主的な取り組み、例えば工業用ナノマテリアルを製造し、使用し、又は処分している労働者の保護の領域を含んで、最良の慣行の共有に役立てることを意図している。 さらに、技術的及び規制的情報の共有を推進することにより、先進国ではない諸国がもっと進んだ諸国が開発した知識、特に、工業用ナノマテリアルに関するOECD作業部会やオーストラリア、カナダ、欧州連合、アメリカ、及び国際標準化機構のような既存の地域の取り組みからの恩恵を受けることを可能とするであろう。 国又は参加者レベルの活動の実施手段 (例示) 民間/公共部門パートナーシップを促進すること、既存の化学物質管理プログラムにナノマテリアルとナノテクノロジーを含めること、そのように含めるためのガイダンスを整備すること、発展途上国と移行経済国におけるパイロット・プロジェクトを開発すること、最良の慣行に基づきナノ・ラベル表示スキー無為を開発することなど提案される活動は、国又は参加者レベルの活動の適切な実施手段を提供するであろう。 テーブル:オリジナルを参照のこと 附属書 II 国際的化学物質管理のための戦略的アプローチの世界行動計画に電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質を含めることの説明文書: 電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質の環境的に適切な管理に関連して、新たな作業領域と関連する活動の創出により世界行動計画を補完すること 第4回アフリカ地域会合による提案 1. 電気・電子製品の製造は、過去数十年間に劇的に増大し、数十億のそのような製品が世界中で製造され消費されている。さらに、電気・電子製品の製造者らは数千の化学物質やその他の物質に依存し、使用しており、それらの多くのものは有害である。消費者用電気・電子製品中に含まれる有害物質には、発がん性物質、変異原性物質、生殖毒性物質、発達障害毒性物質、及び内分泌かく乱化学物質に加えて、フタル酸エステル類、カドミウム、鉛、水銀などの重金属、及び臭素化難燃剤のような残留性有機汚染物質がある[1]。 2. その他の懸念ある問題は、そのような製品のライフサイクルを通じての有害物質、特に、電気・電子製品及び、原材料採取、製造、処分に関連する職場と地域社会で見出される有害物質に関するデータの不足である[2]。 3. 電気・電子製品の大量消費は、大量の電気・電子廃棄物の生成をもたらした。これは世界的な危機となったが、それは廃棄物の数量だけの問題ではない。加えてこの危機は、特に発展途上国及び移行経済国で、不適切に管理された時に、環境中に放出され、それによって環境と人の健康に著しいリスクをもたらす様々な電気・電子製品に含まれる有害物質から生じる。 4. 電気・電子製品のライフサイクルにおける有害物質は、2009年5月に開催された国際化学物質管理会議第2回会合(ICCM2)により新規政策課題として採択された。しかし、国際的化学物質管理のための戦略的アプローチの世界行動計画は、まだこの問題を取り上げていない。アフリカ地域は、2012年に開催される国際化学物質管理会議第3回会合(ICCM3)において、電気・電子製品のライフサイクルにおける有害物質の環境的に適切な管理のための新たな活動を含んで、世界行動計画に新たな活動領域を含めることを提案している。 5. 提案される新たな領域は、電気・電子製品のライフサイクルにおける川上、川中、川下の問題に取り組むための次の活動を含む。 (a) 人と環境の健康と安全のためのハザード及びリスクデータに関する情報を含んで、電気・電子製品中の化学物質情報フローを管理するための国際的な最良の慣行リソース一式を特定し、整理し、促進すること; (b) 電気・電子製品中の有害物質を管理するためのビジネスの組織的な手続きにおける最良の慣行を編集し普及させること;化学物質管理システムを含む関心ある組織と利害関係者のためのガイダンス文書を生成すること;グリーン・ケミストリーへの投資;そのような廃棄物を最小にする予防的活動;電気・電子製品の適切な管理のための能力構築; (c) これらの化学物質のハザード及び毒性学的データの概要を含んで、電気・電子製品中の人の健康及び/又は環境に懸念を与える化学物質に関する情報を編集し、共有し、普及させること (d) 持続可能なクリーンな製造と汚染防止を通じて環境的に適切な製造を促進すること;有害化学物質の削減、廃絶、代替のための設計を促進するツールと最良の慣行を特定すること; (e) 電気・電子製品中の有害化学物質の削減、廃絶、代替を促進する政策と、法的、技術的、及び規制的行動を支持すること; (f) 職場及び地域社会における等しい保護を影響する労働者のための健康ベースの曝露制限を体系的に作り上げ、促進し、実施すること; (g) 関連する利害関係者の関与を確実にしつつ、電気・電子廃棄物の環境的に適切な管理に関する統合された政策を促進し実施すること; 6. これらの活動は下記テーブルにさらに詳細に記述されている。 