EU プレスリリース 2008年6月3日
欧州化学物質庁(ECHA) 正式に開設

情報源:EU Press Release June 3, 2008
ECHA: European Chemicals Agency inaugurated
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/08/841&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
更新日:2008年6月12日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/reach/eu/080603_ECHA_officially_opened.html


 欧州化学物質庁((ECHA)は、欧州委員会委員長ジョゼ・マヌエル・バローゾ、副委員長ギュンター・フェアホイゲン、欧州議会副議長ゲラルド・オネスタ、及びフィンランド首相マッティ・ヴァンハネン列席の下に公式に開設された。ヘルシンキに開設された欧州化学物質庁((ECHA)は、化学物質の登録、評価、認可及び制限の手続きに関連するREACH要求実施の管理に責任がある。欧州化学物質庁((ECHA)は一年前から正式に活動を開始し、職員の募集及び支援組織と手続きの確立を含む精力的な準備作業に専念してきた。
 2008年6月1日、REACHの二つの主要なプロセス−現在使用されている約30,000種の化学物質(例えば酸、金属、溶剤、界面活性剤など)の登録と事前登録が開始した。化学物質の製造者又は輸入者は、製造又は輸入を中断することなく続けることを望むなら、2008年12月1日までにそれらを事前登録をしなくてはならない。約180,000件以上の事前登録が提出されると推定されている。

 欧州委員会委員長ジョゼ・マヌエル・バローゾは次のように述べた。”欧州化学物質庁((ECHA)の設立は欧州の新たな化学物質規制REACHを現実のものとする主要な一里塚である。これは健康と環境を著しく改善して欧州市民の利益になるであろう。欧州委員会は、化学物質庁が成功裏に業務を開始できるよう格別の努力をしてきたし、またフィンランドからの強力な支援は非常に貴重であった。”
 欧州委員会副委員長で企業と産業政策担当のギュンター・フェアホイゲンは次のように述べた。”欧州化学物質庁((ECHA)は会社が欧州の製造業全体に重要な影響を与えるREACHを遵守することができるようにするために重要な役割を果たすであろう。REACHは、革新を推進し、競争力を育て、消費者の本質的な需要をさらによりよく満たすであろう。”

 環境委員会委員長スタブロス・ディマスは次のように述べた。”REACHは、環境と欧州市民の健康を潜在的に有害な化学物質から守るよう設計された世界で最も野心的な化学物質規制である。REACHを通じて市場、職場、そして環境中にある有害化学物質に関しもっと多くの情報が公的に入手可能となり、化学産業は大きな懸念ある物質に対し安全な代替物質を見つけるために革新を行うことが期待される。”

登録:

 REACHは、年間1トン以上製造又は輸入する会社に対し、その化学物質の健康と環境特性とリスクに関するデータを収集し、それが安全に使用できることを実証することを求めている。会社はこれを技術的な書類として同庁に提出する必要がある。これが登録である。

 新規化学物質はそれらが製造され又は市場に出される前に登録される必要がある。既存化学物質については、会社がそれらを化学物質庁に2008年6月1日から同年12月1日までの間に事前登録すれば、段階的な期限(生産量に依存して2010年、2013年、2018年)で登録することができる。

 事前登録は、化学物質庁に基本的な情報、すなわち会社の詳細と当該化学物質の名前を提出することを求めている。事前登録は無料である。

 事前登録のプロセスは、会社が化学物質に関するデータを共有することを可能にし、そのことにより不必要な動物テストを回避しコスト削減を可能にする。製造者と輸入者は、事前登録の期限を超えると完全な登録をするまで当該物質の製造と輸入を停止しなくてはならなくなる。

 評価は、提出された情報に関し、規制当局が当該物質について更なる検証が必要かどうかを決定し、その目的のためにさらにどのような情報が産業側から提供される必要であるかを評価するベースとするためのプロセスである。この情報は、制限又は認可手続きの下に更なるリスク管理をもたらすかもしれない。

 非常に高い懸念のある物質は、認可手続きの対象となる。認可申請する会社はこれらの物質によって及ぼされるリスクは適切に管理されること、又はその使用による社会経済的便益がリスクを上回ることを示す必要がある。その目的は、これらの物質が、技術的及び経済的に実行可能なら、適切な物質によって漸次、代替されることである。

 非常に高い懸念ある物質は下記を含む:

  • 発がん性物質、変異原性物質、又は生殖系への有毒性物質
  • 難分解性、生体蓄積性、及び有毒性、又は非常に高い難分解性で非常に高い生体蓄積性を有する物質
  • 個別に特定される内分泌かく乱物質
 現在、そのような物質として1000以上が知られている。REACHは候補リストに含める物質を特定するためのプロセスを提供し、化学物質庁はそのリストをウェブサイトで公表するであろう。関心をもつ団体によるコメントをフォローしつつ、化学物質庁により確立される最初のリストは同庁ウェブサイトから2009年の初頭に入手可能となる。

 化学物質庁は会社、特に中小企業を支援するために広範なガイダンス文書とツールを作成している

European Chemicals Agency

Questions and Answers on the European Chemicals Agency (ECHA) and the REACH Regulation



化学物質問題市民研究会
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