3Rイニシアティブ閣僚会合に向けた
持続可能社会を目指す市民提言

2005年4月
廃プラ燃やすな!市民協議会
代表 植田靖子
事務局 日本消費者連盟気付
〒162-0042東京都新宿区早稲田75

3Rイニシアティブ閣僚会合議長
環境大臣 小池百合子様

 私たちは持続可能な生産、消費、そしてゼロ・ウェイストを目指す市民団体です。
 4月28日から東京で開催されるG8 3Rイニシアティブ閣僚会合の議題に関し、我々は、この閣僚会合 で形成されようとしている枠組みに関して次のような懸念をもっております。

 先に公表された、同会合に向けたイシューペーパーでは、G8各国内における廃棄物の発生の削減(Reduction)よりも、リサイクル(Recycle)についてより重点が置かれ、具体的に踏み込んだ議論がなされて、G8各国が国内の廃棄物発生を最小化してゆくという政治的意思が明確に示されていません。
 削減が担保されていない現状において、リサイクル目的で廃棄物の貿易障壁を低減することは、G8諸国をはじめとする先進国で発生する廃棄物が、アジアを中心とした途上国へ、リサイクル目的で大量に流れる道を開く恐れがあります。このことは同時に、現在必ずしも排出削減に成功しているとはいえないG8各国の廃棄物に、途上国という「出口」を与え、G8各国内の排出削減が更に大きく後退するであろうことが強く懸念されます。
 更に、有害廃棄物に関しては、G8諸国のうち、アメリカはバーゼル条約を批准しておらず、また日本、カナダ、ロシアはリサイクル目的の有害廃棄物の輸出を禁じた改定条項を批准していません。この状態を追認したまま、廃棄物の貿易障壁を低減することは、改定条項の発効やすでに批准した諸国における順守を阻害する恐れさえあります。

 よって我々はG83Rイニシアティブ閣僚会合に対して、以下を求めます。

1)G8各国内での削減を世界に対して公約すること:
 「国内での3Rを優先」を担保するため、明確な目標をもったG8各国国内の廃棄物削減政策が不可欠です。
 廃棄物の発生量が多く、把握できていない分が多いほど、残りの二つのRは困難かつ不適切なものになることは過去の経緯から明白です。
 最初のステップとして、目標年を決めてゴミを発生させない社会への移行をする「ゼロ・ウィエスト」の公約をまずG8諸国が打ち出すべきです。

2)有害廃棄物を途上国に送らないことをその手段とともに確約すること:
 廃棄物の国内処理を前提とすると謳うのであれば、それを担保する手段のひとつとして、有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約の、リサイクル目的も含めて有害廃棄物の先進国から途上国への移動を禁ずる修正条項をG8諸国が批准することが不可欠の前提です。(尚、バーゼル条約にさえ批准していないアメリカは、条約と修正条項の両方批准が必要です)

3)途上国を始めとする関係国と市民団体の参加の確保された場で議論を行うこと:
 途上国の環境と社会に重大な影響を及ぼす議論は、必ず、途上国や、問題に取り組んで来た市民団体の意見が反映できる仕組みの下での議論を行うことが必要です。

4)クリーンプロダクションを推進すること:
 技術協力開発に関しては、有害物質を使わない、有害廃棄物を発生さない、廃棄物自体の発生をなくしてゆくことを目指した設計や流通、再生産のためのクリーンプロダクションを優先することを基本として、途上国を支援すべきです。これは途上国のみならず、G8等の工業先進諸国においてクリーンプロダクションの実施に取り組む企業の成長につながります。
 また、廃プラスチック焼却熱の回収をリサイクルと見なしての技術移転がなされることはきわめて危険です。日本を始めとするG8諸国の経験からも、焼却が環境汚染の重大な原因であり、最も循環利用が困難な廃棄物とは焼却灰であることを改めて認識し、焼却を脱却するとともに、焼却炉の輸出や技術移転は自粛すべきです。

5)EPR(拡大生産者責任)を徹底すること:
 G8諸国間でまず、すでに実施されている各国のEPRを評価し、21世紀の循環型社会を持続させていく上で最良のEPRのあり方を見いだし、共通認識を確立することが必要です。
 その認識を踏まえ、G8各国は最良のEPRを徹底して遂行することを約束し、生産者、行政、消費者が応分の負担を引き受けることの必要性と重要性を世界に向けて宣言するべきです。

 *)日本政府は、循環型社会形成推進基本法及び各種リサイクル法(容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、自動車リサイクル法など)のなかにEPRの考え方を導入していると説明をしていますが、例えば日本の容器包装リサイクル法や家電リサイクル法をEUのドイツやフランスなどの同種の法律と比べても、本来生産者が負担すべき外部不経済コストや製品廃棄物の生産者による回収・再使用、有害物質管理などの方策の義務づけが不十分であり、抜本的な見直しが不可欠です。

6) 予防原則・代替原則を推進すること:
 POPs条約の附則第5章では、ダイオキシン類対策として原則焼却処理の抑制とダイオキシン類の発生抑制のための製品代替方策の導入を打ち出しています。また、環境保護の基本原則の一つである予防原則には、より安全なあるいは害のない代替がある場合にはそれに代替するという「代替の原則」という柱があります。G8諸国はこれらの原則に沿った行動をとることを明言するべきです。

 *)日本の廃棄物・資源化政策のなかにはこの製品[物質]代替原則がないといってもよい状態です。廃棄物処理法をはじめとする各種関連法令のなかにこの代替原則を導入する必要があります。

以上

【賛同団体】

NPO法人ごみ問題5市連絡会、日本消費者連盟、市民ネットワークちば花見川、市民ネットワークちば、栄工場のゴミを考える会、 ダイオキシン問題を考える市民の会、さくら・市民ネットワーク、止めよう!ダイオキシン汚染・関東ネットワーク、練馬区循環型社会をめざす会、藤沢エコネット、せたがやごみをへらす会、化学物質問題市民研究会、「環境・持続社会」研究センター


化学物質問題市民研究会
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