訳注:附属書 III (Annex III) 電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質に関連する新たな作業領域の下に含めるための提案される活動の修正テーブル(Revised table of proposed activities for inclusion under a new work area relating to hazardous substances within the life cycle of electrical and electronic products) 7. 消費と製造の持続可能ではないパターンを変えることに関連して、持続可能な開発に関する世界サミットの実施計画(訳注:外務省和文仮訳)は、アジェンダ21に規定されているように(訳注:第19章)、持続可能な開発と人の健康と環境の保護のためにライフサイクルを通じての化学物質と有害廃棄物の適切な管理;及び化学物質及び有害廃棄物の適切な管理のための能力を強化することについて発展途上国を支持;に対する新たな約束を要求している。 8. 本文書は、提案された作業領域が、どのように人の健康と環境を保護することに関連し、どのように世界的、地域的及び国家の必要、優先事項、目的、及び目標に合致することに関連するかについて、記述する。それは、国家及び国際的なレベルで、実施の国際的な最良の慣行及び効率的な手段を適切なら、反映するであろう。 人の健康と環境を保護することに対する活動の関連を含む、背景情報 9. 国際化学物質管理会議第2回会合(ICCM2)において、電気・電子廃棄物の新規政策課題に関する議論を導くための、及び提案された協働行動の正当性を提供するための背景文書として用意された SAICM/ICCM.2/INF/36は、廃棄物管理及び不法な国際取引に関して世界行動計画中に多くの活動があるが、電気・電子廃棄物及び電気・電子製品の特別な問題に具体的に目を向けたものはなにもないと言及した。 10. その文書は電気・電子廃棄物 及び 電気・電子製品が、もし不適切なリサイクルと処分方法がとられるなら、環境、人間、及び動物の健康に著しいダメージを及ぼすことができる無数の有害構成要素と物質を含んでいるという事実を強調している。どのような環境中であろうと 電気・電子廃棄物の投棄は、後に食物連鎖に入り込むかもしれない(土壌、大気、地下水への)有害物質の漏洩のようなネガティブな健康影響をもたらす。医学専門家らは、これらの物質への曝露は、血液、神経系、DNA、免疫系、及び腎臓へのダメージを引き起こすことができる;呼吸器系と皮膚障害及び肺がんをもたらすことができる;及びホルモン調整機能と脳の発達を阻害することができる(Osuagwu and Ikerionwu, 2010)−と警告している。 11. 様々な 電気・電子製品 が、有毒特性浸出法(TCLP)を用いて有害であることが確認された(Musson and others, 2000; Li and others, 2006)。埋め立て、自治体固体廃棄物の焼却、及び機械的なリサイクルのような廃棄物の最終処理プロセスの実際の操業は、重金属及び有機汚染物質の大気、水、土壌への排出という結果をもたらす。 その活動が、世界的、地域的および国家の必要性、優先事項、目的及び目標を達成するのにどのように貢献するか 12. 戦略的アプローチの包括的方針戦略(環境省訳)は、化学物質管理へのライフサイクルアプローチを採用することの重要性、及びライフサイクルの全ての段階、製品中の化学物質、及び不法な国際取引に関する適切な情報の重要性を認めている。包括的方針戦略のパラグラフ13〜15及び18は特に関連する。 13. パラグラフ13は、ライフサイクルを通じて化学物質の適切な管理という観点から戦略的アプローチの2020年目標を規定しており;パラグラフ14は、化学物質のライフサイクルを通じて有害化学物質に曝露しやすい人の健康と環境及び脆弱なグループへのリスクを最小にする必要性を強調している。パラグラフ15は、適切なら製品中の化学物質を含んで、ライフサイクルを通じての化学物質に関する情報が全ての利害関係者の必要に対して利用可能であり、アクセスが可能であり、ユザー・フレンドリーであり、適切であり、十分であることを確実にすることを目指しており、一方パラグラフ18は、これらの化学物質、混合物、及び成分を含む製品及び廃棄物を含んで、有害で、危険で、禁止されており、厳格に制限されている化学物質の不法な国際取引を防止することを目指している。 