ChemSec News 2007年10月17日
NGO REACH 優先リスト
高い懸念のある化学物質を廃止するためのツール


情報源:ChemSec News, 17 October 2007
NGO REACH Priority List
A Tool for Phasing out Chemicals of High Concern
http://www.chemsec.org/issues/reach/REACH_priority_list.php

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2007年11月20日


 欧州委員会は化学物質に関する新たなEUの政策、REACHを承認し、2007年6月1日に発効した。今後10年間にわたり欧州連合(EU)で製造される、あるいは輸入される数千の化学物質は登録されなくてはならない。このことは、会社はそれらの化学物質に関する指定された健康と安全に関する情報をフィンランドのヘルシンキに新たに設立された欧州化学物質庁(European Chemicals Agency)に提供する義務があることを意味する。REACH の成功の如何は、ヨーロッパの市場に出ている最も有害な化学物質を特定し、それらをより安全な代替物質に置き換え、それによって革新、競争力及びクリーン生産を推進するための迅速で効果的なプロセスにかかっている。

 REACHの要である最も有害な化学物質を取り扱う手続きは認可(Authorisation)と呼ばれるプロセスであり、これは最も有害な物質の製造者又は輸入者は市場にそれらを出す前に特別な許可を得ることを求めるものである。認可プロセスの核心は、REACHの中で定義されている”非常に高い懸念のある物質”−例えば、がんを引き起こすかもしれない、あるいは我々の体内や環境中に長期間残留するかもしれないような化学物質−の基準に合致する化学物質の”候補リスト(candidate list)”である。このリストは、非常に高い懸念のあるこれらの物質が消費者製品中に存在する場合にその情報を消費者に提供することが求められることに関連する。2009年中に欧州化学物質庁は、その後の継続的な使用のために、認可が求められる優先物質の最初の勧告をするであろう。

 この重要なプロセスの早期開始と適切な実施を確実にするために、ChemSecは、EU及びそれ以外の地域で活動する主導的なNGOと協力して、NGO REACH優先リストを開発している。このプロジェクトの目的は、最も緊急を要する非常に懸念の高い物質の代替を急速に推し進め、産業における有害物質の使用低減に役立てることを確実にすることである。

 NGO REACH優先リストは、公共利益団体、科学者、及び技術的専門家の共同作業を通じて一組の化学物質を特定することである。このリストは、既存データベースから公的に入手可能な信頼できる物質情報、科学的研究、及び新たな研究に基づくことになる。その目標は、ヨーロッパの当局に情報を提供し、会社、消費者、及び他の諸国にある事前の指針を提供することである。

 このプロジェクトはNGO諮問委員会によって導かれており、そこには欧州環境局(EEB)、WWF欧州政策事務所、グリーンピース・欧州ユニット、地球の友ヨーロッパ(FoEE)、Instituto Sindical de Trabajo、Ambiente y Salud (ISTAS), 共通の将来のための欧州の女性(WECF)、健康と環境連合(HEAL)、欧州消費者団体(BEUC)、及び国際環境法センター(CIEL/アメリカ)等が参加している。

 更なる情報:Nardono Nimpuno at nardono@chemsec.org



訳注(関連情報)


化学物質問題市民研究会
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