2012年9月18日 ICCM3におけるIPENの発言
工業用ナノマテリアル(MNM)
デービッド・アゾレイ(国際環境法センター)

情報源:IPEN Intervention on Nanotechnology, 18 September 2012
given by David Azoulay, Center for International Environmental Law
http://ipen.org/iccm3/wp-content/uploads/2012/09/IPEN-Nano-Intervention.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2012年9月29日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/saicm/iccm3/IPEN/IPEN_intervension_Nano_ICCM3.html

議長、ありがとうございます。

 有害物質のない将来を達成することに取り組む世界の700以上の公益非政府組織のネットワークであるIPENは、SAICMの新規政策課題としてのナノテクノロジーと工業用ナノマテリアル(MNM)に対応する会合間活動、及び、SAICMの世界行動計画(GPA)に特定のナノ活動を含めること(これに関しては、議題にあがった時にコメントします)の取り組みを完全に支持します。

 受け取ったICCM3の事前コメント(訳注1)に基づき、私は何点か指摘したいと思います。

 まず第一に、この新規課題に与えられた名前によって示されるとおり、そして、この会議の準備中に出されたコメントのいくつかとは異なり、化学物質のひとつの分類としてのナノマテリアルは、全体としてひとつの分類をなす多くの物理的特性を共有し、そのことはそのように(全体としてひとつの分類として)対応されることを正当化するということを私は強調したいと思います。このような立場は、世界で最も名声のある科学的機関(イギリス王立環境汚染委員会や、EUの新規の及び新たに特定された健康リスクに関する科学委員会(SCENIHR)を含む)による声明により裏付けられています。

 第二に、1992年の地球サミットで採択されたリオ宣言(訳注:環境省訳)の第15原則によれば、人の健康又は環境に危害を及ぼす恐れがある場合には、完全な科学的確実性の欠如が対策を妨げるべきではないとしています。工業用ナノマテリアルの製造と使用に関連する既存の情報を考慮して、アフリカ地域及びラテンアメリカ・カリブ海地域(GRULAC)のSAICM 地域会合において満場一致で採択された決議の中で、この原則がナノマテリアルの管理で実行されるよう100か国以上が要求しました。

 私たちはまた、現在製造され宣伝されているナノマテリアルについて、もっと多くの情報を収集することの重要性を強調したいと思います。現在、どのくらいの数の工業用ナノマテリアル(MNM)が製造されているのかについて、また、どの製品がナノマテリアルを含んでいるのかについて、世界中で知っている人は誰もいません。リスクはハザードと暴露の関数なので、暴露に関する情報を収集することは、適切なリスク評価のメカニズムを確立するために非常に重要です。この点に関し、私たちは、適切なリスク管理手順を導くために、労働者、公衆及び環境の MNM への暴露についての十分な情報を収集する唯一の手段として、MNM の義務的な登録制度の創設を支持します。

 最後に、私たちは、MNM のハザードとリスク管理に関する知識を促進するため、MNM に関する OECD 作業部会でなされた重要な作業を認めたいと思います。私たちは、全ての地域と全ての諸国、特に発展途上国と移行経済国が、この課題に関連する議論及び世界的なアプローチと政策の開発において、積極的な役割果たすことの重要性を強調したいと思います。SAICMは正しく、ナノマテリアルの将来とナノ政策を議論するための唯一の既存の場であり、この議論のための主要なフォーラムであるべきです。この観点から、私たちは他の IOMC(化学物質の適正な管理に関する国際機関間プログラム)はもちろん、OECD が SAICM の議論に関与することを歓迎します。

議長、ありがとうございました。


訳注1
2012年7月11日 SAICM/ICCM.3/3 SAICM 世界行動計画への追加の提案



化学物質問題市民研究会
トップページに戻る