BAN 有害廃棄物ニュース 2006年10月25日 フィリピン−日本’有毒廃棄物’協定 保健医療労働者と医療廃棄物の交換 情報源:Toxic Trade News / 25 October 2006 RP-Japan accord 'toxic' Swap of health workers for hospital waste by Blanche Rivera, Published on Page A1 of the October 25, 2006 issue of the Philippine Daily Inquirer http://www.ban.org/ban_news/2006/061025_accord_toxic.html 抄訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2006年10月26日 有害廃棄物の新たな投棄の道が日本のためにもうすぐ開かれる−7,100の島からなるフィリピン。 これは、グロリア・マカパガル−アロヨ大統領と日本の小泉純一郎首相が9月9日にヘルシンキで開催されたアジア−ヨーロッパ会議の傍らで署名した日本フィリピン経済連携協定((Japan-Philippines Economic Partnership Agreement (JPEPA))(訳注1)による影響を、関心を持つ環境保護者らはどのように見ているかについて表している。 環境保護者らによれば、看護士及び介護師をフィリピンから派遣することの交換条件として、フィリピンは有毒で危険な廃棄物をJPEPAの下で受け入れるであろう。 この通商交渉におけるフィリピン代表である次官トーマス G. アキノは ”Inquirer”紙に、この協定は広い範囲の製品を含むと述べた。しかし、この協定は二国で批准されて発効すれば、規制された廃棄物だけが受け入れを許されるであろうとアキノは述べた。 これは、この二国間通商投資協定が、フィリピンと日本が署名しているバーゼル条約で禁じられている行為である毒性の高い焼却灰を含む有害廃棄物の通商の促進を含んでいるという点で初めてのものである。 現在は大統領主席顧問である環境庁の前長官ミカエル T. ディフェンサーは、JPEPAに有害で禁止された廃棄物を含めることに二度反対した。 昨日、ディフェンサーはヘルシンキ協定の後も彼の立場は変わらないのかどうかのコメントを求められ、彼は型どおりにInquirer紙に答えた。”そうだ。私の立場は変わらないが、大統領はこの協定の詳細を読むことはできなかったと確信している。” 危機感を持った環境保護者や民族主義的貿易推進者らは、国家の批准を承認するフィリピン上院に JPEPAが上程された場合にそれを拒否するよう現在、活動している。 彼らにとって日本との関係は単に、医療健康介護と医療廃棄物の交換を作り上げるだけのことである。 ”我々は有害物質で毒されようとしている。我々は人々を健康にするために日本の医療団体、医師、看護士らに彼らを送り込むが、我々は何を得るのか? 有毒物質だ”とグリーン・イニシアティブの代表ミミ、シサンはインタビューで述べた。 貿易専門家らは、この協定は 将来の二国間協定の基調を設定する巨大な協定として、11,300 の関税品目又は物品をカバーしていると述べた。(訳注2) 環境天然資源省(DENR)によって準備された概要書は、これらの項目のうち141品目は”適切に扱われなければ健康と環境に潜在的に有害であるとみなされる環境的に敏感な製品である”と述べている。 自身の廃棄物を処理することができないフィリピン 有毒及び危険な廃棄物の輸入及び移動を規制する法を持っているフィリピンは、すでに自国内で毎年発生する少なくとも250万トンの危険廃棄物を処分し処理することに四苦八苦している。 ”我々は自分達の家庭ごみすら処理することができず、我々はリサイクル産業もない”とシサンは述べた。 JPEPA の中にリストされている有毒及び危険廃棄物のタイプは、合法的に取引されるリサイクル可能な物質として政府によって当初、認定された。 しかし、JPEPAの基本合意の第29条は、この通商は、”当該締約国において収集される産品であって、当該締約国において本来の目的を果たすことができず、回復又は修理が不可能であり、かつ、処分又は部品若しくは原材料の回収のみに適するもの”にも適用することを規定している。