EurekAlert!/内分泌学会 2019年3月20日
内分泌学会は、
内分泌かく乱化学物質を規制せよという
欧州議会の報告書の要求を称賛する


情報源:EurekAlert!/The Endocrine Society Public Release: 20-Mar-2019
Endocrine Society praises European Parliament report's call
to regulate endocrine-disrupting chemicals
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-03/tes-esp032019.php

訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2019年4月12日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/edc/EU/190320_EurekAlert_Endocrine_Society_praises_
European_Parliament_reports_call_to_regulate_endocrine-disrupting_chemicals.html



【ワシントン】内分泌学会は、内分泌かく乱化学物質((EDCs)が現在および将来の世代の健康に深刻な脅威を及ぼすことを論証し、この問題に対応するために EU において政策策定者らによるさらなる行動の必要性を描き出した欧州議会の報告書(訳注1)の発表を称賛する。

 議会の請願委員会(PETI committee)により委託されたこの科学的報告書は、現在の規制は暴露の安全レベルを特定するための能力に、いかに限界があるか、そして化学物質混合物への暴露の影響から消費者を守ることにいかに失敗しているかを示す、研究者の社会で合意されている領域を強調している。

 同報告書は、欧州連合(EU)が人の暴露を最小にするために全ての種類の内分泌かく乱化学物質を統制する調和のとれた規制一式を開発することを求めている。現在は化学物質はしばしば、その用途に基づき別々のクラスとして規制されている。同報告書は、現在の規制は人と環境の EDCs への全体的暴露を最小にするという欧州委員会の目的と首尾一貫していないと言及している。

 同報告書は、内分泌かく乱化学物質暴露の健康影響に関する科学的知識をまとめ、公衆の健康をよりよく保護するための勧告を提供している。内分泌かくらん化学物質専門家バーバラ・デメニクス、Ph.D.(フランス国立自然史博物館)と、レミー・スラマ、 Ph.D.(フランス国立健康医学研究所)が同報告書を書いた。デメニクスとスラマの二人は内分泌学会の会員である。

  EDC は体のホルモンを擬態し、阻止し、又は邪魔する化学物質である。子ども、胎児、そして若者は、その体がまだ発達中でありホルモンは発達のプロセスで重要な役割を演じるので、特にその影響を受けやすい。 EDC は糖尿病、肥満、神経発達障害、そして生殖問題のような深刻な健康問題の一因となる。

 内分泌学会は同報告書の EDCs の更なる研究の要求を支持する。報告書の中で特定された優先研究事項は内分泌学会の EDCs に関する科学声明(EDC-2)(訳注2)の中で特定されたものと一致する。この題目の更なる研究は、新たな EDCs の特定と適切な規制を加速するのに役立つであろう。

 内分泌学会はまた、同報告書の中心的勧告である全てのホルモン経路のためのテスト開発と科学的検証(バリデーション)を加速する必要があるということに同意する。テスト手法は、人間と生態系の健康に関連がある新たな、もっと敏感な評価項目を取り入れるべきである。エストロゲンとアンドロゲンの経路を超越したホルモン系を評価するための革新的な戦略が必要である。

 昨年発表された意見表明(訳注3)で内分泌学会は、EU は EDCs に関する 1999年声明を修正するよう要求した。最新の科学的証拠を考慮し、有害な EDCs への人間の暴露を最小にする行動が必要である。2018年11月、内分泌学会は、欧州委員会の新たな内分泌かく乱物質の枠組みは子どもたちとその他の脆弱な集団を EDC 暴露から保護するための緊急の必要性に対応していないという懸念を表明した(訳注4)。

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 内分泌学者は、糖尿病や肥満から不妊、骨の健康問題、及びホルモン関連のがんなど、現在最も緊急を要する健康問題を解決する中心にいる。内分泌学会は、ホルモン研究に専念する科学者とホルモン関連の病気をもつ人々を診る医師の世界最古で最大の組織である。

 本学会は、122か国からの科学者、医師、教育者、看護師、そして学生を含む18,000 人以上の会員を擁する。本学会と内分泌学の分野についてもっと知るためには、我々のウェブサイト http://www.endocrine.org を、またツイッター @TheEndoSociety 及び @EndoMedia をフォローいただきたい。



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訳注1
訳注2
訳注3
訳注4



化学物質問題市民研究会
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