2013年5月 CHEM Trustの見解
内分泌かく乱化学物質の認可についての
REACH見直し− 概要

情報源:May 2013, CHEM Trust's position on the REACH review
of the authorization of Endocrine Disrupting Chemicals (EDCs)
http://www.chemtrust.org.uk/documents/CHEM%20Trust%20Briefing
%20on%20REACH%20EDC%20review%20FINAL.pdf


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2013年7月30日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/NGOs/CEHM_Trust's_position_on_REACH_EDCs.html

 EUの化学物質規則 REACH は、欧州委員会に対し、内分泌かく乱(ED)特性を持つ産業化学物質について、REACH 認可手順の中で、閾値があるとするアプローチをとるべきなのか、あるいは閾値はないとするアプローチをとるべきなのかを、2013年6月以前に見直すことを義務付けている。CHEM Trustの考えでは、内分泌かく乱化学物質(EDCs)は、PBT/vPvBa 特性を持つ化学物質と同等な非閾値物質(non-threshold substances)として扱われるべきである。その理由は、現在、十分な確実性をもってEDCsのための信頼できる閾値を設定することができる科学的な証拠はないからである。非閾値アプローチをとる根拠は下記に基づいている。

  • 現在のREACHにおけるテスト要求はEDCsを特定する為には不適切であり、全ての内分泌かく乱特性の関連ある 評価項目をカバーしていない。高生産量化学物質以外の全てについて、テストは最も関連ある感受性の高い暴露時期ウインドウすら含んでおらず、したがってそのテストは、低用量で起きるかもしれない影響を特定することができない。さらに現在使用されているテストは、子宮内暴露であるために生まれた後に明白になるかもしれない潜在的な有害影響の全てを含んでいない。

  • 現在、知られている 1) 非単調用量反応(NMDRs)と 2) いくつかのEDCsの低用量有害影響−の存在は、安全な暴露レベルの設定の現在のメカニズムに疑問を投げかける。

  • 生命初期のEDCsへの曝露は、非可逆的な永久の重大なダメージをもたらすかもしれず、そのような影響は、最初に暴露していなかった次世代にすらもたらされるかもしれない。
 さらに研究は、大規模な集団でホルモンかく乱により引きこされるかもしれない疾病の不安をもたらすような増大を示している。さらに、動物を使用した多くの研究と疫学が、生殖問題、ホルモン関連のがん、そしてその他の代謝系疾病の発症という有害な傾向が、一部にはEDCsへの曝露に関係しているという懸念を強くしている。さらに最近の研究は、多くのEDCsへの曝露はたとえ低レベルであっても、加算的な影響をもたらすらしいことを強調している。科学研究におけるこれらの進展は、これらが政治的レベルの対応が必要な緊急な事柄であることを明らかにしている。欧州委員会と加盟国はEDCsへの曝露を減らすこの機会を見逃すべきではなく、それらの代替が利用可能なら 代替することを求めるべきである。

脚注:
PBT=Persistent, Bioaccumulative, Toxic; 残留性生物蓄積性及び毒性物質。
vPvB=very Persistent, very Bioaccumulative; 高難分解性高生物蓄積性物質。



化学物質問題市民研究会
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