REACH パブリック・インターネット・コンサルテーション
スウェーデン国立化学検査院 (KEMI) のコメント概要

(訳:安間 武 /化学物質問題市民研究会
情報源:KEMI - Swedish National Chemicals Inspectorate
REACH Regulation - response to the public internet consultation
掲載日:2003年10月14日

スウェーデン国立化学検査院 (KEMI) のコメント概要
この概要は KEMI の REACH Regulation - response to the public internet consultation のうち、
第1章(Summary of the Swedish National Chemicals Inspectorates'(KEMI's) comments)を翻訳したものです。

  • 一般的な印象として、REACH ドラフトは感動的で、よくバランスが取れている。 REACH は、”一世代(2020年)以内に、化学物質を人間の健康と環境に著しい負の影響を及ぼさないやり方でのみ製造し使用する”という、理事会が設定した目標の達成に貢献するであろう。
     REACH は、推進すべき要素として、製造者責任、既存物質に対する登録要求、高懸念性のある物質の認可、などがある。REACH は現状のシステムの多くの不十分な箇所を克服することのできる野心的な立法措置における良きベースとなるべきである。

  • 実施スケジュール、特に認可、を見直す必要があり、また2020年までの安全使用の目標と関連させるべきである。

  • 予防措置と代替が、本規則全体の指針原則として、本文の初めに導入されるべきである。またそれらは産業への注意義務、認可、及び制約に関連して、本文に含まれるべきである。

  • 注意義務条項は特定の化学物質を評価する上で必要であると考えられる知識の入手を確保する一般義務で補完されるべきである。この一般義務は化学的安全評価(Annex I)及び情報要件(Annex IV-X)に関連する条項に反映されるべきであり、そこでは許容できる安全性評価を実施するために必要な情報は常に作成されなくてはならないということが明記されなくてはならない。

  • 段階的登録物質の登録のための完全性チェックは簡潔にすべきである。特に人間の健康に関して不十分なので、少量化学物質の情報要件は再検討されるべきである。発がん性、変異原性または生殖毒性物質(CMRs)に加えて、難分解性・高蓄積性・毒性物質(PBT)及び、極めて難分解性・高蓄積性を有する物質(pVvB)で段階的登録されるべきものも、また施行3年後には登録されるべきである。100 トン未満の物質も施行11年後よりも早く登録されるべきで、ボトルネックとなってはならない。

  • 標準評価条項は、許容できない産業界のデータ作成の遅延を避けるために、削除されるべきであり、化学物質管理の責任は産業界ではなく当局側に置くべきである。

  • 脊椎動物による不必要なテストを避けるという目標は重要であり、示唆されている暫定登録とコンソーシアム体制は重複を最小にする有用な方法である。さらに、不必要なテストを避けるために、産業側がテスト戦略と意思決定のためのデシジョンツリーによって方向付けされることができるようにすべきである。

  • 認可付与の基準は強化される必要があり、代替物の入手可能性は決定的な判断基準となるべきである(代用)。基準の修正提案を11節に示す。認可には常に期限が設定されるべきである。認可手続きを計画的に行い、優先順位をつけられるよう、申請数を事前に推定する柔軟な手続きを入念に作るきである。物質が調剤中、あるいは成形品中に含まれて市場に出されるような場合は全て、委員会の認可が要求されるべきである。規制委員会の手続きがそのような決定に適用されるべきである。最小要求をもって域内立法へ回送することによる免除は細心の注意を払って再考される必要がある。

  • 回覧の自由条項(110条)は、作業者保護、大気及び水の品質、IPPC指令、等における活動範囲を制限するものと解釈されてはならない。

  • 委員会への制約手続きの決定権委任には賛成する。決定にあたっては原則と基準が適用されるべきである。(欧州化学品)機構が不適合な加盟国の事案書類を終了させる命令は存在すべきではない。その代わり、加盟国が委員会レベルの事案を特定し優先度を決める作業をしやすくするよう支援すべきである。

  • 物質に対する情報要件は物質のライフサイクルにそって、また成形品中に含まれている時にも適用する必要がある。この要件は、全ての物質が認可基準に合致しているということを含む物質に関する特別な関心事からなる。

  • 独立した機構を設立するということには賛成する。

  • 資金問題はシステムを機能させる上で非常に重要である。機構は手数料(fees)によって資金調達されることを提案する。しかし、手数料はまた、本規制の下における加盟国の作業に対する資金としても使用されるということが重要である。

  • 最後に、REACH システムは、健康と環境の両方に対する高度な保護が全ての領域であてはまることを確保するために、医薬品や化粧品など、REACH から除外された領域の見直しを行うことで、完全なものにするということが重要である。

(訳: 安間 武 /化学物質問題市民研究会)


化学物質問題市民研究会
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