私たちは有害化学物質を次世代に残さない
EU の新たな化学物質規制案(REACH)をめぐって

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対談:安間 武(化学物質問題市民研究会)
市民セクター政策機構 編集部
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市民セクター政策機構 月刊誌 
『社会運動 Vol.307』 2005年10月号
掲載
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市民セクター政策機構(http://cpri.jp/)のご好意で転載いたしました。
転載日:2005年10月28日
このページへのリンク
https://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/reach/japan/Shimin_Sector_051015.html


 EU憲法国民投票の「否決」という報道は、衝撃的であったが、その後「何故か」という報道はつとにみあたらない。日本のマスコミは、欧州よりアメリカに偏っている。こうした中で同じような扱いがこのREACHをめぐるものだ。REACHの本質については政府や企業、マスコミより市民の方が鋭敏に反応している。この市民の声を日本の化学物質政策に反映させたい。(編集部)


北海・バルト海の汚染は、一国認識を変えた

― まず、REACHの背景と現状から教えてください。
<安間> ヨーロッパの人々は地球上のあらゆる場所や生物が大量の化学物質で汚染されていることを知るようになりました。年間約4億トン、数万種類の化学物質が製造されており、水、土壌、大気、植物、動物、人間など、あらゆる場所を汚染していることに気がつきました。
 私は前欧州議会議員でREACHの策定に深く関わったスウェーデンのインガー・ショーリングさんが著した『EU 化学物質政策の探索ガイド REACH 何が起きたのか、なぜ?』 という本を翻訳しましたが、その中では、これらの汚染を調査した多くの報告の例を挙げて次のように説明しています。
 汚染物質が、その発生地である温暖地域から地球規模の蒸留作用で上空に上がり、長距離飛行して山岳地帯や北極にまで運ばれて、大気、雨水、雪、海、湖、川などの環境を汚染しています。そしてそこに棲む生物や人間を汚染しています。
 また、汚染物質は身の回りの食物、たとえば魚、野菜、果物や、家の中の埃、そして人間の血液、組織、さらには母乳をも汚染しています。


 化学物質への暴露は人間の様々な病気と関連していると言われています。化学物質が原因と言われる病気には、がん、心臓血管系疾患、呼吸器系疾患、生殖系疾患、発達系疾患、神経系疾患、化学物質過敏症などがあると言われています。特に、胎児、子ども、そして女性などが化学物質による影響を最も受けやいのです。
 人々は地球環境が破壊されていることを実感しています。気候変動、オゾン層の破壊、生態系の喪失、大事故、雨や湖の酸性化、地表オゾンの増大、川や湖、地下水の汚染、森林破壊、海岸の汚染、廃棄物、そして生態系の一員である人間や動物の健康へのダメージです。
 化学物質汚染は国境を越えて自由に広がっていきます。ヨーロッパでは特に北海やバルト海などの海洋汚染がひどくなりました。これらの環境汚染は一国では対処できないという認識の下に、1972年、世界で初めて環境保護をテーマにした国連人間環境会議がストックホルムで開催されました。そこでストックホルム宣言が提案され、各国首脳はその宣言に述べられた環境の保護の指針原則に合意しました。
 その後、環境汚染に対する多くの国際条約が結ばれました。これらの国際条約にはそれぞれ重要な概念や原則、目的が盛りこまれています。EU加盟諸国の政策において、環境問題や化学物質問題が重要な課題として位置づけられていきました。

環境汚染に関する国際条約

1972:ストックホルム宣言(国連人間環境会議 ):各国首脳が環境の保護の指針原則に合意
1973:マーポール条約(海洋汚染防止条約 ):船からの有害物質投棄を最小
1985:ウィーン条約 /モントリオール議定書 :成層圏オゾン層破壊物質の制限
1989:バーゼル条約:国境を越える有害廃棄物の移動管理
1992:リオ宣言とアジェンダ21(国連環境開発会議): 化学物質の安全使用 、予防原則
1995:エスビエル宣言(北海の保護に関する第4回国際会議):一世代目標
   海洋環境における汚染濃度に関し、自然に発現する物質についてはバックグランド・レベル近くまで、
   人工物質についてはゼロ近くまで最終的に下げることができるよう環境に有害な化学物質の海への
   排出あるいは漏洩を2020年までにやめなくてはならない。
1996:ロンドン条約(有害廃棄物の海洋投棄:予防的アプローチ、汚染者コスト負担の原則
1997:京都議定書(気候変動枠組み条約):温室効果ガス排出量の削減目標設定
   (日本は90年比で6%削減)
1998:ロッテルダム条約:有害物質輸出における相手国への事前通報同意(PIC条約)
2001:ストックホルム条約:残留性有機汚染物質POPs の廃絶
2002:ヨハネスブルグ持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD):
   2020年までに化学物質の影響を最小にする(一世代目標)

― これは、汚染が国際性を持っているということで、いろいろあるかもしれませんが、EUの統合が牽引していくという要素が大きいですか。
<安間> EUはヨーロッパ諸国が軍事と外交を除く社会、経済政策について、ひとつの共同体としてまとまった国家の連合ですから、当然、環境問題もEUの大きな政治課題となります。  環境の問題についていえば、最初の1972年の時は、ECはありましたけれども、もっと小さかったですね。しかし、彼らにとって身近なバルト海とか北海の汚染を目のあたりにして、一国では解決できませんから、国際間で処理しなければという認識だったと思います。

― そういう問題にNGOがかかわったというのは……。
<安間> ヨーロッパでは、日本に比べれば、政策決定への市民参加としてNGOや労働団体が取り組める枠組みが出来ているようです。
 例えば、グリーンピース、WWF(世界自然保護基金)、欧州環境ビューロー、FOE(地球の友)、あるいは欧州労働組連合(ETUC)といった団体は、何かあった時には公式、非公式に呼ばれて発言しています。REACHについては、作業部会を含めて、策定段階の要所でNGOや労働組合がオブザーバーとして呼ばれて、会議では発言できなくても、議論されていることについてはきちんと分かっているのです。
 国際条約に関しても、常にNGOが監視しています。一番いい例がバーゼル条約で、グリーンピースやバーゼル・アクション・ネットワークが、ここは危ないとかここはダメだというふうにホイッスル・ブローイングする。これはかなり効果があります。
 ですから、EUの政府側も、ある時はうるさいと思うけれども、市民の意見であるわけですから、それに耳を傾け、政策に取り込もうとするのです。
 日本でも、パブリックコメントがありますが、実体はない。応募期間が極端に短く、市民がコメントを出しても取り入れない。あらかじめ役人が作ったシナリオが決まっているのです。審議会などにも、環境団体、消費者団体を入れていますが、いつも同じ顔です。役人の作ったシナリオを変えさせるような意見を出すことは非常に少ない。市民団体を参加させているという政府のエビデンス作りに利用されている。このような"市民の代表"は市民参加の責任を果たしておらず、大いに問題です。

