2012年9月17日IPEN ICCM3 Press Release
国連化学物質協定は2020年目標の軌道からはずれている
化学物質の使用は管理より速く増大している

情報源:IPEN ICCM3 Press Release, 17 September 2012
UN Chemicals Agreement Not On Track To Meet Goals By 2020
Chemicals use growing faster than controls
http://ipen.org/iccm3/wp-content/uploads/2012/09/IPEN-ICCM3-Sept17-Press-Release.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2012年9月17日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/saicm/iccm3/IPEN/IPEN_PR_120917_ICCM3_jp.html

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【ナイロビ、ケニア】化学物質の安全な管理のための世界計画を策定するための国際的な取り組みは順調に進んでおらず、2020年までに化学物質の有害な健康と環境への影響を最小にするという目標に合致しそうにないと化学物質管理に関する国際会議第3回会合の開始に当り、IPENの代表は述べた。

 国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)への長期的な約束とSAICMプロセスの一部分として完了した300のプロジェクトを引用しつつ、IPENの共同議長マニー・カロンゾは次のように述べた。”現在、化学物質製造とその使用は、我々の規制と取り組みの実施よりも速いペースで増大しているので、SAICMは2020年目標を達成するためにはうまく進んでいない”。カロンゾは、"NGOs は問題ある領域を特定し、改善するための触媒となり、重要な貢献をすることもきるが、しかし彼等だけでこの問題を解決することはできない。他の全ての関係者は、もし我々の目標を達成しようとしているなら、このプロセスを促進し加速させなくてはならない"と特に言及した。

 ”化学産業は、とりわけ発展途上国と移行経済国では急速に成長している。そして人々と環境の犠牲はまさしく産業の成長とともにある。例えば、国連環境計画(UNEP)によれば、サハラ砂漠以南のアフリカ地域における4年間の農薬中毒による危害のコストは62億ドル(約5,000億円)と見積もられており、それはその地域で費やされる全ての国際支援の金額を超えている。それは道理にかなわぬことであり、我々はまだこの状況を変えていないことを示すものである”とカロンゾは付け加えた。

 カロンゾは、SAICMを軌道に戻すための行動として5つの領域を特定した。

もっと強い政治的意志
 適切な化学物質管理は政府の最高レベルで優先事項とされる必要がある。政府指導者等が完全に関与しない限り、化学物質の安全に責任のある省庁は限られた予算、省庁間の不十分な調整、不適切又は実施されない規制と施行、そして化学的安全性の実施のための能力欠如を経験し続けることになるであろう。

民間部門の責任
 化学物質が安全に管理され使用されることを確実にするために政府が必要とする公的資金は、最終的には化学物質の販売から利益を得ている化学物質製造産業から来る。化学産業は、世界での年間販売額が4兆ドル(約320兆円)という世界で最も金持ちの一員なのだから、十分にこれをまかなえるはずである。UNEPによれば、化学物質の製造、消費、廃棄に関連する人の健康のコストの大部分は化学物質製造者により負担されておらず、あるいはバリューチェーンによって分担されていない。実際には人的被害が医療システムを逼迫させている一方で、個人と政府がそのコストを支払うために努力している。責任ある持続可能な産業はこれらのコストを内部化すべきである。

行動のための有意義な決定を阻止しないこと
 問題とその解決方法が特定されても、民間部門権益と政府は儲かる有害な慣行を相変わらず続けるために、時には合意されたことと、その後の行動を阻止しようとする。例えば、電子廃棄物に対する様々な解決策は広く知られているにもかかわらず、先進諸国から毎年5,000トンの電子廃棄物がアフリカやアジアに廃棄されている。電子製品は、先ず最初に有害な物質で製造されないよう設計されるべきである。

予防的アプローチ
 リスクを管理したり改善するより、予防を化学物質規制政策の優先事項とすべきである。事後の環境浄化にコストがかかることを何度も見てきたように、何もしないことが最も高価な選択肢である。

より安全な代替が組織的に有害物質の代わりに用いられるべきである
 化学的安全性を見越したアプローチは、人の健康と環境に危害を与えないより安全な非化学的又は化学的代替を絶え間なく調査し置き換えるする。例えば、環境にやさしい農業手法は極めて有害な農薬の廃止に重要な役割を果たすことができる。



化学物質問題市民研究会
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