BAN 有害廃棄物ニュース 2006年5月2日
バングラディシュの海岸に有毒廃船を捨てるな
環境団体が一重殻石油タンカーの廃棄船の引き返しを要求


情報源:BAN Toxic Trade News / 2 May 2006
Groups Say No to Toxic Ship Dumping at the Beaches of Bangladesh:
Demand Return of Phased-Out Single Hulled Oil-Tanker
http://www.ban.org/ban_news/2006/060505_no_toxic_ship.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2006年5月7日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/BAN/06_05_07_Alfaship.html


【2006年5月 ブリュッセル】 環境と人権団体の世界的な連合が本日、ギリシャ所有の一重殻石油タンカー”アルファシップ号”の解体計画をバングラディシュが速やかに拒絶し、欧州各国は同船を汚染除去のために責任をもってヨーロッパに呼び戻すよう要求した。今年の2月15日、フランスはアスベストとPCB類を船内に残したままのクレマンソー号を呼び戻すことを余儀なくされたが、同じ日に、バングラディシュは、大量のアスベストを積んだままの客船でバングラディシュのチッタゴンの海岸で解体される予定であったSSノルウェー号(前SSフランス号)の入港を禁止することに合意した。両方の企みとも、アスベストやPCB類などを含む有害廃棄物の輸出を厳しく管理することを求めるバーゼル条約が適用されること、及び、南アジアの海岸の船舶解体場は労働条件も環境健康条件も劣悪であるという事実が厳然と示されたために中止させられた。

 ”クレマンソー号のように、そしてSSノルウェー号のように、南アジアの我々は、OECD諸国でアスベストやPCB類などを事前除去していない有毒廃船の廃棄に対してノーと言う”−とバングラディシュ環境法連合(BELA)は述べた。”そのような廃棄は不法であり、不道徳であり、持続可能な開発と人及び労働者の権利という世界の目標と矛盾する。我々はこれ以上許すことはできない。”

 アルファシップ号はカテゴリー1の一重殻石油タンカーであり、ヨーロッパと国際海事機関(IMO)の法によって2010年までに他の2,200隻のタンカーとともに石油市場から撤退することを余儀なくされており、ヨーロッパ海域ではすでに昨年(2005年)禁止された。

 欧州委員会及び船級協会DNV(訳注(参考): DNV Japan ウェブサイト)によって作成された調査報告に基づけば、アルファーシップ号及び他の一重殻タンカーはその経歴から、間違いなくPCB類、アスベスト、及び燃料油残渣が船体に残されている。したがって、SSノルウェー号のように、アルファシップ号は完全に汚染除去されない限りバーゼル条約及び欧州廃棄物輸出規制(259/93/EEC)で定義されるように有害廃棄物であるとみなされるべきであり、この規制の管理対象とならなくてはならない。EUの廃棄物輸出規制はヨーロッパから開発途上国への有害廃棄物の輸出を完全に禁止することを求めている。

 ”これは富める先進国が彼らの海域を航行することは非常に危険でありスクラップにしなくてはならないということに合意した数千隻の一重殻の石油タンカーの最初の一隻である”−とNGOプラットフォームのコーディネータでるイングビルド・ジェンセンは述べた。”富める国にいる我々が開発途上国の出費で我々の環境を改善するということは不当なことである。したがって我々はそのような有毒な船舶は輸出される前にまず、先進国で事前に汚染除去がなされることを要求している。”

 船舶解体に関するNGOプラットフォーム(NGO Platform on Shipbreaking)によれば、バーゼル条約を遵守する責任は、通過国及び輸入国(transit and importing States)とともに、寄港国(Port States、スクラップのために出港することが認識された港の国)、船主国(Owner States、船主に司法権及ぼす国)及び旗国(Flag States、船籍国)にある。

 NGOプラットフォームはバングラディシュ政府に対し、事前汚染除去がなされるまで、又はなされなければ速やかに同船を拒絶することによって責任の連鎖の引き金を引くことを要求している。

連絡先
BELA, for legal situation in Bangladesh: +88 02 8612957, bela@bangla.net
YPSA, for situation on the ground in Chittagong: +88 031 672857 info@ypsa.org
BAN, for information on Basel Convention application: Jim Puckett, coordinator Basel Action Network, until 13 May +31 64719816, after 13 May +1 (206) 652.5555
NGO Platform on Shipbreaking, for overview: Ingvild Jenssen, project coordinator:+32 2 648 31 22 / +32 485 190 920


化学物質問題市民研究会
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