REACHの核心―三万種の既存化学物質の安全確認

 それでは何故REACHかですが、ヨーロッパでも化学物質規制はありましたが、1981年9月、73年に出来た日本の化審法(化学物質の審査・製造規制法)に対応する法律が出来ました。これらの法律は、新たに市場に出す化学物質については、企業は市場に出す前に安全情報とテストデータを当局に提出して審査を受け、問題があれば当局は規制を掛ける。そういう意味では、日本の化審法は運用上問題もありますが、新規化学物質の審査という枠組みとしてはEUより早かったわけです。
 問題は、日本で73年、ヨーロッパで81年の時点で、すでに市場に出ている既存化学物質についてはデータの提出要求がなく規制の対象にならないということです。

― 遡及しないということですね。
<安間> ヨーロッパでは、81年9月以前に市場に出たものを既存化学物質、81年の法律発効後に市場に出たものを新規化学物質と言っています。新規化学物質は、化学物質の一般的な性状に関する基本情報はもちろん、安全情報の届出要求がありますけれども、既存化学物質にはそのような要求はなく、したがって安全性が確認されていなのです。これは日本も同じです。
 化学物質は市場に約10万種あると言われています。その中には量が少ないものもあるし、かつては市場に出たけれど、今は出ていないというものもあります。REACHの基本は、製造者又は輸入者当たりの年間製造量が1tを超える全ての既存化学物質は新規化学物質と同様に基本情報と安全情報の届出が要求され、安全性が確認されない化学物質は市場からなくそうという考え方です。このような既存化学物質は約3万種あるといわれています。
 ところが、新規化学物質については安全情報の届出のために手間がかかるので、企業は新しい化学物質を開発したがりません。安全性を確認しなくてもいい化学物質を使っている方が安易だからです。そういう意味で、81年以降の新規化学物質の届出数は少なく、3,000種類位といわれています。
 つまり、REACHのポイントは、新規化学物質については安全情報があるけれども、年間製造量が1トンを超える約3万種の既存化学物質については安全情報がほとんどないので、期限を決めて順次、情報をきちんと揃えて、場合によってはテストもして安全性を確かめようということです。既存化学物質には情報がなく、したがって安全なのか危険なのかわからないということが問題なわけです。
 日本でも同様で、化審法の問題のひとつは、化審法が施行された73年以前の化学物質にはほとんど情報がないということなのです。それで、REACHが動き始めたものだから、慌てて既存化学物質の情報を収集するためのジャパン・チャレンジ・プログラムというのを今年になって提案し、プログラム推進委員会というのを立ち上げてチョコチョコと2回、会合を開き、2週間のパブリックコメントにかけて6月に役人が作った筋書き通りのものを立ち上げました。このジャパン・チャレンジ・プログラムには後でお話しするようにいろいろ問題がありますが、化審法ができてから30年以上経過して、やっと本格的に既存化学物質の情報収集に手をつけさせたということは、REACHの波及効果の一つだと思います。

REACHが姿をあらわす

REACHの経緯
欧州委員会、欧州議会、閣僚理事会

■1998年EU環境大臣による閣僚理事会(チェスター会議)
  新たな化学物質規制が必要であるとして欧州委員会にその提案を要請
■2001年欧州委員会
  「将来の化学物質政策に関する白書」を発行: (REACHの概念)
■2003年欧州委員会
  REACH案インターネット・コンサルテーション(5月〜7月)
  REACH最終案 (10月29日)
■2004〜2005年 欧州議会、閣僚理事会、産業界の検討
  REACH実施プロジェクト(RIPs)
  産業界が経済性影響評価(KPMG Study)提出2005年4月
  SPORTプロジェクトREACH実行性検証報告提出2005年7月
  議会内各委員会が修正案を検討
  議会採決、閣僚理事会の意見 (2005年末?)
■2006年末〜2007年前半:発効か?
 そこで、REACHの経緯と現状です。1998年、イギリスのチェスターに当時のEUの環境大臣たちが集まって、ヨーロッパの環境汚染の問題は解決されておらず、また既存化学物質の安全性が確認されていないことも問題であり、今のEUの化学物質政策では人の健康と環境を守ることができない。したがって全く新たな化学物質政策が必要であるということについて合意しました。
 EUの政治機構は、ご存じと思いますけれども、REACHなどを作っているのは欧州委員会です。ここは政策を策定し実施する執行機関であり唯一法案を提出する権限を持っています。ほかに欧州委員会の政策提案を審議し採決したり、日常的なEUの政策運営を監視する欧州議会があります。それから、欧州理事会と閣僚理事会の2つの理事会があります。欧州理事会は、各国の元首が年4回集まってトップポリシーを決める理事会ですし、閣僚理事会は、各国の大臣が議題に応じて出席します。98年のチェスターの閣僚理事会は環境問題だったから、各国の環境大臣が集まったわけです。
 閣僚理事会は、欧州委員会などがやることについて意見を述べたり、方針を決めます。だから98年のチェスター会議では、欧州委員会に対して、現在の化学物質に対する規制を見直して新しいものを提案しなさいと指示したわけです。政治的・経済的なしがらみがなく、純粋に環境問題を懸念してそういう指示をしたことは、私は非常に素晴らしいことであったと思います。
 それを受けて欧州委員会は、2001年に「将来の化学物質政策に関する白書」を出しました。これが現在のEUのさまざまな化学物質政策の基本になるバイブルです。そこでは市場に出る全ての化学物質は、まず情報を揃えて登録(Registration)させる。それから内容を評価(Evaluation)して、高い有害性の懸念があれば認可(Authorization)の対象とします。すなわち、化学物質の登録、評価、認可(Registration, Evaluation and Authorization of CHemicals)という基本的な概念が2001年の白書にはすでに入っているわけです。REACHはこの頭文字をとった略称です。
 また、この白書の中でEU の化学物質政策は予防原則に基づくと明確に述べています。この「白書」は承認されて、これに基づいて総合的な化学物質規制案を作ることになり、欧州委員会は2年後の03年春に新化学物質規制案(REACH)を発表しました。
 このREACH案は、インターネット・コンサルテーションという言い方をしていますが、'03年5〜7月の2か月間、インターネットによる国際的なパブリックコメント(PC)にかけられました。

REACHに誰が反対しているのか?

 2001年に「白書」が出来て03年に発表されるまでの約2年間のREACH策定中に、欧州委員会は非常にオープンに産業界やNGOとも話をし、また国際的にもいろいろ話をして意見を聞いていたわけですが、REACHに反対したのは主に産業界とアメリカでした。
 産業界はREACHをやるとコストがかかりヨーロッパ産業の競争力が損なわれると懸念しました。アメリカはREACHがアメリカの化学物質政策や産業界へ影響を与えることを恐れて、REACHつぶしの大々的なロビーイング・キャンペーンを展開しました。当時の国務長官パウエルは、EU加盟国と、その他35カ国に駐在するアメリカ大使に対し、REACHに反対する"行動要請"の電文を密かに発信していることがNGOにより曝露されました。

