Environmental Health News 2015年10月29日
デンマークでは何がはじけているのか? 安全な容器のポップコーン ブライアン・ビエンコースキー 情報源:Environmental Health News, October 29, 2015 What's poppin' in Denmark? Popcorn with safer packaging By Brian Bienkowski http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/news/2015/oct/ denmark-chemicals-fluorinated-popcorn-solution-endocrine-disruptor 訳:安間 武/化学物質問題市民研究会 http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2015年11月29日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/news/EHN_151029_What's_poppin'in_Denmark.html デンマーク最大の小売り団体は、規制当局が科学に追いつくのを待っていられず、有害な健康影響に関連する”汚い12の化学物質類("the dirty dozen")”を廃止することを目指している。 今年の夏、デンマークでは家庭の電子レンジでポップコーンを作ろうとしても、この映画鑑賞の定番スナックを見つけることは容易ではなかった。 それは、供給者が容器からフッ素化合物を取り除く方法を提案することができなかったために、デンマーク最大の小売り団体が数か月前から電子レンジ・ポップコーンを傘下の1,200以上の店から撤去したためである。この化学物質はデンマークでは規制されていないが、ある種のがん、ホルモンかく乱、臓器障害、及び低出生体重に関連しており、ポップコーンの袋の内面ライニング中に発見されている。 供給者らはポップコーン袋にフッ素化合物を使用しているが、それは袋の紙がポップコーンの中のバターに接触して急速に分解しないようにするためであり、以前に用いられていたワックスによる解決方法とは違い、この化学物質は電子レンジの熱にも耐えるからである。 ”世界中でポップコーンの問題に解決方法はなかった”とコープ・デンマーク(Coop Denmark)の化学物質及び非食品部門マネージャーのマレン・テラー・ブルムは述べた。 しかしその後、あることが起きた:発明である。つい先週、コープ・デンマークは、スペインのスナック菓子会社リベン(Liven)によって作られたフッ素化合物を使用しない電子レンジ・ポップコーンを売り出した。 供給者は、袋のために天然のセルロースを使用したより強い紙を思いついたが、それは長時間煮沸して脂肪をしみ通さないようにし、袋をフッ素化合物で表面処理する必要がないようにするものである。 この商品の需要はとても高いので、コープは在庫を用意することができないと、ブルムは述べた。 ポップコーンは、消費者を保護するのに食品規制より先を行くというコープの取り組みの例証である。デンマークの小売り市場の約40%を占める膨大な数の組合員を擁するコープは、12グループの化学物質に”汚い12の化学物質類(the dirty dozen)”と命名し、2017年末までにそれらの全てを廃止することを目指している。 彼らは新たな化学物質戦略を約1か月前に立ち上げたと、コープの企業の社会的責任コンサルタントであるルイザ・ライス・ソレンセンは述べた。 問題はないのか: ”汚い12の化学物質類”は完全に合法的である。しかし、コープは科学者やその他の専門家と相談しており、これらの化学物質を人々や環境に及ぼす有害影響に関連付ける証拠は廃止を正当化するのに十分であると結論付けた。 ”多くの人々は、その使用がまだ合法的なものは何でも安全であることを意味すると考える。しかし私たちはそうは思わない”とソレンセンは述べた。”科学者らが懸念するのを私たちが知ってから、立法化されるのに5年から10年かかる。したがって10年前には安全であるとみなされていたもののあるものは、今禁止されている”。 ”汚い12の化学物質類”は、ビスフェノールAとその他のフェノール類、メチルイソチアゾリンオン、フッ素化合物類、内分泌系に影響を及ぼすことが疑われる化粧品化合物類、塩化ビニル(PVC)とフタル酸エーテル類、布地中の化学物質、トリクロサン、塩素系及びカチオン系洗浄剤、農薬、及び洗濯用洗剤などを含む。 それはまた、欧州化学物質庁により”高懸念物質として現在リストされている全ての物質に関する廃止及び、ある香料とアレルギー性物質を含む。 これは小さな会社の小さな変更ではない。コープは2014年には、推定60億ユーロ(約7,800億円)の総収入があり、 SuperBrugsen, Irma, Kvickly, Fakta, Coop Nara, Coop Konsum, Coop Extra 及び Coop Mega を含む数多くのもっと小さな小売りチェーンのために製品を開発し、卸している。 ”それは賢明なビジネスである”と、バージニア大学ビジネス経営学部名誉准教授のアンドレア・ラーソンは述べた。 ラーソンは、コープの化学物質プログラムは、世界的にも国内的にも”事情に精通し洗練された”会社の戦略的な展望の象徴であると述べた。 非常に実行性のある観点から、あなたは世の中の動向の最前線に出たいと望むかもしれない”と独創力を持った企業家、革新及び持続可能なビジネスを専門とするラーソンは述べた。 ”もしあなたが賢ければ、あなたは戦略的な利益を得ることができる”と、彼女は付け加えた。”あなた自身を戦略的に位置づけることにより、世の中の動向にただ反応するだけでなく、その先を行くことにより、ブランドを築くとともに新たな収益の機会を作り出す”。 コープの観点から、まだ規制されていない化学物質に取り組むことにより、もしその化学物質が国家レベルで禁止されれば、彼らは抗争相手より良い立場を得るであろう。そして、世界的な展望から、他の諸国がより厳格な化学物質規制をするかもしれない。 コープはまた、デンマーク技術大学にある国立食品研究所のキセニア・トライアーを含む食品安全分野の指導的専門家からの支援を受けている。 ”法律が食品接触材は人の健康にリスクを及ぼさないことを確実にすべきと述べていることについて、ひとつのビジネスが、の責任を引き受けるのを見て私たちは非常に幸せである”とトライアーは述べた。 トライアーは、有害であるがまだ合法的である化学物質を指しつつ、コープは”科学がある化合物について言うことと、特定の食品規制の欠如の間のギャップを消費者に示している”と述べた。 しかし、”私たちはいつでも製品を棚から除去することができるわけではない”と、ブルムは述べ、汚い12の化学物質類の全てを撤去することは簡単なことではないであろうと言った。例えば、BPA のような化学物質のあるものは、食品容器中で広く使用されており、いたるところに存在し、科学的な代替が求められていた。 トライアーは、コープは禁止される(た)化学物質と同じような化学物質の使用を意味する”漸進的代替”を避けなくてはならないであろうと述べた。そのよう化学物質はしばしば同じような健康影響を及ぼすことがある。 ソレンセンは、コープは潜在的に有害な化合物を認知するだけでなく、解決策を見つけるために、科学者や様々な環境団体と密接に活動している。 ラーソンは、環境的持続可能性を導入しようとする会社にとっての障害は、しばしば、そのような変更がコストを削減し競争力をもたらすなどとは信じない内部の重役やマネージャーであると述べた。 コープは会員からなる組合であり、 デンマーク人口の約4分の1によって所有されているとソレンセンは述べた。 コープは会員の安全を第一とする長い歴史を持っているとブルムは述べた。そして彼はまた、現在までのところ、供給者は化学物質の廃止について最も積極的であると述べた。”彼らは現在、なぜ私たちがこのことをするのかをよく理解しており、彼らはまた商業的な有利性をも見ることがっできる”と彼女は述べた。 目標は、顧客の安全を確保することであるが、たとえ今は棚から商品を撤去しなくてはならなくても、そのような”商業的な有利”は素晴らしい副産物である。 たとえ私たちはポップコーンで利益を失っても、世間の注目はそれに値する”とブルムは述べた。”彼らが有害化学物質について何かを読んでおり、私たちがそれに注意していることを確信すれば、多分、私たちはもっと多くの顧客ともっと多くの共感を得るであろう”。 |