14. 包括的方針戦略で規定されているように、戦略的アプローチの全体的目的は、汚染防止、リスク削減、能力構築、知識と情報の共有、ガバナンス、パートナーシップ、及び技術協力である。世界行動計画は、包括的方針戦略にある目的と目標を実施するために利害関係者により取られるかもしれない作業領域と関連する活動を特定するプラットフォームを提供する。提案される新たな作業領域は、電気・電子製品のライフサイクルにおける有害物質に関連して、包括的方針戦略の目的を達成するためのロードマップを提供する。 15. 電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質に関する化学物質管理のための国際会議(SAICM)の決議 II/4は、化学物質の適正な管理に関する国際機関間プログラム(IOMC)の参加組織、及び有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約及び残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の事務局に対し、利用可能なリソースの範囲で、ライフサイクルアプローチに基づき電気・電子製品に関連する問題を討議するためのワークショップを開発し、計画し、開催するよう要請した。ワークショップの計画に当り、次の目的が重要であると考えられた。(i) 電気・電子製品及びそれらの廃棄物中の制限されている又は有害な物質の削減及び最終的な廃止;(ii) ライフサイクルにおける製品チェーンを通じて電気・電子製品及びそれらの廃棄物中の有害物質についての情報の必要性;(iii) 技術ガイダンスと能力構築の開発;(iv) ガバナンス;(v) 意識向上と教育 電気・電子製品中のライフサイクルにおける有害物質に関連する新たな作業領域を新たな世界行動計画(GPA)に含めるという提案は、これらの目的の実現を支持するであろう。 16. さらに加えて、2009年から2010年の間にアフリカ、アジア太平洋、中東欧、及びラテンアメリカ・カリブ海での4つの地域会合が戦略的アプローチにより組織され、参加者等は電気・電子製品中の有害物質の問題を討議し、これらの地域の諸国の必要と、国際ワークショップの成果への期待を明らかにした。グリーン・デザイン、実行可能なら電気・電子製品中の有害物質の廃止、電気・電子製品のライフサイクルを通じての労働者の健康を保護することの必要性、及び能力構築及び制度の強化に関する課題に多くの強調がなされた。 17. アフリカが世界行動計画に含めることを提案する新たな作業領域は、上記の(4つの)地域会合における参加者により採択された必要性、優先事項、及び目標の達成を支持するために設計されている。 活動が最良の慣行を反映し効果的となるであろう方法 18. 提案された新たな作業領域に含まれる活動は、国際的な最良の慣行とハザード及びリスクデータに関する情報共有と交換;制度的及び規制的な、例えば曝露及び監視のための自主的な取り組み;電気・電子製品の製造、使用、処分の各段階における労働者の保護を確実にするための健康調査および疾病防止 世界の地域の又は国家のレベルでの実施手段 19. 電気・電子製品中の有害物質を含めるための既存化学物質管理メカニズムの強化;公共・民間のパートナーシップの促進;国際的な最良の慣行に基づき、電気・電子製品中の有害化学物質に関する情報又はラベル表示スキームの開発;ライフサイクルにおける能力構築とパイロット・プロジェクトの開発を含む提案された活動のあるものは、国家レベルにおける実施手段を提供することができるであろう。二国間及び多国間協力は地域及び世界レベルでの実施手段となり得るであろう。 [1] SAICM/ICCM.2/INF/36. [2] SAICM/RM/Afr.4/INF/1, annex I, and SAICM/RM/LAC.2/3, annex C. 附属書 III 電気・電子製品のライフサイクル中における有害物質に関連する新たな作業領域の下に含めるための提案される活動の修正テーブル Revised table of proposed activities for inclusion under a new work area relating to hazardous substances within the life cycle of electrical and electronic productsを参照のこと |