 また、国務省、EPA、アメリカ産業界の代表がヨーロッパ各国へ出向いてREACHつぶしの働きかけを行いました。
 EUでも98年のチェスター会議の時は、本当に環境のことを懸念した純粋な考え方だったのですが、だんだん産業界寄りの意見が入り、欧州理事会のブレア(英)、シラク(仏)、シュレーダー(独)は、REACHにより欧州産業の競争力が損なわれてはならないという手紙を欧州委員会に出しました。アメリカはそういうところにも圧力を掛けたのですね。手紙では2000年3月、リスボンの欧州理事会で設定された持続可能な発展と充実した社会を確実にする社会政策及び環境政策と並んで、2010年までにヨーロッパは世界で最も競争力のある経済力をもつという目標を設定したリスボン戦略が引き合いに出されました。
 さらに、REACHをやると動物実験が多くなると言って、動物愛護団体がものすごく反対しました。確かに、REACHが求めるテストを個々の登録者が独自にやれば、すごい数の実験動物が必要になるのです。したがって、REACHでは動物実験を減らすために、実験データを登録者らが共有することを求めています。

REACH実施の準備と経済性影響及び実行可能性の検証

 2003 年5〜7月の2か月間のインターネット・コンサルテーションで約6000通のコメントがあり、全てのコメントはウェブ上で発表されました。コメントの多くは産業界からのものです(42%)。日本も含めて各国の政府機関もコメントを出しましたし、NGOや労働組合も出しています。
 インターネット・コンサルテーションのコメントを受けて、'03年10月29日に提示されたREACH最終案は、産業界や貿易のパートナーであるアメリカなどの圧力を受けたこともあり、大きく後退した内容となりました。
 例えば、企業の情報公開は企業の名前や生産量を出さないとか、企業に対する一般的な安全に関する注意義務を緩める、ポリマーを対象からはずす、データ・テスト要求についても1トンから10トンまでの少量化学物質については大幅に緩める−などです。
 欧州委員会がまとめたREACH最終案は欧州議会と閣僚理事会で審議されるわけですが、'04年6月に欧州議会の選挙があり、議員はそれどころではない。(笑) したがって、'03年10月29日に議会に出された最終案を議会が審議し始めたのは選挙後で、実際には約1年後の'04年の9月ごろでした。議会には委員会がたくさんありますけれども、その中の10の委員会がREACHについて検討しています。
 産業界は自分たちに対する影響を少しでも緩和したいので、いろいろとREACHに反対する理由を挙げました。その中で主要なもののひとつは、ヨーロッパ産業の競争力が落ちる。もうひとつは、登録の手続きが煩雑であり、実行可能性(ワーカビリティ)が問題だと。この2点を挙げて、REACHをもっと緩和しろと言ったわけです。
 2005年になってEUの中で3つの動きがあり ました。
 ひとつは、EUの中にRIPs(REACH実施プロジェクト)というのが作られました。これは、REACHが出来たら、いろいろなガイダンス(手引書)が必要になりますし、動物実験を減らすことが大きな課題なので、モデルをつくって動物実験に替えられないかとか、登録情報のデータベース化のためのITツールの開発など、REACH運用の支援を受け持つのがこのRIPsです。
 もうひとつの動きは、産業界はインターネット・コンサルテーションでいろいろコメントを出したけれども、まだ十分に反映されてない。だから、議会に修正させようというわけです。既に述べたヨーロッパ産業の競争力の問題とREACHのワーカビリティの問題です。
 そこで産業側は、こういう経済性影響調査をやりたいと欧州委員会に言って、KPMGというヨーロッパの大きなビジネスコンサルタント会社に委託して、どういう影響があるかというようなことを調査しました。
 その調査の報告書が今年4月に発表されて、欧州委員会の中のワーキンググループでも検討しました。その結果、EU側の公式見解は、基本的にREACH案を大きく変更しなければならない理由は何もないとしています。
 産業側が問題にするコストについて、EUは03年10月29日のREACH最終提案でコストが掛からないようにかなり修正して、その結果に基づく金額を見積もっています。
 KPMGによるコスト見積りはこのEU側の見積りとそれほど違わないことがわかりました。なお、KPMGの調査は、いわゆる中小企業は大仕掛けのものになじまないから、一番影響を受けるのは中小企業だと報告しています。これについては欧州委員会も認めています。
 しかし、既存化学物質の登録は、量とか毒性によって3年間、6年間、11年間と段階的に導入するようになっており、中小企業が扱っているのは11年に該当するものが多い。したがって、準備期間が期待できる。また、RIPsプロジェクトで、中小企業向けにガイダンスとかマニュアルを徹底的に作るし、コンピューターを駆使してコストが掛からないようにするので、基本的には問題はないという見解を出しています。
 そして三番目の動きとしては、ワーカビリティ検証のための欧州委員会と産業界と加盟国によるREACH実行性検証プロジェクト(SPORT)があります。  これは、欧州委員会、産業界、そして加盟国の3者が一緒になってREACHの登録業務を試験的に検証してみようというものです。産業側は企業を大中小選び、化学物質を50ぐらい選んで、実際に登録作業とそのためのテストをする。それから、出てきた書類を評価するのは加盟国なので、加盟国がチェックしてみる。そういった模擬のテストをしたのですね。その検証結果がこの7月10日に発表されました。
 SPORTというプロジェクトが発表した報告書によれば、REACHの条文を調整したり、もっと明確にしなければいけない部分がある。そのためにはマニュアルとかガイダンスが必要であると言っています。
 それに対する欧州委員会のコメントのプレスリリースはまだありませんが、オブザーバーとして参加していたWWFと欧州労連はコメントを出して、条文の微調整は要るけれども、基本的にワーカブルであるという結論のレポートであるとしています。むしろ、産業界のほうがREACHに対応するためのパラダイムシフトが出来ていない。だから、自分たちでパラダイムシフトをやりなさいというコメントを出しています。
 以上をまとめると次のようになります。(1) 欧州委員会が作ったREACH実施のプロジェクトがガイダンス、ITツールなどの準備をしている。(2) ビジネスインパクトについては、産業界がKPMGに委託したものが4月に出てきた。欧州委員会は、中小企業が若干影響を受けるが全体としては問題ないとしている。(3) ワーカビリティについては、7月10日にSPORTプロジェクトの検証報告が出たが大きな問題はない。

欧州議会と理事会での検討

 EUの議長国は半年の持ち回りで、今年の6月までルクセンブルク、7月からイギリスになりました。REACHについていえば、現在、修正案がいろいろ出ているが、それを11月ごろEU議会で採択、年内に理事会の承認を目指していると欧州委員会の環境委員スタブロス・ディマスは言っています。
 実際には、欧州議会と理事会との意見調整が必要なので、REACHが発効するのは'06年末から'07年のはじめであろうと言われています。
 いま、欧州議会の中で10の委員会が関与していると言われています。もちろん環境委員会がメインなのですが、そこでも1000項目以上のコメントが出ているそうです。
環境委員会から出ているコメントとして、中小企業に対してREACH発効後13年間に(11年間ではない)無料でデータを提供する、最初の登録期間(訳注:3年)に全ての既知の残留性、生体蓄積性、及び有毒性(PBT)物質、高残留性及び高生体蓄積性(vPvB)物質、及び同等の懸念ある物質を加える−などがあります。
 域内市場委員会(IMCO)からは、会社がテストを行う化学物質は、その化学物質の製造量・輸入量に基づくという現在の提案とは異なり、健康と環境に及ぼすリスクに基づくという方向にもって行こうとする提案が出ています。この"リスクに基づく優先度"は、欧州化学産業連盟(CEFIC)や他の製造者団体による激しいロビーイング活動を背景に、化学産業界によって最初に提案されたものです。
 また、EU加盟の2カ国(マルタとスロベニア)からは、低生産量化学物質(年間生産量1〜10トン)の登録は高生産量化学物質の登録とは大きく異なるべきであり、それは"入手可能な"データと基本的な曝露情報だけに基づくべきであるという提案が出ています。

