ケムセック(ChemSec)2011年12月13日
REACH 候補リストに初めて内分泌かく乱物質

情報源:ChemSec News, 13 December 2011
First endocrine disruptor on the REACH candidate list
http://www.chemsec.org/news/news-2011/
849-first-endocrine-disruptor-on-the-reach-candidate-list


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2011年12月15日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/reach/ChemSec/News/
chemsec_111213_EDC_on_REACH_Candidate_List.html


 先週、EU加盟国はオクチルフェノール(訳注1)をその内分泌かく乱特性のためにREACH候補リストに入れることに合意した。これは、REACH 第57条f項(訳注2)の”同等の懸念ある物質”を満たすとされた初めての化学物質であり、その内分泌かく乱特性のために初めて候補リストに加えられることとなった。加盟国はドイツによりまとめられた書類一式に基づき、満場一致でオクチルフェノールがその内分泌かく乱特性のためにREACH 第57条f項を満たすことに同意した。

 オクチルフェノールは、REACHに規定されている基準によれば、明らかに”非常に高い懸念のある物質”であり、この物質はその内分泌かく乱特性のために、2008年にすでにSINリストに掲載されていた。したがって、我々はEU加盟国が我々の評価を確認し、それを公式の候補リストに含めたことを非常に喜んでいると、ケムセック(ChemSec) SIN コーディネータのジャーカー・ライトハルトは述べた。

 ドイツは、現在、更なる内分泌かく乱物質が候補リストに含まれるよう道筋を整えている。この決定により、EU加盟国はまた、内分泌かく乱物質(EDCs)をどのように定義するかの合意された基準はまだないという事実にもかかわらず、内分泌かく乱特性に関して、ひとつの物質を評価することは可能であることを確認した。

 今は、全ての加盟国及び欧州委員会が、候補リストに挙げる物質として追加の内分泌かく乱物質を優先するべき時であるとジャーカー・ライトハルトは述べている。  5月にケムセック(ChemSec)は、しっかりした内分泌かく乱特性の証拠を持って、22物質をSIN List 2.0 に加えた。この情報は、加盟国が他の内分泌かく乱物質を候補リストに提案する時に、出発点として使用することに役に立つ。

 内分泌かく乱物質は、生殖力の阻害、がん、注意欠陥障害などを含む広範な健康問題への関連がますます関連付けられている。したがって、これらの物質の使用をできる限り早く制限することは非常に重要である。

 オクチルフェノールは、例えば繊維製品、タイヤ、印刷用インク、及び水溶性塗料などで使用されている。

 オクチルフェノール以外にも加盟国は、”非常に高い懸念のある物質(SVHC)”として特定された他の19物質を候補リストに加えることに合意した。この更新により、数週間以内に候補リストは合計73物質となるであろう。


訳注1:オクチルフェノール
EICネット:オクチルフェノール
4-t-オクチルフェノール

訳注2:REACH 第57条 附属書 XIV に含まれることとなる物質 (環境省訳)

以下の物質は、第 58 条に定める手続きに従って、附属書XIV に含まれうる。

(a) 指令 67/548/EEC に従って発がん性区分1 又は区分2 の分類基準に該当する物質
(b) 指令 67/548/EEC に従って変異原性区分1 又は区分2 の分類基準に該当する物質
(c) 指令 67/548/EEC に従って生殖毒性区分1 又は区分2 の分類基準に該当する物質
(d) 本規則の附属書 XIII に定める基準に従って難分解性、生体蓄積性及び毒性を有する物質
(e) 本規則の附属書 XIII に定める基準に従って、極めて難分解性で高い生体蓄積性を有する物質
(f) 内分泌かく乱性を有するか、又は難分解性、生体蓄積性及び毒性を有するか、又は極めて難分解性で高い生体蓄積性を有するような物質であって、(d)又は(e)の基準を満たさないが、(a)から(e)に列記した他の物質と同等レベルの懸念を生じさせるような、人又は環境に対する深刻な影響をもたらすおそれがあるとの科学的証拠があり、かつ第59 条に定める手続きに従って個別に特定される物質

訳注:関連情報
First substance of equivalent concern goes on candidate list
ECHA Committee agrees endocrine properties of octylphenol warrant SVHC status
13-Dec-2011
The Member State Committee of the European Chemicals Agency (ECHA) reached a unanimous decision at its meeting last week to add 4-tert-octylphenol to the candidate list ? the first substance of equivalent concern to be placed on the list based on Article 57(f) of REACH. The Committee also decided to clarify the identity of refractory ceramic fibres already on the candidate list. These will now be listed as aluminosilicate refractory ceramic fibres and zirconia aluminosilicate refactory fibres. Previously, the Committee agreed by written procedure opinions on nine other substances for which public comments were received during consultation.
The substances covered by the unanimous decisions are:
  • Dichromium tris(chromate)
  • Potassium hydroxyoctaoxodizincatedichromate
  • Pentazinc chromate octahydroxide
  • 1,2-Dichloroethane
  • Arsenic acid
  • Calcium arsenate
  • Trilead diarsenate
  • N,N-dimethylacetamide (DMAC)
  • 2,2'-Dichloro-4,4'-methylenedianiline (MOCA) .
  • 4-(1,1,3,3-Tetramethylbutyl)phenol, (4-tert-octylphenol)
  • Aluminosilicate Refractory Ceramic Fibres (RCF)
  • Zirconia Aluminosilicate Refractory Ceramic Fibres (Zr-RCF)


化学物質問題市民研究会
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