EHN 2015年12月17日
”間性”のオスのバスが
米北東部の保護区の水系で見つかる

ブライアン・ビエンコスキー

情報源:Environmental Health News, December 17, 2015
"Intersex" male bass found throughout protected Northeast US waters
By Brian Bienkowski, Environmental Health News
http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/news/2015/dec/
endocrine-disruption-fish-rivers-national-wildlife-refuge


訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2015年3月31日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/edc/USA/
151217_EHN_Intersex_male_bass_found_in_National_Wildlife_Refuges.html

 米・北東部中いたる所の野生生物保護区でオスのコクチバス(Smallmouth bass)とオオクチバス(largemouth black bass)がメスの器官を持っているということは、我々の水系中の女性ホルモン化合物が魚類に害を与えているという証拠である。

 連邦政府の新たな調査によれば、米・北東部にある19の国立野生生物保護区の中又は近くでテストされたオスのコクチバスの 85%がメスの生殖器官の兆候を持っていた。

 米・地質調査所(U.S. Geological Survey )と米・魚類野生生物局(U.S. Fish and Wildlife Service)により実施されたこの研究はまた、彼らの試験場のオスのオオクチバスの 27%が間性(intersex)であったと報告した。

 この研究は国立野生生物保護区におけるこの種の最初の調査であり、たとえどのように水が保護されているように見えても、内分泌かく乱化学物質が米国の湖、河川、小川、貯水池に流れ込んでいるということが増大する証拠に加わるものである。そして、そのような汚染はある魚種の生殖発達に影響を与え、個体数への脅威をもたらすように見える。

 この研究におけるバスについて、”間性(intersex)”とみなされるバスは、精巣中にメスに典型的に見られる卵黄を作るために用いられるあるたんぱく質か、又は未熟な卵細胞を持っている−と米・魚類野生生物局の生物学者で共著者のフレッド・ピンクニーは述べた。

 ”卵は、非常に、非常に早い段階のものであった”と彼は付け加えた。

 しかし魚の生殖系のどのような変更であっても、魚の全体個体数及び適切に生殖するための能力に脅威を与えることがあり得る。

 2008年から2010年の秋のシーズンに、研究者らは 12か所の合計 118匹のオスのコクチバスをテストした結果、その 85%が間性であった。彼らはさらに、27の試験場の 173匹のオスのオオクチバスをテストした結果、27%が間性であった。

 研究者らは特定の化学物質について水をテストしなかったので、なぜバスが間性になったのかの理由は必ずしも明らかではないと、米・地質調査所の研究生物学者であり主著者ルーク・イヴァノヴィチは述べた。

 しかし性変化の疑われる犯人は内分泌かく乱化学物質である。

 これには、女性ホルモンまたはそれを擬態するホルモン、工業化学物質、及び農薬が含まれる。これらの化学物質は、許可された流出水、雨水、農業排水、及び経口避妊薬や天然エストロゲンが比較的処理されずに通過する排水処理施設をから河川や小川に流れ込む。

 この研究は、米国で間性の魚を見つけた最新のものであり、以前に米国の 9か所の河川流域で間性のオスの魚を見つけたが、北東部の流域は含んでいなかった 2009年の米・地質研究所の研究を増強するものである。北東部の水系でテストされたバスは 2009年の研究でテストされた魚より間性の割合が高かった。

 ある魚種は、オオクチバスとこの研究のコクチバスの差異に示されたように、他のものより女性ホルモン様化合物に過敏であるように見える。以前の研究もまた、コクチバスは間性変化により感受性が高いように見えることを報告していた。

 しかし、これは化学物質に対する実際の身体の感受性なのか、あるいはある種がより汚染された生息場所でより長く過ごすためなのか、明確ではない。

 国立野生生物保護区は米・魚類野生生物局によって保護されている区域である。全米には560以上のそのような保護区がある。

 テストが実施された国立野生生物保護区は、東部オハイオ州からメイン州までの範囲にあり、the Patuxent Research, Susquehanna, Montezuma, Great Swamp, Wallkill River, Great Meadows, Assabet River, Rappahannock River Valley, Mason Neck, Back Bay, John Heinz, Erie, Cherry Valley, Great Bay, Lake Umbagog, Sunkhaze Meadows, Missisquoi, Moosehorn and Ohio River Islands refuges を含む。

 ピンクニーは、バスは、北東部の生物保護区に住む多くの水生の生物種は女性ホルモン様化学物質に暴露しているかもしれないと述べた。

 ”米・魚類野生生物局は、保護区内及びその外の両方で小川、池、及び湖への流出を減らす管理措置を促している”と、彼は述べた。


訳注:関連情報


化学物質問題市民研究会
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