REACHの基本理念と2020年までの1世代目標

― これまでの政策との違いは、どこでしょう。
<安間> いわゆる枠組みとして捉えた時の、既存の政策とREACH提案を比較してみましょう。
 まず登録対象に関し、既存の政策は先ほど申し上げたように1981年以降のものだけですが、REACH提案では、既存物質も新規物質も区別せずに登録する。既存物質についてはREACH発効後11年間で段階を区切って全てやれと。そして、フェーズインという言い方をしていますが、3年、6年、11年。大量製造化学物質と発ガン性物質などは3年以内、製造量が100〜1,000tのものが6年以内、1〜100tのものが11年以内です。
 次に登録範囲ですが、EUの今の規制では1業者の年間製造・輸入量が10kgを超える物質が対象です。それをREACH提案は1t以上にしました。したがって網の目が大きくなったので登録対象となる化学物質の数は大幅に減ったのです。このへんは、産業界がいろいろ言って1tになったわけです。逆にいうと、今は10kgだから非常に手間暇が掛かる。製造量の少ない化学物質の数はものすごく多いですからね。1tに上がれば、手間暇は掛からなくなります。

既存の政策とREACHの違い

 一番大きいことは安全性の立証責任です。今までは、安全性が確かめられないものが市場に出ていました。そして被害が出るまではその物質は安全であるとみなされ、被害が出てからはじめて規制されていました。日本でも同じで、水俣病、カネミ油症、最近のアスベストなどみんなそうですね。
 現在、EUでこれらの物質のデータを収集し、安全性又は有害性を調べているのはEU当局です。その作業のために大変な労力をかけていますが、30,000種の既存化学物質について、これらのことを行うことは、EU当局の能力の限界を超えています。
そこでREACHでは既存化学物質の情報の収集と安全性の証明の責任は、その化学物質の製造者に求めています。これがEU当局から製造者への立証責任の移行です。
 法体系については、現在のEUの化学物質規制は40以上の指令(Directives)からなっており、非常に複雑でわかりにくいといわれています。ところが、REACH規制案は、REACH一本で化学物質の規制をやろうということになったのですね。また規制の実施は各国当局がそれぞれやっていましたが、今後は、REACHのために欧州化学品機構というものを設立して、そこが管理するというかたちになります。
 枠組みについてはこういうところが大きい変化だと思います。

REACHの基本理念

REACHの基本理念
■安全性の確認
  市場から安全性が確認されていない化学物質をなくす
■立証責任の移行
  製品を市場に出す企業が安全性を証明する
■予防原則
  有害性が科学的に十分に立証されていなくても、
  合理的な懸念があれば、事前に予防措置をとる
■代替原則
  より安全な代替物質、代替方法を探し、採用する
■情報公開
  決定のプロセス、化学物質データを市民に公開する
■一世代目標
  有害化学物質から一世代以内に脱却する(次世代に残さない)
 REACHの基本理念とは何なのか。実はこれが一番大事なことです。
 見方が2つあって、ひとつは、経済、社会、環境、いわゆる政治的な視点です。
 REACHはもともと環境政策ですが、産業界に影響を与えるので、常にビジネスと絡んで来ました。EUの化学産業の競争力を維持し強化しなければいけないし、ヨーロッパの域内市場の崩壊を防止しなければいけない。プロセスに透明性がないといけない。またOECDなどのいろいろな国際的な取り組みとも整合性を持たなければいけない。動物実験の数を減らさなければいけない。WTOとの整合性の問題もあります。
 もうひとつは、環境と健康からの視点です。その中で、1つ目は安全性の確認。要するに安全性の確認されてないものは市場に出してはいけない。No Data, No Market という言い方をします。2つ目は立証責任を企業側に負わせる。3つ目は予防原則。これはヨーロッパではかなり行きわたっていて、'01年 の白書でも、ヨーロッパの化学物質政策は予防原則に基づくと、はっきり書いてあります。今回のREACHも予防原則に基づくときちんと書かれていて、現実に予防原則に則った枠組みになっています。
 4つ目は代替原則。これは、危険があるのなら、より安全なものに替えるとか、より安全なものを奨励しろということです。5つ目は情報の公開。これについては産業界から企業秘密の保護について強い要求があり、会社毎の正確な生産量、調剤中の成分についての詳細リストなどは機密情報として公開されません。
 そして6つ目に、一世代目標というのがあります。これは、有害化学物質の影響は次世代に残してはいけない。一世代以内に最小になるようにしよう。これをはじめて目標として掲げたのは95年のエスビエル宣言(北海の保護に関する第4回国際会議)ですが、02年のヨハネスブルグの世界首脳会議(WSSD)において、2020年までに化学物質の影響を最小にする(一世代目標)として再確認されました。
 REACHにおいても、基本的に2020年までに決着をつける。そのためにはREACH発効から11年後には市場の物質は全部、安全性を確認して、2020年にはもう問題がなくなっていると。そういう非常に高い理念があるのです。

― そういう意味では、2020年というのはかなり完全にオーソライズされていると見ていいですか。
<安間> そうです。EU 環境委員スタブロス・ディマスは2005年6月21日のスピーチにおいて、ヨハネスブルクサミットで2020年までの一世代以内に化学物質の全ての有害な影響を最小にすると参加国が約束したことを引用し、これをREACHで実行すると言っています。一世代目標という言葉は日本ではほとんど使っていませんが、それは経産省や環境省、産業界としては具合が悪いからですよ。すでに述べたように、国はジャパン・チャレンジ・プログラムという既存化学物質の情報収集プログラムを立ち上げましたが、これは情報収集だけであり、リスク評価をいつまでに行うのか、市場から安全性が確認されていない化学物質をいつまでになくそうとしているのか、全く示されていません。

