2012年9月18日 ICCM3におけるIPENの発言
内分泌かく乱物質(EDCs)
バシクット・トゥンジャク(国際環境法センター)

情報源:IPEN Intervention on Endocrine Disrupting Chemicals, 18 September 2012
given by Baskut Tuncak, Center for International Environmental Law
http://ipen.org/iccm3/wp-content/uploads/2012/09/IPEN-EDCs-Intervention.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2012年9月29日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/saicm/iccm3/IPEN/IPEN_intervension_EDCs_GPA_ICCM3.html

 議長、ありがとうございます。

 有害物質のない将来を達成することに取り組む世界の700以上の公益非政府組織のネットワークであるIPENは、内分泌かく乱化学物質をSAICMの新規政策課題として含めることを全面的に支持します。簡潔に意見を述べます。

 現在、私たちは”EDCsに関する科学的情報を決定するのにはまだ早い段階”にいるということが、前に述べられました。これは誤解を招きます。内分泌かく乱化学物質の潜在的な有害影響に関する科学的証拠は数十年前から存在します。10年前の2002年、WHOがなぜ内分泌かく乱化学物質が深刻な懸念をもたらすかを概説した報告書を作成するのに十分な証拠がすでに存在しました。SAICM参加者らがEDCsをSAICMの世界行動計画(訳注:環境省仮約)及び包括的方針戦略(環境省仮訳)のあちこちにくり返し含めた2006年に、国際社会は世界がEDCsに行動を起こすことの必要性を認めました。私たちは、”洗練された無知”のヴェールに自身を覆い隠し続けてきましたが、緊急の行動が必要であることを示す多くの証拠があります。

 EDCsが人の健康と環境に対して不合理なリスクを及ぼしているという事実は否定することが出来ません。アメリカだけでも、内分泌かく乱化学物質への暴露による健康異常を治療するためのコストは、年間1兆ドル(約80兆円)を超えると言われています。

 地球環境ファシリティ(GEF)によれば、発展途上国及び移行経済国で特定されている22の新規課題のうちの25%、又は4件に1件が内分泌かく乱化学物質に関連しています。UNEPの『Global Chemicals Outlook(世界の化学物質の展望)』(訳注1)及び『OECD EnvironmentalOutlook to 2050』(OECD環境アウトルック2050)(訳注2)は、危険な農薬のような化学物質の使用や、建材、衣料品、子ども用製品、電子機器のような内分泌かく乱化学物質を含む製品の使用と処分の増大が見込まれるので、発展途上世界の人々と野生生物はますますEDCsの有害影響の脅威に曝されるであろうということを強調しています。

 発展途上国における内分泌かく乱化学物質に関連する問題についての包括的な情報は現実にはほとんどありません。さらに、EDCsに関連する問題の評価に必要な情報を生成するための能力も資金的リソースも発展途上国にはありません。しかし、EDCsに関する情報の欠如は全ての国にとって緊急の課題です。それなのに、いくつかの活動は行われてはいますが、EDCsに目を向けた世界のフォーラムはありません。

 他の代表者らと同じくIPENは、WHOが内分泌かく乱化学物質に関する更新された報告書を最優先で発表するよう促します。UNEP-WHO提案に関して、私たちはSAICM参加者らにもっとよく説明するために提案されている協働行動を歓迎し、この課題がさらにコンタクトグループが立ち上げられるなら、そこでもっと議論されることを期待しています。

 私たちは、これらのコメントが協働の精神で受け止められることを希望します。議長ありがとうございました。


訳注1
UNEP News Centre 2012年9月5日 化学物質により生じる増大する健康と環境ハザードを減らすために緊急の行動が必要である

訳注2
OECD環境アウトルック2050:行動を起こさないことの代償 概要版(OECD東京センター)



化学物質問題市民研究会
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