REACH に手厳しい EU 諸国の産業大臣ら

情報源:Industry ministers give Reach a gruff welcome
Environment Daily 1549, 10/11/03

この情報は「化学物質と予防原則の会」の
大竹千代子さんに提供いただきました。

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2003年11月12日


 EU 諸国政府は、新たな REACH 化学物質政策の立法への合意に向けて本気になりだした。 REACH 提案が欧州委員会により先月末発表されて以来、最初に開かれた大臣会合で明らかになった。

 月曜日(11月10日)のブリュセッルでの REACH に関する公開討議で、競争力委員会の下に参集した産業及び科学担当大臣らは、欧州委員会の土壇場での手加減を歓迎したが、更なる簡素化を要求した。また、彼らは、欧州委員会の影響評価にも満足していなかった。

 ”産業界寄り”から少し離れた立場をとる環境大臣らからの重要な働きかけが予想されるが、競争力委員会は、最終的に EU 諸国政府の REACH に対する立場を決定することになる。

 月曜日の意見交換で、三大化学産業国は、それぞれの最初の反応を外交的に述べた。
 ドイツは、提案は最近の政府/産業界共同の REACH 批判文書での ”多くの要求事項” を満たしていると述べた。しかし、これは ”全ての点において真実ではなく、それらのうち重要なのは1、2点である” としている。
 イギリスは、 ”更なる改善がなされるであろう” とし、一方、フランスは、 ”喜ばしい修正が織り込まれている” が、 ”さらに(修正が)必要である” としている。

 その他の諸国はもっと率直である。スペインは、 ”まだ REACH は複雑過ぎ、産業界に高くつく” とし、一方、オーストリアの経済大臣マーチン・バーテンスタインは、この案は ”雇用にとって大きな脅威” と述べた。
 いつもは化学物質規制に対する強力な推進者と見られるデンマークとスウェーデンは、中立的な反応であった。

 イタリア、アイルランド及びオランダの見解は、現在及び次期 EU 統括国として、 REACH へ与える影響が大という点で、極めて重要となるであろう。イタリアは、 ”著しい修正” を望むとして、もっと限定した範囲、国内製造者が輸入規制で不利益を受けないことの保証、及び企業秘密に関する規制の強化を挙げた。

 オランダの経済大臣ローレンス・ブリンクホルストは、新政策はアメリカ及び日本との通商関係に影響を与えてはならないとし、手続き上の煩雑さが ”主要な問題” であると警告した。彼は、提案されている欧州化学機構についてより強力な指導力を主張した。

 アイルランド産業大臣メアリー・ハーネイは、欧州委員会による REACH の経済影響評価は ”十分耐えうるものではなく” 、提案の最終修正で 80 %のコスト削減となるという主張は ”非常に根拠が薄い” と非難した。
 この評価は、 ”第三国の市場における競争力について過少評価” しており、 ”利益を裏付けるデータがほとんどない” と彼女は述べた。彼女のコメントは、産業界が要求する第三者による評価を支持するほとんど全ての大臣の声を、優しい口調で反映したものである。

The Council of the European Union 欧州連合理事会(閣僚理事会)


化学物質問題市民研究会
トップページに戻る