予防原則をめぐって

― なるほどね。市民としては2020年までに有害物質から脱却しようという動きは非常に分かりやすいと思います。 予防原則はどのようになっているのでしょうか? 予防原則って、解釈の幅ってすごいじゃないですか。
<安間> 研究者などはいろいろ難しいことを言いますが、非常に直感的に言うと、あることが危険であるということが合理的に認識された時には、因果関係が必ずしも科学的に十分に証明されていなくても、その危険なことに対して予防的な措置をとるというのが予防原則です。実は、それ以上のことをあまり議論する必要は、本当はないのですね。
 ただ、厳密に理解すると、予防原則には大きく分けて2つの流れがあるのですよ。
 1つは、1998年にアメリカのウイングスプレッドというところで科学者やNGOたちが集まって、予防原則ということについて会議をし、ウイングスプレッド声明というのを出しました。そこで言っていることを整理すると、予防原則の基本要素は4つあります。
 1つは、健康と環境を守る目標を設定し、それに向けて働きかける。2つ目は、潜在的に有害な行為や物は代替を探してより害の少ないものを使用する。3つ目は、立証責任は被害者や潜在的な被害者ではなく、行為の提案者に移行する。つまり、被害を受けた人が訴えた時に、因果関係を証明することを求められるのではなく、物を作った側が、初めから安全であるということを確認してそれを市場に出せと。まさに立証責任ですね。4つ目は、健康と環境に影響を与える政策決定には民主主義と透明性があること。  これは全部正しいと思います。
 一方、EUでも2000年に「予防原則に関する欧州委員会コミュニケーション COM2000予防原則」という白書を出しています。ウイングスプレッドとは少し違って、ひとつは、何か予防措置を取る時には、その予防措置が意図した保護レベルと釣り合うこと、すなわち予防措置は過小でも過大でもないこと。2番目に、適用において非差別的であること。つまり、EUは優遇するけれども、EU以外は差別するとかそういうことがあってはいけない。3番目に、既に実施された類似の措置と一貫性があること。4番目に、常に予防措置による便益とコストの検証をやって、そのバランスをよく見ること。5番目に、科学は進歩するから、新しい実験データが得られたら常に見直しをすること。6番目に、科学的な証拠を立証するのは誰なのかを明確にすること。ウイングスプレッドは産業界だとはっきり言っていますが、EUの白書は少し曖昧にしています。
 これは私の解釈ですが、EUの予防原則は基本的に政策を立案する側、政策を実施する側の視点であり、ウイングスプレッド系の方は、どちらかというと被害を受ける側の視点からなのですね。したがって、EUの4番目は特に問題で、ウイングスプレッド系を支持する人はこれがあるからなかなか進まないのだといいます。日本やアメリカの政府、産業界、産業界寄りの学者らは予防原則が大嫌いで、予防原則という言葉自体使いません。必要がある場合には、未然防止とか予防的アプローチという言葉を使います。

暴走したら戻らない

― ウイングスプレッドはNGO系といったらいいのでしょうか。
<安間> そうですね。ヨーロッパの中でも北欧なんかは、どちらかというとウイングスプレッド系の予防原則です。確かにEUの4番が問題になります。REACHで見たとおり、産業側はコストがかかり過ぎると反対の口実にしますから。NGOも環境至上主義でエキセントリックに主張することにならないよう気をつけて運用しないと産業側に押されてしまいます。

― 市民からすると化学物質問題は非常に専門性があるように見え、市民には行政や化学への潜在的な不安と不信があるのです。むしろ、「おばあちゃんの知恵」のようなローカルナレッジへの共感もある。
<安間> だから、細かいことは分からないけれどもこれは怪しいのではないか。その直感がものすごく大事で、市民は研ぎ澄まされた直感で判断していいと思うのですよ。それが危ないと思う時はまず止めさせて安全を確保しよう。その上で研究者に時間を掛けてきちんと調べてもらい、問題がないということが明確になれば、安全宣言をしてその禁をほどく。そういう考え方で私は議論するのです。遺伝子なんていじったら戻らない。バイオテクノというのは、自然の摂理に対して人間が手を加えてしまっているわけですよ。原子力もナノテクノもそうです。
 つまり、人間は科学を全てコントロールできるなどというのは全くの思い上がりで、人間の手を離れて暴走するものがあるわけです。暴走した時に、遺伝子とか核とかナノテクノというのは不可逆的で取り返しのつかないことが起こり得る。化学物質について言えば、アスベストなどはどちらかというと曝露したその人だけの問題ですけれど、遺伝子を傷つけて世代を超えて悪影響を及ぼす化学物質もあります。化学物質の問題で一番大きいのはこの自然に対する不可逆性ですね。
 そもそもREACHが考えているのは、例えば難分解性とか生体蓄積性とかですね。要するに化学物質が難分解性で環境中あるいは体内に蓄積することはわかっているが、その物質が有害性を持つのかどうか、今は必ずしも科学的には完全に証明されていない。しかし、そのような高残留性・高生体蓄積性の物質に対しても予防的措置を取るという姿勢に立っているわけです。
 それから立証責任。これは先ほど出てきましたように、ウイングスプレッド系予防原則は、立証責任は企業側にあるとはっきり言っています。EUの2000年予防原則の白書はこの点が曖昧ですが、REACHでは立証責任は企業にあるとはっきり言っています。
 次にコストと便益の検証。これはウイングスプレッドにはありませんけれども、EUでは言っていますね。産業界はREACHには便益があるけれども、発生するコストでEU産業界の競争力が落ちるのではないかという議論をしました。
 再検証。今は必ずしも科学的に十分ではないからとりあえず禁止したとしても、後で問題ないことがはっきりすれば禁止を解けばいい。逆に、いいと思って禁止しなかったけれども、後になったら禁止するかもしれない。ですから、常に再検証してフィードバックを掛けようということです。
 代替原則は、特にウイングスプレッドで言っているわけで、今回のREACHについても、特にNGOとか、ノルウェーとかスウェーデンでは代替原則を主張しました。
 2003年5月のREACH案は、危険なものに対して代替物があっても、そのことをもって禁止する理由にしてはならないというふうに、どちらかというと代替原則は無視した記述になっていましたが、インターネット・コンサルテーションの後、2003年10月29日に出た今のREACH案は、ほとんどが後退している中で唯一ほんの少し前進したのが代替原則で、十分ではないけれども、代替を推奨するという言い方をしています。
 目標の設定は、先ほど申し上げたように、3年、6年、11年。これが2020年までに化学物質の安全使用を達成するという目標(一世代目標)を視野に入れているのです。
 そして情報の開示、企業側が一番問題にしているのはここです。つまり、企業秘密とか生産量とか会社名がみんな開示されるというので、当初のREACHがインターネット・コンサルテーションに掛かる前に比べて、開示される範囲が非常に狭められました。そういう意味で問題がありますが、開示するものについてはインターネット上で誰でもアクセスできるようにすることになります。

