内分泌学会 プレスリリース 2018年6月7日
EU の基準は公衆を内分泌かく乱化学物質から
保護するには不十分である

内分泌学会は公衆の健康を保護する戦略の見直しを求める

情報源:Endocrine Society, Press Release, June 7, 2018
EU criteria fall short of protecting public from endocrine disrupting chemicals
Endocrine Society calls for revising strategy to protect public health
https://www.endocrine.org/news-room/2018/eu-criteria
-fall-short-of-protecting-public-from-endocrine-disrupting-chemicals

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2018年6月12日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/edc/Int/
EDS_180607_EU_criteria_fall_short_of_protecting_public_from_endocrine_disrupting_chemicals.html

【ワシントンDC】 内分泌学会は本日、植物保護剤(農薬)と殺生物剤中の内分泌かく乱化学物質(EDCs)を規制するための欧州連合(EU)の基準(訳注1)は公衆の健康を守るに至らないという継続する懸念を表明した。

 EDC は、体のホルモンを擬態し、阻み、干渉する化学物質」である。EDC 類は、糖尿病、肥満、神経発達障害、及び生殖問題のような深刻な健康問題を引き起こす。

 殺生物剤のため基準は本日から適用され(発効し)、欧州化学物質庁(ECHA)及び欧州食品安全機関(EFSA)により発行されたガイダンス文書に従って実施されるであろう。同学会の科学専門家らは、ある化学物質が内分泌かく乱物質であるという証拠に最終基準が過度に高いレベルを求めており、また有害な EDC 類を規制するのに更なる不必要な障壁を設けているということに懸念を持っている。

 内分泌学会は、ホルモン又は内分泌系に及ぼす有害影響が発見されれば、それで EDC として同定するのに十分であると強く主張する。作用や機序の詳細な研究は同定には必要ない。

 加えて、そのガイダンスは範囲を限定している。それは 4 つの内分泌経路だけを見ており(訳注2)、代謝、体重、及びインスリン作用のような重要な機能に影響を及ぼす他の経路に目を向けていない。

 EDC 規制は、胎児、子ども、及び青年を含む最も脆弱な集団を不可逆的な影響から守るよう設計されるべきである。EDC 類は、食品接触材料、工業化学物質、子どものおもちゃ、化粧品と身体手入れ用品を含む、多くの製品中に見いだされる。これらの潜在的な暴露源は EU の農薬及び殺生物剤の法律を超えて対応される必要がある。

 その声明の中で内分泌学会は、EU が近年開発された、環境及び消費者製品を通じての有害な EDC 類への暴露を最小化することを狙いとする新たな科学的情報に対応できるよう EDC 類に関する 1999 年戦略(訳注3)を修正するよう要求した。

 追加の研究もまた EDC 類の理解を深めるために必要である。新たな調査は、 EDC がどのように青年期を含んで様々な人生の段階で人々に影響を及ぼすかを説明することができるであろう。もっと多くの研究はまた、 EDC 暴露が精子数の減少のような生殖健康の問題にどのように影響を及ぼしているのかに関して光を当てることができるであろう。

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 内分泌学者は、糖尿病や肥満から不妊、骨の健康問題、及びホルモン関連のがんなど、現在最も緊急の健康問題を解決する中心にいる。内分泌学会は、ホルモン研究に専念する科学者とホルモン関連の病気をもつ人々を診る医師の世界最古で最大の組織である。
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 本学会は、122か国からの科学者、医師、教育者、看護師、そして学生を含む18,000 人以上の会員を擁する。本学会と内分泌学の分野についてもっと知るためには、我々のウェブサイト www.endocrine.org を、またツイッター @TheEndoSociety 及び @EndoMedia をフォローいただきたい。


訳注1:植物保護製品と殺生物製品の EDC 基準の参考情報
訳注2:4つの内分泌経路
欧州食品安全機関(EFSA)、内分泌活性物質類に係るEFSAの業務に関するFAQを公表(3/4)
食品安全関係情報詳細 2013(平成25)年3月20日)  検査方法が最もよく対処しているホルモン経路は、エストロゲンホルモン、アンドロゲンホルモン、甲状腺ホルモン及びステロイドホルモンに関連したものである。

訳注3:EU の EDCs に関する1999年戦略
化学物質の内分泌かく乱作用に関する環境省ホームページ/内分泌かく乱化学物質を扱う欧州における規制に向けた取組みの進展



化学物質問題市民研究会
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