2012年9月21日 ICCM3におけるIPENの発言
農薬
マリア・イサベル・カルカモ(RAPAL ウルガイ)

情報源:IPEN Intervention on Pesticides, 21 September 2012
given by Maria Isabel Carcamo, RAPAL Uruguay
http://ipen.org/iccm3/wp-content/uploads/2012/09/PAN-Intervention-on-HHP-Spanish.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2012年10月3日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/saicm/iccm3/IPEN/IPEN_intervension_Pesticides_PAN_ICCM3.html

 議長、ありがとうございます。
 私は、農薬行動ネットワーク(PAN)を代表してお話します。
 私たちは、午前中に発表を行なった全ての発表者を称賛したいと思います。
 農業で使用されている化学物質は、人の健康と環境に大きな影響を及ぼします。推定される農薬中毒は年間4,100万人にものぼります。極めて有害な農薬は、数千の脆弱なグループ、特に北極を含む先住民のコミュニティで、彼等の健康と生活に有害影響を及ぼし、彼等の尊厳と命を奪うなど、耐え難い苦しみを与えています。脆弱なグループ、すなわち、貧しい人々、小作農民、農場労働者、子どもたち、農村の女性らは、単に急性毒性だけではなく、慢性毒性のある極めて有害な農薬に常に曝露しており、報告するのが難しい健康問題を引き起こし、私たちの将来の世代に影響を与えています。

 私たちは、国連食糧農業機関(FAO)により勧告されている極めて有害な農薬を進歩的に禁止するために断固として行動し、これらを農薬に関する国際行動規範(訳注1)に含める要求を支持します。

 私たちは、極めて有害な農薬(HHP)を単に他の農薬に替えているだけであること、例えば現在、残留性有機汚染物質(POP)としてリストされているエンドスルファンをこれもまたPOPであるかもしれず、内分泌かく乱化学物質(EDC)であり、発達神経毒素であるクロルピリフォスに替えつつあり、さらにそのクロルピリフォスをミツバチのコロニーを乱すことに関係があるといわれているイミダクロプリドに替えられるかもしれないということを理解することが重要です。

 私たちがひとつの極めて有害な農薬(HHP)を他の農薬に替えるということがあり得るることはよく理解できます。農民がこのようなやり方で扱われることは完全に不当です。彼等はもっと良い扱いを受けるべきです。私たちは、生態系に基づく農業又は有機農業(agro-ecology)を含むより安全な代替を促進する必要があります。食糧への権利に関する国連特別報告官としてオリヴィエ・ド・シュッテル氏は、有機農業は発展途上国及び移行経済国の多くの脆弱なグループのために食糧への権利を支持する農業への最良のアプローチであると強調しています(訳注2)。有機農業は、在来の農業知識に立脚し、現代的な化学物質を使用しない手法を取り入れた有機農業管理であり、世界中のほとんどの農民の必要に最もよく応える科学と実践です。この国連特別報告官の報告は、小規模農業と有機農業手法が現在の食糧危機を回避し、地域のコミュニティの必要に合致する方法を提供するという開発のための国際農業知識科学技術評価(IAASTD)報告の世界的な発見を強化するものです。

 結論として、私たちは、極めて有害な農薬(HHP)の問題は最も重要なことがらであり、SAICMの討議の中で高められる必要があると信じます。私たちはまた、国連食糧農業機関(FAO)により勧告されている極めて有害な農薬を進歩的に禁止し、より安全で農民にやさしい化学物質を使用しない代替をSAICMが是認することについて私たちが支持することを繰り返し述べます。私たちはSAICM参加者が、国家SAICM実施計画に極めて有害な農薬の進歩的な廃絶を含めること強く促します。


訳注1
農薬に関する新行動規範採択される/2002年FAO報道発表

訳注2
Report: Agroecology and the right to food by Olivier De Schutter United Nations Special Rapporteur on the Right to Food



化学物質問題市民研究会
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