REACHの効果

― REACHはどのような効果をもたらすのでしょうか?
<安間> 1つは、化学物質による健康影響とか環境汚染の低減が期待されることです。また、REACHは、EUに輸入される化学物質に対しても適用されるので、日本を含む全世界のEU輸出化学物質製品の製造者がREACHにより求められる安全情報を提供することになり、これによって全世界の市場に安全性が確認された製品が出ることが期待されます。
 2番目は、先ほどお話しした予想されるコストと利益です。これは、REACHをインターネット・コンサルテーションに掛けた時に、まずカネが掛かり過ぎるのではないかという反対意見がありました。確かに、当初のREACH案は、厳密には、いろいろカネが掛かることになるのです。10月29日に出てきた今のREACH規制案では、11年間で既存物質について全部ケリをつけてしまうということで、約23億ユーロ(約3000億円)が登録に掛かる。もう一つ、川下ユーザーに28〜52億ユーロ(約3700〜6800億円)掛かる。これが11年間に掛かる欧州委員会による予想コストです。
 一方、REACHによって得られる利益、これは30年間で見ていますが、主に化学物質関連疾患の医療費の低減で、500億ユーロ(約6兆円)になるだろう。ケタが全然違いますね。しかも、この中には、海の汚染とか森の破壊などは換算できないので入っていません。ですから、利益のほうが格段に大きいというのが欧州委員会の見積りです。
 いま申し上げたのは、健康のためになるとか環境破壊を食い止めるとか、医療費が節減できるということですけれども、もう一つ、世界の化学物質政策への影響があります。
 アメリカ政府は、自分たちの政策に影響するという理由で反対しているのです。産業界は自分たちの競争力に影響するから反対する。REACH策定時にはアメリカは国務長官パウエルまで動かして徹底的に干渉しましたが、そのアメリカで今年の6月13日、米会計検査院(GAO)が、アメリカの化学物質規制には問題があるという報告をしました。米環境保護局(EPA)の化学物質規制はうまく機能しておらず、米有害物質規制法(TSCA)を改定する必要があるという内容の勧告でした。アメリカの状況はEUがREACHを必要とした状況と同じであることを示しています。
 この会計検査院(GAO)勧告を受けて、ヒラリー・クリントン、エドワード・ケネディ、バーバラ・ボクサーら民主党などの有力上院議員5人が、7月13日に有害物質規正法(TSCA)改正の共同提案を行いました。この改正案は米子ども安全化学物質法案という名前でも呼ばれています。
 この提案書を見るとREACHを提案した欧州委員会と同様な認識をしています。もちろん、これはブッシュ政権では陽の目を見ることはありえませんが、REACHは政策的にもすでに影響を与えているわけです。
 日本でも、少なくとも既存化学物質の情報がないから、少しでも情報を集めなければいけないというプレッシャーにはなっていますね。

弱体化を狙うアメリカと日本

― アメリカや日本は、REACHの弱体化を狙っているのでしょうか?
<安間> 日本政府についていえば、インターネット・コンサルテーションで経産省がコメントを出しています。基本的に産業保護という視点だけなのですね。もともと人の健康と環境の規制であるにもかかわらず、経産省が日本を代表してコメントを出しているのだから、経済のことしか言ってないわけです。環境省は公式に一言も発言していません。
 それから、アジア太平洋経済協力会議 (APEC)、これはアメリカが仕掛けるわけですが、日本はアジアの国々に呼びかけて同じようなコメントを出させています。日本が動員を掛けて反対しているのです。
 アメリカの場合、パウエルがEU加盟諸国に駐在するアメリカ大使に対して、反対活動をやれと指示した文書がNGOにばれました。だから証拠があるのですが、日本の場合には証拠は明らかになっていません。しかし、パブリックコメントや2004年6月にWTOに出した文書などを含めて、非常にネガティブな意見を出しています。
 日本の産業界も、日本化学工業協会だけでなく、傘下の10団体を動員して、産業に及ぼす影響について懸念を表す同じ内容のコメントをそれぞれ出しています。これらの団体名は全部分かっています。

― 日本への直接的影響と、日本政府の政策への影響は、どうでしょうか?
<安間> 1973年に化審法が出来て、事前に有害物質を審査するという精神そのものはヨーロッパより早かった。しかし、73年以前から市場に出ている既存化学物質については、化審法が施行されてから30年以上経過しているのに、ほとんどについて安全情報がなくて安全性が確認されていません。
 先ほど少しお話したしたことをもう少し詳しく述べますが、REACHなどの動きを見て慌てたのでしょう。経済産業省、厚生労働省、環境省の3省が作ったシナリオを推進するために今年になってプログラム推進委員会というのを設立し、1か月の間に会合を2回(3月24日と4月19日)開催しただけで、5月に形だけの2週間のパブリックコメントを実施して、6月1日には、「官民連携既存化学物質安全性情報収集・発信プログラム(ジャパン・チャレンジ・プログラム)」を立ち上げました。
 30年間放置していたものを、わずか3か月足らずで形だけ整えて、理念などひとかけらもない泥縄式のものです。プログラム推進委員会には消費者団体や環境団体系の人も入っています。
 このプログラムはアメリカ会計検査院(GAO)が今年の6月の報告書の中でうまくいっていないと指摘したアメリカの高生産量化学物質(HPV)に関する自主的収集プログラムを真似したもので、全くお話になりません。
 OECDが年間製造・輸入量が1000t以上の既存化学物質について、高生産量化学物質(HPVC)の安全性情報を収集しようという作業をやっており、日本企業も協力していますが、そこでの成果を取り込もうというのです。
 このプログラムはいろいろな問題があるのですが、基本的に情報を収集するということだけしか言っていない。しかも1000t以上の既存化学物質についてだけです。どこまでの範囲の化学物質について情報を収集し、それらをどのようにしていつまでに評価し、規制するのか。それらをきちんと示す日本の化学物質政策が示されていません。その根底にある理念や哲学が示されていません。REACHでは、政治・経済的な理念もはっきりしているし、人の健康や環境に対する理念もはっきりしている。そういうものがまるっきりないのです。だからダメですね。
 REACHはEUの法律ですから、EUの製造者及び輸入者が対象です。しかし日本から化学物質をEUに輸出する場合も対象になります。必ず輸入者を通りますからね。あるいは、日本が向こうに工場を持っていればEUでの製造者として対象となります。代理店を持っていれば代理店。基本的に、EUの中に入ってくるある量以上の化学物質は全て対象となるのですよ。
 私は企業側の立場ではないけれども、企業論理でいえば、規制が厳しいほうがカネになるのですよ。その規制を乗り越えたところだけが商売ができて、規制を乗り越えられないところは負けますから。経産省は、日本ではRoHSのように規制はしないとか、企業の自主的な取り組みだと言っているけれども、日本の企業がヨーロッパで商売をしようと思ったら、RoHSがハンダの鉛はダメだと言えば鉛を使わない電気製品を先に作ってしまう。
 そういう意味で、日本の企業がREACHを乗り越えるためには、REACHに対応できる企業を目指さなければいけない。そのためには、今から企業は体制を整備していかないと落伍してしまいます。すなわち、REACHを頭から否定するのではなく、その理念を理解してREACHに対応できる企業になることが生き残る道なのです。そしてそのことが人と環境を守ることにつながるわけです。

― 国内だけやるというわけにいかないのだから、それがスタンダードになるということですね、戦略的には。ただ、今のところ日本政府としては、REACHの弱体化を望んできたわけだから、そんなこと言えないわけですね。(笑)
<安間> しかし、今年の7月に開催された、(社)日本化学物質安全・情報センター主催の「REACH」セミナーには私も参加しましたが、多くの日本企業の担当者が参加しており、日本企業もREACHに関心を持ち始めているように見えました。セミナーの講師である元欧州委員会企業総局の人や欧州の企業で化学品法規制を担当している人などは、REACHは多少修正が掛かったとしても確実に立法化されると明言していました。その中でビジネスをやっていくためには、品質管理のシステムから、試験のやり方とか、同じものを複数社でやっている時はコンソーシアムを組むとかですね。だけど、やり過ぎると企業秘密がばれるということにもなります。そういったことの検討をすぐ始めるべきであると言っていました。先ほど申し上げたように、登録期限は11年後でいいものもあるし、3年後にやらなければいけないものもある。そういう優先順位に基づいて組み立てていくことになります。
 日本の多くの企業は、今までは、REACHはEUの規制であり、あまりよくわからないが化学産業界が反対だと言っているらしいという程度の認識だったかもしれません。しかし今は、現実にやらないといけないという認識が出てきている雰囲気を私は感じました。

なぜ日本のNGOがREACHを取り上げるのか?

