EurActiv 2017年7月11日
内分泌かく乱物質:EUの定義には
多くの適用除外と抜け穴がある

ファビエンヌ・イーブン
情報源:EurActiv, 11 July 2017
Endocrine disruptors: EU definition contains 'too many exemptions and loopholes'
By Fabienne Even / Ouest-France
https://www.euractiv.com/section/endocrine-disruptors/interview/
endocrine-disruptors-eu-definition-contains-too-many-exemptions-and-loopholes/


訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2017年8月10日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/edc/EU/170711_EurActiv_
EDCs_EU_definition_contains_too_many_exemptions_and_loopholes.html


 長いトンネンルを抜けて、EUの内分泌かく乱物質の定義は、2017年7月4日、最終的に加盟国により承認された(訳注1)。しかし、欧州議会議員パスカル・デュランは EurActiv のパートナーである Ouest-France に、彼はその定義が予防原則を重んじていないことを懸念していると述べた。

 EU加盟国は 7月4日 に欧州委員会が提案する内分泌かく乱物質(EDCs)の定義を承認した。EDCs とは、ホルモン系を妨げ、がんや不妊問題を含む多くの疾病を引き起こすことが疑われる化学物質である。  フランスの環境大臣ニコラ・ユロはその定義を歓迎したが、環境 NGOs や、環境派(グリーン)の政治からは懸念している(訳注2)。パスカル・デュランはその理由を説明した。

 パスカル・デュラン氏はフランス緑の党の欧州議会議員である。

この定義の同意署名の背景は何ですか?

 2009年、EUは内分泌かく乱物質を禁ずる法律を採択しました。しかし、この法律を適用するために、加盟国は内分泌かく乱物質とは実際何なのかを定義しなくてはなりませんでした。彼らは2013年までに提案しなくてはなりませんでした。

 フランス政府と環境大臣ニコラ・ユロは、状況は加盟国同意することができなかったために暗礁に乗り上げたと的確に述べました。その定義への同意の署名は我々がある数の製品と化合物を禁止する確固としたプログラムを策定することを可能にするでしょう。

あなたはなぜ、この定義に満足しないのですか

 環境活動家、NGOs、及び独立系科学界はこれが良い定義であるとは信じていません(訳注3)。それは非常に限定的であり、我々が許容することのできない適用除外を提案しています。我々はドイツ化学産業界に譲歩しすぎ、彼らはこの定義に多くの適用除外と抜け穴を用意しました。

 細かい字で書かれた印刷物で、私たちは”立証された(proven)”内分泌かく乱物質だけが対象となり、”推定される(presumed)”又は”疑われる(suspected)”内分泌かく乱物質は含まれないことを知りました。それは予防原則を損なうので、私たちにとって非常に悪いニュースです。私たちは、これらの物質に関連する影響があることをはっきりと見ており、私たちはそれらが禁止されることを望んでいます。

 私たちはまた、植物ホルモン系(訳注4)に直接作用するよう設計された内分泌かく乱物質に与えられる適用除外に強く反対します。これらの化合物は適用除外されますが、それらは人の健康にも影響を及ぼすでしょう。

 科学界は、厳格な調査と動物実験の後に立証された又は疑われる内分泌かく乱物質の全ては禁止されるべきことを求めています。

 そのうえ、この適用除外は定義に関する最初の議論でなにも言及されませんでした。

あなたは、勝ち目のない戦をロビーイストとするのですか?

 私たちは苦戦していますが、一人ではありません。人々は彼らの健康を人質に取られることを望んでいませんし、両親は子どもたちに食物を与えるときに汚染させたくありません。人々は真剣に抵抗しています。

 それは一方ではお金の問題であり、他方では市民の健康と科学の独立の問題です。真実はいつかは明らかになるでしょう。

この定義に対してどのように反対していきますか?

 欧州議会で反対を多数派とし、定義の見直しを議題にさせます。それが私たちの希望です。他の選択肢もあります。環境大臣は、我々は今定義を手にしたので、国家(フランス)の規制当局は特定の化合物について行動することが可能になったと言ったのは正当です。私たちはさらに前進を続けますが、時間の浪費をしてしまいました。


訳注1:EDCs 定義 加盟国同意
訳注2:NGOs、及びグリーンズの反応
訳注3:NGOs、及び科学界の反応
訳注4:植物ホルモン
  • 植物ホルモン - Wikipedia ・・・植物自身が作り出し、低濃度で自身の生理活性・情報伝達を調節する機能を有する物質で、植物に普遍的に存在し、その化学的本体と生理作用とが明らかにされた物質のことである・・・
  • 植物ホルモン - FCTV ・・・植物ホルモンは農薬取締法上は農薬の1種であり,すでに農業では利用されています・・・



化学物質問題市民研究会
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