10.夜




-夜-



何故、私は「夜」が怖かったのだろう。
昼間の眩しい陽射しも、町の喧騒もたいして好きではないのに。

何が違うのでしょうね。

昼と夜と、変わるものは    

暗闇から伸びる、怪しい腕に、
光亡き場所へと閉じ込められてしまう。

光は好きではないくせに、永遠の闇は恐れるのが私。
矛盾しているわ。


「光」なんて、ささやかに注ぐだけでいい。

強い光は眩し過ぎるの・・・。



コンコン。
不意にドアはノックされた。

廊下の暗闇から、伸びてくる腕    、持ち主を私は知っていた。
知っていたから、無意識に泣いていたのでしょう。


どうして、不安がわかったのかしら。
まるで何かのセンサーでも彼にはついているかのよう。

夜は寂しいわ。『空』が見えなくなるのだもの。

あなたと常に同化する、青い空が去ってしまうから悲しくなるの。


優しく私を抱きしめる、彼の胸に甘えて、ひとしきり涙をこぼした。
暗闇が恐いのじゃない。
ささやかに射し込めば良いとだけ思う、あなたを断たれることに怯えるの。

離さない?

離れなくていい?

この関係が永遠と続くという保障なんてどこにもないわ。



私はひとつ、わがままを口にした。


今夜は、一緒に夢を見て。





・・・本当は知っているのよ。あなたが傍にいる限り、この恐れは消えないの。
届いた空、手に入れた日からは、失う事に怯える日々に切り替わる。

どんなに重なっても、重なるだけ、ひとつになれないズレに悲しむのだわ。


      それでもいいの・・・。
空が見えない夜には、・・・隣で、一緒に星を見上げて。

悲しみも恐れも、あなたを愛している証。



おやすみなさい。
あなたの呼吸が、誰より心地良い、こんな素敵な夜。








お友達の作品を元に、マリア視点で自分で書いてみたSSです。
たまには大人っぽいマリアでも・・・。