2009年5月11-15日
第2回国際化学物質管理会議(ICCM2)
報告書(電子廃棄物)


情報源:
International Conference on Chemicals Management Second session Geneva, 11-15 May 2009
Report of the International Conference on Chemicals Management on the work of its second session

http://www.saicm.org/documents/iccm/ICCM2/ICCM2%20Report/ICCM2%2015%20FINAL%20REPORT%20E.pdf#search='Report%20of%20the%20International%20Conference%20on%20Chemicals%20Management%20on%20the%20work%20of%20its%20second%20session'

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年11月17日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/saicm/iccm/ICCM2_e-waste_report.html

F. 新規の政策課題
3. 電子廃棄物
(12ページ)

93. 地域グループを代表して発言した一人の代表は、電子廃棄物の不法な国境を越える移動は彼の地域に大きな問題を引き起こしたと述べた。ひとつの可能性ある解決は、設計を変更し、より安全な代替を見つけることによって、電気製品の製造に用いられる有害化学物質の量を減らすことである。何人かの代表は先進国と開発途上国の間でもっと多くの協力と情報交換の必要性があると示唆した。ある代表はさらに続けて、先進国は開発途上国を時代遅れの電子機器の投棄場所として利用しており、そのことは開発途上国が寿命の尽きた電子機器を安全にリサイクルする能力がないからであると示唆した。この文脈において、ひとりの代表は、開発途上の小さな島国は電子廃棄物を安全に処理する能力を開発できそうになく、したがってそれらを輸出する必要があると述べた。彼女はまた、もっとよいラベル表示を要求し、非公式なリサイクルにより及ぼされる危険と取り組む必要性に言及した。

94. 何人かの代表は、、少なくとも電子廃棄物の問題は、取り組みの重複を避けるという観点をもって、バーゼル条約との密接な協力に目を向けるべきであると述べ、電子廃棄物の問題は同条約の事柄であると示唆した。他の代表者らは、電子機器の寿命が尽きて廃棄される時点で廃棄物になるだけなら、全体論的な見方が必要であると述べて、難色を示した。いくつかの国からなるひとつのグループを代表して話をした一人の代表は、そのような製品はしばしば開発途上国の買受人にほとんど寿命の尽きた状態で売られていることを指摘した。そのことは、それらの製品が売られる時点でほとんど廃棄物であるが、バーゼル条約ではカバーされないことを意味する。他の代表は、バーゼル条約の作業部会(OEWG)はグリーン・デザインの問題点を取り上げないことに決めているので、本会議がこの課題を検討する必要があると言及した。

95. 討議に続き、会議は新規の政策課題を討議するために設立されたコンタクト・グループにこの課題を付託することに同意した。


5. 包括的決議 (13ページ)

98. 会議はナノテクノロジーと工業的ナノマテリアル、製品中の化学物質、有害物質と電気・電子廃棄物のライフサイクル、及び塗料中の鉛の問題をひとつの決議に統合し、その決議を新規の政策課題を検討するための様式に併合した。したがって、今回の報告書の Aannex I に示される新規の政策課題に関する決議 II/4 を採択した。


Annex I
決議 II/4: 新規の政策課題


D
電気・電子機器製品のライフサイクルおける有害物質
(36ページ)

 会議は、

 国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)とその目的、及び世界行動計画の関連する作業領域は、廃棄物管理を含む化学物質の適切な管理に対するライフサイクル・アプローチに基づいていることを想起しつつ、

 また、政府、国際機関、及び多国間組織事務局間の相乗効果を強化し、国家、地域、及び世界レベルでの政府、民間分野、及び市民社会組織間の化学物質の適切な管理に関する協力を強化するための戦略的アプローチの目的を想起しつつ、

 この問題に関する有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約、特に電気・電子廃棄物の適切な管理に関するナイロビ宣言にしたがった任務を想起しつつ[3]、

 また、下記を想起しつつ、

(a) 製品寿命が尽きそうな及び製品寿命が尽きた電子製品が開発途上国で投棄されるという結果をもたらす懸念が増大しており、それは重金属や臭素化難燃剤のような有害成分の国境を超える不法な移動という結果となる。

(b) ほとんど全ての開発途上国及び移行経済国では環境的に適切な方法で電子廃棄物を取り扱う能力がなく、人の健康と環境に危害を引き起こす有害物質の放出をもたらす結果となる。

(c) 実現可能なら電子・電気製品中に含まれる有害物質を廃止するという目標を持って、クリーンテクノロジーや環境的に適切な設計と電子・電気製品のリサイクルを継続的に開発する緊急の必要性がある。

(d) 電子・電気製品のライフサイクル管理においてプロダクト・スチュワードシップと拡大生産者責任を考慮することが重要である。

(e) バーゼル条約の電気・電子廃棄物プログラムは、その効果的な実施に向けた追加的で適切なリソースの準備によってさらに強化する必要がある。

(f) 化学物質の適正な管理に関する国際機関間プログラム(Inter-Organization Programme for the Sound Management of Chemicals)の参加組織含む他の組織は、経験を強化し、現在、電気・電子製品と廃棄物に向けて取り組んでいる。

脚注3 UNEP/CHW.8/16*, Annex IV.

1. 利用可能な範囲内で、ライフサイクル・アプローチに基づき、電気・電子製品に関連する論点を検討するためにワークショップを企画し、計画し、召集するために、化学物質の適正な管理に関する国際機関間プログラム、有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約の事務局、及び残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)の参加組織を招聘する。
 このワークショップは、特にバーゼル及びストックホルム条約の要求という脈絡において、電気・電子製品の設計、グリーン・ケミストリー、リサイクルと処分を含んで、化学物質の適切な管理に関連する問題が電気・電子製品のライフスパンの間に生じる場所を特定し評価することを求め、可能な程度に既存のメカニズムを通じて将来の作業のための一連の選択肢と勧告を開発するものであり、それは検討と可能性ある協力的な活動のための会期間会議及び第3回国際化学物質管理会議(ICCM3)において提供されるであろう。

2. ワークショップは2010年5月に予定されるバーゼル条約の作業部会(OEWG)会議の合間に開催されるべきこと、及びワークショップの組織者は、ワークショップの準備及び実施の両方に、政府、政府間組織、産業分野及び非政府組織を含んで、全ての関連する利害関係者を関与させることを提案する。

3. 政府、政府間組織、産業分野及び非政府組織は、paragraph 1に参照されるワークショップの組織を支援するために専門性、及び金銭的並びに金銭以外のリソースを自主的に提供するよう求める。

関連情報:
2009年5月11-15日 第2回国際化学物質管理会議(ICCM2)報告書(ナノ関連 SAICM/ICCM.2/10/Add.1 2009年4月7日 第2回国際化学物質管理会議(ICCM2)SAICM 新規の政策課題 Annex III 電子廃棄物(ファシリテータ:ナイジェリア)  有害物質と電子廃棄物に関する決議案と優先領域


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