「塗れた恋人」ニーズxサイカ版




「新しい世界が、見たいです・・・」
たった一言、彼女は願いを口にした。

「ニーズ殿が見せてくれる世界は、一体どんなものなのですか。嫁ぐ私は、あなたの世界に暮らす事になるのです。それは、どんな世界なのでしょう」


ザザー・・・ン。バシャー・・・・ン・・・。
横に海が揺れていた。雨が音を鳴らして地面を打ちつけていた。
俺は完全に途方に暮れていた。

「って、ゆーか。お前ただの居候だから」

返事は無視して、サイカは諦めたように、薔薇の花びらを一枚ちぎり、風に飛ばす。

「気にしないで下さいませ。ただ、時々思うことがあるのです。誰も知らない場所で、自分だけの世界を創りたいと」

飛ばした花びらは風に舞い、海の上に赤い染みを生み落とす。

「赤は好きなのです。黒に映えます」(うっとり)


何枚も、花びらを摘み取っては、サイカは海へと飛ばした。
終わった夢物語に別れを告げる、悲しい儀式の動作のようで。

「・・・・!」
不意に突風が吹き、彼女の手から風は、数枚の花びらを残した薔薇の花束を奪い取り、海に持ち去る。
海に落ちた、花束は遠く、彼女は     

「残念です・・・」
夢に敗れたように、昏く何も無くなった指先を見つめた。


「・・・・って。やだよ俺。海に飛び込むの」
「何を言ってますか!愛のためにさあ!盛り上がる場面ですよニーズ殿!」
「お前が行けよ」
「やですよ!早く花束取って来て下さい!!」(どーん!)
「押すなって馬鹿!」
ざっぱ〜〜〜ん。



俺は・・・・。
心を決めていた。


「何すんだボケがあああァッ!!」
「次の台詞違いますよ!」
「お前も海に堕ちろっ!」
「あああ〜〜〜れぇ〜〜〜!!」


「ああっ!二人とも〜、ちゃんと台本通りやって下さいよ〜」
↑監督ワグナス






「19年目」グレイxファル版




「見て。特大二段ケーキを作ってみたの」
「ありがとうファル!美味しそうだよ!!!」


噛みしめると、異様な汁が口の中に広がっていく。俺は口を開いて固まった。
「グレイ、イクラ好きだったわよね。それから、スポンジの中には色んなものが入っているの。間に塗っているのはマヨネーズ。挟んでいるのはナスの漬物よ」


「何喰わせてんだよてめえっ!吐いちまえよ兄貴!!」
「ああ、駄目ですよ弟君。あなたは観客ですよ〜」(退場させる)


ぶっ、くうううっ
「顔色が悪いみたい・・・。張り切り過ぎたかしら・・・」
気持ち悪さに青ざめるけれど、お茶を飲んで流し込み、にっこりと笑った。
「すっっっっっごく美味しいよ!!」(ブルブル)

「良かったわ。隠し味にチョコクリームに黒酢とにがりと味噌を仕込んであるの」
「あ、ありがとう・・・。俺、全部食べるから!」(ばくばく)

「泣くほど美味しいのね。嬉しいわ」(くすり)

「プレゼントもあるのよグレイ。・・・喜んで貰えるかしら」
「えっ!なになに?何でも喜んで貰うよ!」(嬉々)


紙袋をガサガサと開けて、中味を知ると俺は袋を持ったまま微かに震える。
「・・・・。さすがファル。俺、こーゆーの欲しかったんだ」

紙袋の中には数枚の男用パンツが入っていた。ファルはわざとなのか相当ステキな趣味の柄を選んでいる。

ジパングに伝わる・・・?天狗柄。
派手な薔薇模様。蛍光ピンク地に白のハート模様。富士山とか。
シースルータイプとか。Tバックとか。


「彼氏に下着を贈るのは流行なのですって」
「そ、っか。(汗)大事に今日から使わせて貰うよ!ありがとう!」
「きっと、似合うわね」
「・・・・・・・・・・」

「ま、待ってて!」
二階の自分の部屋へと階段を駆け上がって行き、早速一枚、・・・妥当な富士山にしておこう、はいてパンツ一枚で戻ってくる。

「ぴったりだよ!ありがとうファル!!」(にっこり)
「・・・良く似合っているわ。素敵よ」(寄り添い)

「・・・・・・・・!!!」(///)


「あ、兄貴ぃ〜〜〜〜!!目を覚ましてくれよ〜〜〜!」(滝涙)
「素敵!素敵ですよ!私たちもこうなる筈だったのに!もう、ニーズ殿は照れ屋さんなのですから!」(プン)
「なるかーーーーっ!!」






人と話してる内にこの二組のカップルの差が面白いことに気づいたので遊んでみました。
ニーズにはグレイが全く理解できません(笑)
グレイの愛は深いなぁ〜(笑)


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