欧州委員会 2007年11月30日
内分泌かく乱物質のための共同体戦略の実施に関する
欧州委員会作業文書

ヒトと野生生物のホルモン系を阻害することが疑われる一連の物質

情報源:COMMISSION STAFF WORKING DOCUMENT
on the implementation of the "Community Strategy for Endocrine Disrupters"
- a range of substances suspected of interfering with
the hormone systems of humans and wildlife
(COM (1999) 706), (COM (2001) 262) and (SEC (2004) 1372)

http://ec.europa.eu/environment/endocrine/documents/sec_2007_1635_en.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年7月9日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/eu/071130_EC_Endocrine_Disrupters.html

サマリー


 1999年の”内分泌かく乱物質のための共同体戦略”に関する理事会及び欧州議会へのコミュニケーション(COM (1999)706)の欧州委員会による採択の後、理事会は作業の進捗を定期的に報告するよう欧州委員会に要請した。2001〜2003年の期間における戦略の実施をまとめた第2回進捗報告書は2004年10月に採択された(SEC (2004)1372)。これは2004〜2006年の期間における戦略の実施に関する第3回進捗報告書である。それは、さらなる調査、研究の鼓舞、テスト手法の合意、又は立法のために物質を優先づけることに関する活動の実施状況について記述している。

”内分泌かく乱物質のための共同体戦略”は、短期、中期、長期の活動からなる。短期及び中期の活動は、テストの優先づけ、研究と監視の取り組み指針、及び消費者の使用及び生態系の暴露を特定することを視野に、”候補物質”に関する科学的データを収集することに焦点をあてている。長期活動は政策の見直しと採択の可能性及び共同体の立法に焦点をあてている。

 ”内分泌かく乱”は、それ自体毒性学的エンドポイントではなく、ヒトと生態系に有害な結果を引き起こすかもしれない様々な種類の影響を異なる生物種にもたらすかもしれない多くの機序の種類であることを考慮すると、主要な短期的行動は内分泌かく乱影響のさらなる評価のための物質の優先リストを確立することである。この優先づけ作業は2000年度に始まった。約600種の化学物質(”候補リスト”)が洗い出され、評価され予備的優先リストが確立された。この作業は2006年に完了した。

 更なる評価のための予備的優先リストは物質のネガティブ・リストではなく、これらの物質の内分泌かく乱影響に関する更なるデータを収集とそれに基づく評価のためのベースを提供することを意味する。このリストは段階的アプローチで精査された。200年から2006年の間に、欧州委員会は物質の特定と評価に関する3つの研究を委託した。合計575物質の内分泌かく乱(ED)影響が過去6年間にわたり調査された。優先づけに関しては、そのうち、320物質がED影響の証拠、または潜在的な証拠を示し、一方109物質は、ED影響に関するデータが十分ではないか科学的証拠が十分ではないために優先リストに残らなかった。147物質は二重にリストに入っているか、あるいは関連性が疑わしいことが判明したので、作業の途中で評価の対象から除外された。

 内分泌かく乱(ED)影響の証拠又は潜在的な証拠のある物質の法的な状態の調査は、それらの大部分はすでに禁止又は制限の対象となっているか、あるいは、必ずしも内分泌かく乱に関連していないという理由のためであるが、既存の共同体の法令の下に目を向けられていた。

 中期行動に関しては、欧州委員会と加盟国は、内分泌かく乱物質のための合意されたテスト方法を開発することを目標として1998年に設立されたOECD内分泌かく乱テスト評価タスクフォース(EDTA)に参加している。最近の予測は、いくつかの環境とヒト健康影響のための合意された方法は2007年に決まるであろうということである。さらに、中期研究開発の対象に目を向けて、内分泌かく乱物質は第5次(FP5 1998-2001)及び6次(FP6 2002-2006)EU研究枠組み計画の下に対応がはかられ、また欧州共同体研究技術開発実証活動のための第7次枠組み計画(FP7 - 20072013)の下で対応されるであろう。

 長期活動に関しては、2004年以来関連する展開は、化学物質の登録、評価、認可、制限(REACH)に関する規則の採択があり、2006年12月18日に水枠組み指令(2006)の下に優先物質のための環境品質基準を制定する指令のための提案、または植物保護製品に関する指令91/414/EC (2006)を修正する規則のための提案が正式に採択された



訳注:優先リストのカテゴリーについての記述部分抜粋
2.1.2 低生産量化学物質に焦点をあてた内分泌かく乱物質の優先リストの強化に関する研究(DHI研究)
(8ページ、4段落目)
・・・評価の結果:107物質のうち 34物質は、少なくとも一つの完全な生物に内分泌かく乱影響の明確な証拠を示し(カエゴリー1)、
21物質は内分泌かく乱作用の可能性を示唆する何らかの証拠を示し(カテゴリー2)、
52物質は内分泌かく乱(ED)影響を決定するためには不十分なデータであったか、または優先リストに含めるための化学的根拠がなかった(カテゴリー3a 又は 3b)。
結果は Annex 2、Grouping of substances、Tables 1〜5 を参照のこと。
http://ec.europa.eu/environment/endocrine/documents/sec_2007_1635_en.pdf


訳注:欧・米・日の取り組み


化学物質問題市民研究会
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