EDC-Free Europe 2016年6月15日
欧州委員会 EDC 基準提案:措置がとられる前に
もっと多くの人々が被害を受けることになるであろう


情報源:EDC-Free Europe, June 15, 2016
EDC-Free Europe reaction on
Commission's EDC criteria proposal: More humans will have to be harmed before action is taken
http://www.wecf.eu/english/articles/2015/03/nesting-film.php

紹介:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2016年6月21日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/edc/EU/160615_Commission's_EDC_criteria_proposal.html

 EDC-Free Europe 連合は、本日の欧州委員会の内分泌かくらん化学物質(EDCs)を同定するための基準提案に大変驚き、これを強く非難するものである。

 欧州委員会はかつてない高いレベルの証明を行うことによって EDCs を同定することを提案した。この提案は、ホルモンかく乱により人の健康と環境に脅威を及ぼす物質のほんの一部しか同定することができないような高いレベルの証拠を求めている。不妊と男性の生殖機能不全、女性の生殖関連問題(子宮内膜症及び子宮筋腫)、出生障害、肥満、糖尿病、心臓血管系障害、神経行動障害及び学習障害を含んで、内分泌かく乱化学物質への暴露に関連する疾病は、EU において年間 1,584 億ユーロ(約20兆円)のコストとなると見積もられている。

 さらに、欧州委員会は次のことを無視した。
  • このアプローチは、証拠のレベルにより発がん性物質、変異原性物質、生殖毒性物質を同定し、順位付けるためのよく確立し、成功しているアプローチと矛盾し、つじつまが合わない。
  • 欧州委員会のパブリック・コンサルテーションの回答の大多数は、人の健康を保護するために科学を効果的に利用する多層順位カテゴリー(オプション 3)の使用を支持した。
  • 主導的な科学者らは正しい選択肢として次の理由でオプション 3 を勧告した。
    • 最新の科学と新たに出現している研究を反映している。
    • 妊婦、赤ちゃん、及び子どもを保護するための規制を可能にする。

潜在的な EDCs は捕捉できない−有害影響を引き起す”かもしれない(may)”が削除された

 この提案はさらに、現状の殺生物剤規則及び農薬規則の重要な一面である”潜在的な” EDCs を無視することにより、同規則を損なうものである。現状の規則は、[人又は動物に]有害影響を引き起こすかもしれないホルモンかく乱物質も適用対象としている。このことは、定義だけでなく、強く疑われる EDCs を規制しようとする EU 議会及び理事会全体の明確な意図を示している。しかし、欧州委員会の提案は農薬法の改正案中でこの言い回しを排除している。さらに、欧州委員会はひとつのカテゴリーだけを提案しており、措置が取られる前に人間が最も被害を受け(続け)そうであることを意味する証拠に対し制限的な条件を設定している。このことは、EU 条約、及び注意深くそして意図的に組み込まれた殺生物剤法及び農薬法に記されている EU 予防的アプローチから明確に逸脱するだけでなく、それは許容できる保護のレベルから外れるものである。

卑劣にも、”無視できる暴露”を”無視できるリスク”に変える

 さらに、潜在的に不法な動きとして欧州委員会は、 EDCs 同定基準の範囲を逸脱して、農薬規則における既存の免除を、化学物質が EDCs として同定される場合における主要な法の抜け穴に拡大する(無視できる暴露を無視できるリスクに変える)ことを提案している。

 我々は、これらの提案では人の健康と環境を更なる被害から守ることはできず、我々すべてが毎日暴露する有害物質を農薬産業と化学産業が使用し続けることをことを許すだけなので、加盟国が大幅に修正することを主張するよう緊急に要求する。


訳注:欧州委員会関連情報
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化学物質問題市民研究会
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