(訳注3) 当該締約国における製造若しくは加工作業又は消費から生ずるくず及び廃品であって、処分又は原材料の回収のみに適するもの 本来の目的を果たすことができず、かつ、回復又は修理が不可能な産品から、当該締約国において回収される部品又は原材料 処分だけに適する ”もし協定がそれらは処分だけに適するという時に、これはリサイクリング用であると言うことができるのか?”と JPEPA 交渉を追っていた弁護士で通商法の専門家であるタンヤ・ラット・アクバヤンは述べた。 アクバヤンは、最高裁は通商産業省(DTI)に対し議会のグローバリゼーション特別委員会にJPEPAドラフトのコピーを提出させ、完全な議論が完了するまで JPEPA に結論を出す又は署名する又はそれを大統領に送付することを止めさせるよう求めた原告の一人である。 最高裁は、昨年12月に提出されたこの職務執行と禁止のための請願に関し、アロヨ大統領と小泉首相がヘルシンキでこの協定に署名するまで、決定を行わなわなかった。 JPEPAは、フィリピンでは1946年のアメリカとの平等条約以来初めての二国間通商協定である。それは日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)との経済的緊密性強化へのひとつの動きのように見える。 日本はフィリピンのアジアにおける第一の、世界では第ニの貿易相手国である。またフィリピンに対する公式な開発援助の最大の提供者である。 ”これは新しい種類の協定である”と2005年2月28日の議会のグローバリゼーション特別委員会でのヒアリングでアキノは述べた。 JPEPA が明らかにされてから一か月後に、環境保護主義社と民族主義的貿易専門家は、取引される項目リストの中に焼却灰や医療廃棄物のような廃棄物を含めたことにいきりたった。 これは犯罪的である JPEPA の下で関税率ゼロの廃棄物リストを見て、”これは言語道断で犯罪的だ”とマザー・アースの設立者オデッテ・アルカンタラは 述べた。 フィリピンにおいて焼却炉を禁止する共和国法 No. 8749、又はフィリピン清浄大気法の制定のために長年活動を行ってきたグループの代表アルカンタラは、JPEPA は、非常に有毒な焼却灰が持ち込まれることを推進するので、清浄大気法を打ち負かすであろうと述べた。 ”我々は、焼却灰を輸入するために清浄大気法を成立させたのではない。それは捻じ曲げられた。我々はフィリッピンでは焼却炉をまさに禁止したので焼却灰など持っていない。それなのに我々はそれらを輸入するのか?”とシサンは述べた。” フィリピン大学の廃棄物管理専門家メトディオ・パライパイは、焼却灰を固定する既知の技術はあるが非常に高価なのでフィリピンでは利用可能ではないと述べた。アメリカとヨーロッパはその技術を持っている。 ”焼却灰をリサイクルできる方法はない。それは焼却する前のものに比べて20倍有毒である”とパライパイは述べた。 根拠がない しかし、その概要書の中で環境天然資源省(DENR)は、JPEPA の中に明示的に禁止項目の貿易又は規制された製品の通商又は自由な持ち込みを許す条項はないと強調した。 環境次官デメトリオ L. イグナシオは、環境保護主義者の懸念は根拠がないと述べた。 彼は、共和国法 No. 6969 又は1990年有毒物質及び有害・核廃棄物法は、有害廃棄物がトランジットも含めて、どのような目的のためにもこの国への持ち込み又はこの国での処分を禁止している。違反した場合には懲役12年〜20年の罰則を規定している。 ”JPEPA は、第一に有毒及び危険廃棄物の持込みを禁止しているのでそれらが持ち込まれることはないという意味で、我々の法に反することはない”とイグナシオは述べた。 フィリピンの目的はJPEPA を承認させることであり、それは我々の法に影響を与えない、言い換えれば危害はないのだから、環境は実際に譲歩ではない”とイグナシオは述べた。 (訳注) 日本・フィリピン経済連携協定関係資料 訳注1:外務省ウェブサイト
”灰”は下記に記載されている ・第五部鉱物性生産品/第二六類鉱石、スラグ及び灰 訳注3:協定書 第二十九条 原産品 1 略 2 1(a) の規定の適用上、次に掲げる産品は、締約国において完全に得られ、又は生産される産品とする。 (a)〜(h) 略 (i)当該締約国において収集される産品であって、当該締約国において本来の目的を果たすことができず、回復又は修理が不可能であり、かつ、処分又は部品若しくは原材料の回収のみに適するもの (j)当該締約国における製造若しくは加工作業又は消費から生ずるくず及び廃品であって、処分又は原材料の回収のみに適するもの (k)本来の目的を果たすことができず、かつ、回復又は修理が不可能な産品から、当該締約国において回収される部品又は原材料 |