 ヨーロッパの規制であるREACHをなぜ日本のNGOが取り上げているのかというと、第一に化学物質汚染というのは、一国だけがやっても北極まで行ってしまうのですから、地球規模で対応しなければいけない。
 それから、REACHの高い理念を日本政府やアメリカ政府に受け入れさせて、産業界保護のためではなく、真に人と環境を守る法律を作らせなくてはいけない。多くの市民がREACHの理念を理解しそれを支持すれば、そのような法律を作らせるための大きな力となりえます。この点が日本政府やアメリカ政府が危惧している点です。我々NGOがREACHに関する2回目の国際市民セミナーを9月17日に開催する理由は、ここにあるのです。今回はスウェーデンから二人の講師をお招きしています。
 もう一つは、企業側はビジネスだからどっちみち、やるわけです。やることによって、彼らは、日本向けにはこっちの製品、ヨーロッパ向けにはあっちの製品ということをするかどうか知りませんけれども、少なくともヨーロッパ向けには安全性が確認された製品が出ることになります。REACHはEUの問題だけれども、EUだけじゃなくて、まさに日本の問題、われわれ消費者の問題なのですよ。われわれの身の回りにある物質も、同じように安全性の確立されたものになる可能性があるわけです。

― 例えばPRTR法がありますね。東京都は環境確保条例の中に入れています。簡単にいうと、条例を使って、国が定めた以外の企業の情報もPRTRに乗せて出している。その時に、基本的に基準は国だけれども、審査する時に、県が事務をやったりする。REACHでは企業に立証責任がありますね。それをチェックするのは、自治体ですか、各国政府ですか、それともEUの別機関みたいなところですか。
<安間> 新設される欧州化学品機構が企業から登録書類を受けとります。そこでは書類の中身ではなくて、所定の書類が提出されているか、項目が記述されているか、基本データはそろっているか、そういう形式チェックをします。
 形式がチェックされた書類は各国の規制当局に割り当てられて、そこで内容が評価され、必要があれば、追加情報を企業側に求めます。
 先ほどのSPORTプロジェクトでのワーカビリティの検証を企業とEUと加盟国がやったと言っているのは、登録に必要な書類を企業が作り、EUの化学品機構がそれを受け取って書類をチェックする。そして加盟国当局が実際の中身の評価をやったわけです。

アスベストに見る日本の行政の体質

― REACHの日本版を想定すると、第三者機関というか、今の食品安全委員会はいろいろ問題があるけれども、国が一括してチェックするということになるんですか。
<安間> REACHを日本版にするということは化審法の改定であり、情報収集の部分がジャパン・チャレンジ・プログラムですよ。ただしリスク評価の部分が抜けています。ジャパン・チャレンジ・プログラムでは、どの範囲のものをやるかというのは1000tという範囲がありますし、そのデータの収集責任はだれがやるかというと、それは官民連携だといっています。企業で自分たちがやるというところは、手を挙げてくださいと言って、まずボランティア。それから、もともとOECDのプログラムに参加していて、企業がデータを持っているのなら、それらを出してくださいと。そして、そんなことを国ができるかどうか知りませんが、企業ができないもの、あるいはボランティアの手が挙がらなかったものは国がやる。だから官民連携だというわけです。
 しかし、本来、化学物質のデータを収集し、安全性を証明しなくてはならないのは、当局ではなく、化学物質の製造者ではないでしょうか?そもそも製造者がデータも揃えず、安全性も確認しないで化学物質を市場に出していること自体がおかしいのです。このようなことを消費者は許すことができません。
 また、その化学物質のことを一番知っており、情報を最も多く持っているのは、その化学物質の製造者であり、その製造者が情報を収集し、安全性を確認することは全く当たり前のことです。
 また、このプログラムには、情報を収集した後のリスク評価をどのようにいつまでにやるのかは全く示されていません。

― 結局、強く企業責任を求めると今のところ反発があるから、官民連携というかたちでそこそこの妥協を見せているということですね。検査機関のちょっとした生き残り策で、行革でつぶされちゃいけないというのもあるかもしれない。
 アスベスト問題はようやく報道になってきたけれども、例の薬害エイズの責任と全く同じで、不作為責任で、国家犯罪です。

<安間> アスベストと中皮腫の医学的な因果関係というのは、かなり早くから分かっていたのです。しかし、その工場で曝露するかしないか、あるいは工場周辺の人が曝露するか。曝露すれば中皮腫になる可能性がありますが、中皮腫の潜伏期間は30年、40年と非常に長いので、曝露したかどうかは直ぐには立証できないでしょう。しかし、海外では早くからそのような因果関係を示すデータが発表されていたのですから、これは産業界に気兼ねしての政府や審議会等の学者の不作為です。薬害エイズでもアスベストでも、人の健康よりも産業界保護が第一ですから。
 また、日本では疫学を軽視する傾向があるようですが、疫学的に見ればかなりのことが分かりますよ。

― 例の杉並ごみ中継所も、疫学調査をやらないと言っていました。だから、REACHって日本の根本にぶつかる感じがしますね。
<安間> 疫学的に見て怪しいと思った時は、そのメカニズムが科学的に証明されていなくても、疫学的にこれだけあるのだからやめろと言うしかないですよ。そして、あと10年掛かっていろいろ調べて、やっぱり完全に問題がないことが分かったら、その時やめればいいのです。だから、まず人間の健康と環境を守るという方にプライオリティを置くとすれば、疫学的に因果関係を見ることは非常に大事です。

今、自治体からできることと「こどもガイドライン」

― 化学物質規制の課題で自治体が政府に先駆けてきたことがあると思うのですが。
<安間> 政府より自治体が先駆けてきたというものには、東京都などの子どもの環境健康に関するガイドラインがありますね。法律としてあるけれど、条例でさらに広げていく。
 そういう意味で、法律に基づいて実際に施行するに当たって、自治体の裁量範囲というのは相当あると思います。
 実は、私どもの研究会は子どもの環境健康に非常に関心を持っていて、一昨年、都道府県、政令指定都市など自治体調査をしました

― ホームページを見ました。アンケート調査の一覧表面白いですね。
<安間> そこで分かったのは、子どもということだから、学校とか公共の施設とか、そういうものを念頭に置いた時に、子どもの環境に関する条例といわなくても、指針とかマニュアルとかいったもの自治体が持っているかどうか、また子どもを対象とした具体策はどうかについて調査したのですが、東京都とか埼玉県など特定の自治体は、自分たち独自のマニュアルや指針を持っていて、独自に子ども対策をやっているのです。
 けれども、多くのところは上の省庁から来た通達をただ流しているだけで、自分のところは何にもしていない。そういう意味で自治体によって非常にバラツキがあります。
 それから、今、化学物質過敏症やシックハウスなどが問題になっていますが、対応するところと、まるっきり対応しないところと、自治体によって全然違うのです。
 だから、枠組みはきちんと国が法律として作らなきゃダメだと思いますが、枠組みの中の裁量範囲でかなりのことができるし、何もしなければ通達の垂れ流しです。最大限にできるような運用の仕方を工夫していかなければいけないと思います。
 REACHという話だけをすれば、日本の自治体がREACHそのものに直接的にかかわる部分はあまりないのですが、REACHの基本理念は大いに参考になります。子どもの安全の問題やシックスクール、農薬や殺虫剤の散布など自治体の裁量範囲内で予防原則や代替原則などを生かして解決できることはたくさんあると思います。また、ある環境基準を定めてそれを満足する製品だけを購入する。いわゆるグリーン調達ですね。そういう格好でやっていける。そのようなことについて意識を持ってやっている自治体は非常に限られていて、ほとんどのところは、個人的には問題意識を持っていても、何にもできないのですね。

