2012年9月18日IPEN/ iLima ICCM3 プレスリリース
ケニアの塗料の鉛は
危険なレベルであることを調査が示している


情報源:IPEN and iLima ICCM3 Press Release, September18, 2012
Study Shows Dangerous Lead Levels in Paints in Kenya
http://ipen.org/iccm3/wp-content/uploads/2012/09/IPEN-ILima-news-release-18-Sept..pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2012年10月18日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/saicm/iccm3/IPEN/IPEN_iLima_PR_120918_ICCM3_Lead_jp.html

【ナイロビ、ケニア】本日発表されたケニアの塗料中の鉛に関する初めての調査によれば、ケニアのほとんどの主要塗料会社は危険なレベルの鉛を含む家屋用の塗料を売っている。

 ”たとえ小量の鉛への曝露であっても、子どもの知能と学校の成績を低下させ、また乱暴な振る舞いを起こさせるのだから、塗料中の高レベルの鉛はさらに深刻な懸念を引き起こす。塗料を塗った表面は時間と共に劣化して、あるいはかき乱されたときに、塗料からの鉛は屋内のホコリや家の周囲の土壌を汚染する。子どもたちは、手を口に持っていく通常の動作でホコリや土から鉛を摂取する。子どもたちの知能や精神的発達へのダメージは、たとえ明確なあるいは臨床的な鉛中毒の兆候がなくても起きる。このダメージは、一生続き、不可逆的である”と、ケニアのNGOであり塗料サンプリング・プロジェクトを実施したiLimaのディレクターであるセシリア・ンガンガは述べた。

 この調査は、ケニアの11の主要な塗料会社(Beaver, Crown, Duracoat, Basco, Solai, Contractor, Ideal, United, Shamco, Apex, Unity)からの31のエナメル塗料を検証した。サンプルのエナメル塗料は主に家屋用のものである。この調査は、全ての塗料サンプルの平均鉛濃度は 14,900 ppm であることを明らかにした。比較までに、米国は90ppm以上の鉛を含む家屋用塗料の販売と使用を禁止しているが、ケニアで購入しテストされた塗料の平均鉛濃度は米国の制限より165倍高い。

 テストした主要ブランドの全てが、国際的に認められている塗料中の鉛の制限を超える高い鉛濃度レベルの塗料を少なくともひとつは持っていた。テストされた11ブランドのうち8ブランドは、10,000 ppm 以上の鉛濃度の塗料を少なくともひとつは持っていた。テストされたケニアの塗料の中で最高の鉛濃度は 69,000 ppmであった。これはアメリカで家屋用に販売が許される塗料の最大鉛濃度により750 倍高いものであった。

 最近の世界保健機関(WHO)のガイドラインは、1週間の許容鉛摂取量を確立することはできないとしている。欧州食物連鎖汚染物質安全諮問委員会は、”重大な鉛誘因影響の閾値についての証拠は存在しない”と結論付けた。

 ”子どもの発達への鉛の有害性は80年以上前から認められており、北アメリカ、ヨーロッパ、その他どこでも、事実上全ての先進工業国は40年以上、家屋用加鉛塗料の販売と使用を禁止している”と、この研究のスポンサーであり世界中で有害化学物質に取り組む700以上のNGOの世界的なネットワークであっるIPENの上席政策顧問であるジャック・ワインバーグは述べた。

 iLima は、2012年8月に油性(エナメル)の家屋用塗料を31缶、ナイロビ及びその周辺で購入し、サンプル塗料を、国際的認定要求を満たすアメリカの信用あるテスト・ラボに送った。塗料の試料採取とテスト活動はアメリカのシンシナティ大学環境保険学名誉教授スコット・クラーク博士の立会いの下に行なわれた。

 『ケニアの家屋用塗料中の鉛(Lead in Kenyan Household Paint)』と題する報告書が、安全な化学物質管理への国際的なアプローチを開発するために世界中から代表者等がナイロビに集まった時に発表された。3年毎に開催される化学物質管理に関するこの国際会議の第3回目がナイロビで9月17日から21日まで開催されるが、同会議は既に塗料中の鉛を国際的な懸念ある優先事項として特定しており、将来の国際的及び国家の塗料中の鉛廃絶の取り組みに目を向けつつ、塗料中の鉛に関するフォローアップ決議を今週発表することになっている。

 iLima は、有害物質のない未来と持続可能な開発アプローチを促進することに特化しているケニアの登録された非営利非政府組織である。’iLima’は、南アフリカの言葉を語源とし、’共同行動(collective action)’という意味を持つ。組織のミッションは、化学物質汚染を廃絶する必要性に特に焦点を当てつつ、全ての生き物のために健康な環境を実現するために活動することである。

 テストの取り組みは、健康と環境に取り組む世界中の全ての地域からの組織の国際的NGOネットワークであり、iLimaも参加しているIPENによって組織され支援された。

 IPENは、全てのために有害物質のない未来を実現することをミッションとし、人の健康と環境を保護するために安全な化学物質政策と慣行を確立し実施するために活動する世界の主導的な組織である。IPENは、現地での活動を実施し、お互いの活動から学び、新たな政策を優先付け達成するために国際的なレベルで活動するためのメンバー組織の能力構築を支援している。

Cecilia nganga
cecilianganga@ilimakenya.org


Media:
Continued Lead Exposure From Paints Will Shutter Next Generation Dreams, New Report warns (E-News Service)



化学物質問題市民研究会
トップページに戻る