N.Y.ジャンク日記 文/古田ひろひこ
絵/はやみあきら
ふるた・ひろひこ
スタイリスト。洋服メーカー、“UNSEAKY”の製作をするためニューヨークと東京と行ったり来たりの日々。
はやみ・あきら
イラストレーター。本の装画や挿し絵などで活躍中。
JUNK7.友達

ニューヨーカーは京都が好き。というコトで、友達の女のコの話なんだけど、京の都から東の都にやってきて半年になる。容姿端麗で、おしとやかな25歳。着物の着付けの師範でもある彼女は京都の厳格な家庭で育てられた感じが全身からにじみ出ている。「はぐれ刑事純情編」ならギャンブルに溺れる男に貢ぐため風俗で働き、最後はシャブ漬けでボロ雑巾にされる切ないキャラクター。そんな彼女と会うと心が洗われる思いがする。とても狼の仮面をかぶったハイエナのようなヤツらになんか紹介できない。つまり隠しダマ。中国の王様のような心境でもある。その彼女が都内で一人暮しをはじめて半年になる。はじめての一人暮しはとっても淋しいもの。ウーパールーパーでも飼いそうな勢いの淋しさを味わっている。そんな状況に耐えかねた彼女はなんでも最近「友達を作ろう」というスローガンをたてたらしい。鼻血が出るくらい新鮮なスローガンに思わずもらい泣き。自分から行動しなければ始まらないと言う彼女は教室に射し込む夕日で輝いていた。だから点線でしかつながっていない知人の誘いは面倒臭いと思っても積極的に付き合うようにした。ある日、知人からパーティーに誘われた。それはその知人のボーイフレンドが出演するロックのライブ。「もっと前の方に行こうよ」と言われ、最前列へ。演奏が始まると一斉にヘッドバンキング。彼女はどうしていいか分からない。エスカレートしたオーディエンスは跳ねるし、暴れるしで彼女はモミクチャ。しまいにゃダイブしてくるしで彼女にとっては恐怖体験。始発の電車の中で性も根も尽きた彼女は「友達は自然に作るものだ」と悟ったらしい。

●NYと日本のネタをおしゃれなようなジャンクなようなフシギなテイストで展開中。はやみさんのイラストも楽しみ。

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