― 都の「こどもガイドライン」は、直接には生活者ネットの議会質問で引き出したものですが、ゴルフ場の農薬散布のチェックやベビーフードの残留農薬調査、環境ホルモンの取り組みなど長い市民の運動の上に成果となったものです。自治体はまずローカルニーズがぶつかるところだから、そこから組み立てていかないと。  REACHという枠組みはものすごく受けると思います。2020年までに有害物質から脱却しよう。これですよ。「一世代目標」を合言葉に進めていくということですね。
<安間> ワン・ジェネレーション・ゴールですね。やはり理念というのを明確にして、その理念に基づいてやっていく。どういう理念に立脚しているのかを明確にすると、理解しやすいですね。

― そういう意味で、立証責任が企業にあるというのは、鮮明にわかることです。
 それから、簡単にいえば登録以前、規制以前のすべての化学物質も対象であると。それを理想主義にする。


暴露シナリオと未来への課題

<安間> 一つ言い忘れたのですが、REACHでは、危険なものについて曝露シナリオというのがあるのです。要するに、登録時にまず用途を決めなさいと。これはどういう用途なのか。その用途に対して、ものをこういう工程で作ります。そしてこうやって市場に出す。そしてユーザーはこういう使い方をする、というふうに想定するわけです。
 登録は用途毎にするのですから、違う用途には別の曝露シナリオを作らなくてはいけません。その時に、製造、使用、廃棄まで、全ライフサイクルが対象になります。
 グレーなのは廃棄です。廃棄した時にどうなのか。だから今のPRTRで一番インチキなのは、製品の中に含まれている物質は対象となっていない点です。ある会社がある化学物質を使ってある製品を作った時に、製造工程で外に出てしまったものや工場から廃棄物として出したものはPRTRの対象となりますが、製品の中に練り込んでしまったものはPRATRの対象とならないので、データとして報告されないわけですよ。
 その製品はどこへ行くのですか。ユーザーが使っている時に出てこないか。ユーザーが使った後に廃棄する。廃棄はどうするのか。埋めるのか、埋めたら染み出してこないか。焼却したら大気中に放出されないか。それをやってないわけですよ。  REACHの場合、曝露シナリオで製造、使用、廃棄のライフサイクルを対象としています。製造も含めて全工程を対象とするのです。ところが、産業界は、少なくとも製造のところはおれたちの問題だからいいと言う。それに対して、EUの労働者は、製造工程で曝露するのはおれたちだと当然の主張をします。
 RoHSでは廃棄のことまで考慮して製品設計をすることを求めています。ヨーロッパの場合、製造、使用、廃棄まで完全に考えます。

― 日本ではその点を骨抜きにするかもしれない。日本でまともにやったら産業側と完全にぶつかります。さらに、製造は製造、廃棄は廃棄、みんな縦割りだから、どこかで骨抜きにしようとするかもしれない。きちんとREACHの原則でやれば、根本的に変わりますね。
<安間> REACHのような統合環境政策はEUと同様な困難に直面すると思います。産業保護の立場の経産省に対して、環境保護の立場から環境省がどれだけ発言できるのか。
 ああいう法律は、社会的な側面もあるし、経済的な側面もあるし、政治的な側面もあるし、環境の側面もある。だから縦割りではありえない。そのへんのことを時間がなくてお話できなかったのですけど、まさにそこの部分が大事だと思います。
 また、RoHSでは製品設計の時に廃棄のことを考える。廃棄のことを無視してできないですね。  テフロンを作る時に、PFOA(パーフルオロオクタン酸)というものを使います。これは極端に難分解性、言い換えれば永久に分解しない。だから環境に出ると地球にどんどん蓄積するのです。アメリカではかつては3M社が、現在はデュポン社が作っているのですが、ブッシュ政権のEPAでもPFOAに関しては問題意識をもってまじめに取り組んでおり、この5年ぐらいアメリカでは大問題になっています。 日本では全然やってない。
 デュポンに言わせると、自分たちの工場の廃棄物はPRTR的な観点から減らしたと言っています。製品からはそんなに出ないと。しかし、テフロンコーティングをした鍋、防汚・撥水処理をした家具やじゅうたん、衣料品など膨大な量の製品に使われています。
 それらが大量にそして永久に廃棄され続けたらどうなるのか。だって、デュポンは世界中の鍋を全部集めて、自分のところでこそいで落として処理するのですか。そんなことしないですよ。みんな燃やしているか、何らかの格好で環境に出ているわけです。
 環境に出て最終的にはPFOAという物質になるのですが、先ほども言ったように絶対に分解しないのです。すでに日本人の血液中からも検出されていて、人間の体内に3年とか4年とどまっている。そういうものが地球上にどんどん蓄積してくるわけです。
 PFOAは動物実験で発ガン性は分かっており、今年になってEPAの科学審議会は、"ヒトに対する発がん性がありそう"としてEPAに勧告しています。これから何年も経って人間に発がん性があると分かった時に、地球上はもうPFOAの汚染だらけになっていますよ。燃やそうが何をしようが分解しないので、やめなければいけないですね。
 日本はPFOAについて、化審法では監視物質に入っているので、河川などにどれだけ入っているか調べていますが、私は、物質としてはPFOAが一番気になります。
 また、EUのREACHではあまり問題にしていないように見えますが、病気としては化学物質過敏症が大きな問題だと考えています。通常の人が反応しないような極微量の化学物質に反応する人が増えているのです。化学物質を規制する時、許容値が存在するという前提の下に健康な成人を基準にして"許容値"が決められていますが、子どもや胎児、女性、そして化学物質過敏症患者のような特定の集団にとっては、仮に許容値が存在したとしても、それは成人の許容値よりもはるかに低いのです。
 胎児が重要な発達期に、極微量の内分泌かく乱物質に曝露することで、不可逆的な影響を受けることがあるとされています。従来の許容値とか安全基準といった概念は根本的に見直す必要があるのかもしれません。
 私たちは「東京宣言」の賛同・署名を求める運動をしてきました。それは多くの市民にREACHに見られる基本的な理念を理解してほしい。そして日本の化学物質政策にそれを反映させる運動の力になってもらいたい。そして真に人の健康と環境を守る化学物質政策を実現させたいという願いからです。これから先どのように進めるかということは、まだ詰め切っていません。今、第一歩が始まったばかりです。

― どうもありがとうございました。
2005年7月27日 収録



化学物質問題市民研究会
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