『文学賞メッタ斬り!』発売記念アンケート企画
出版業界人に聞く! 文学賞ってどうよ?



Q5
今回の芥川賞は、
ふたりの若い女性作家が受賞したことが
話題になっていますが、
どう思われましたか? 




さまざまな思いが錯綜してることがわかりました。「話題づくりでしょー」「売れることはいいんじゃない?」「なんでこんな作品が……!?」「すばらしかった」「お美しい」などいろんな意見が並びました。ホントに事件だったんですよね



・作品に対しての、きちっとした批評なり評論なりがもっと生まれていいと思います。2冊とも未読ですが、『蹴りたい背中』はぼちぼち読む予定。(斎藤てつや/フリー編集/30代♂)

・文学賞は基本的には商売ベースだから、あんなものじゃないかと。金原さんのは、まあまあ面白かった。でも、そんな大騒ぎするほど、新しい感じでもない。綿矢さんのは、なぜかあまり読む気がしなくて、『インストール』も途中まで。(まるちゃん/編集/40代♀)

・やはり賞も見せ方、ショウアップなのね、話題先行か〜と思いました。直木賞を有無も言わせぬお二人(京極夏彦さんと江國香織さん)で固めたあたり、絶妙のコンビネーションで話題を作ったなぁという印象です。『蛇にピアス』は読んだ。独自の世界でなかなか面白かった。『蹴りたい背中』は、読もうと思っていたが、『インストール』の方が断然面白かったという近場の話が多かったため、『インストール』をすでに読んでいた私は、まあいいか、と読むのを断念しました。(C・T/編集/30代♀)

・率直な意見…綿矢が生意気そうでヤダ(笑)(R・K/ライター/30代♀)

・若い作家が受賞することは、芥川賞が本来目的とする<新人作家の発掘>という点からは問題をまったく感じない。芥川賞=その年最高の小説 ではないわけだから。女性であることも別にどっちでもいい。(というか、女性の作家をふだんから好んで読んでいる)。『蛇にピアス』は読んだけれど、実際に読んでみると、策を弄したり、奇をてらったりすることのない、真面目な作品だと思った。いろいろなことをいろいろな人が言うにしても話題になることはよいことだと思う。ただ、安原さんだったか(忘れました)が書いていて同感したことがあるが作家が集まって受賞作を決めるのは間違っていると思う。編集者あるいは出版社が、自分や自社の見識で決めるのがスジではないか?「長所も短所もわかりつつ作品に惚れ、もちろん銭金も計算しながら、しかしやっぱりレベルの高い作品を世に出したい」そういう、生活をかけて選ぶものではないかと思う(自分が出版業界にいるからかもしれないが)。(中村/編集/40代♂)

あんまり興味ないです。読んでもいません。本全体が売れるきっかけになるといいなぁと思います。(石黒由紀子/ライター/30代♀)

「最近の若い子でも小説を書こうと思ったりするんだなぁ」という感想は抱きましたが、賞のあり方については元々の無知も手伝って、なんとも思いませんでした。(横尾憲一/会社員/30代♂)

・なんであれ話題になるのは、行き先不明な業界人としてはいいことだよね。(メガネ/雑誌編集/40代♂)

・不景気の時は若者に頼る(?)国だなあと思った。別段悪いことでもないけど盛り上がりすぎでは。本誌増刷ときいて「不況は深刻だなあ」と思ってしまったのは発想がゆがんでいる?(田中朋子/編集/30代♀)

・とにかく「盛り上がってる!」というムードは、良いことだと思います。ただここ最近は、ふつうに「おもしろいね」で終わってしまう作品が多いような気も。もっと、「すごい!!!」と脳天に衝撃の走るような作品と、文学賞を介して出会いたい、と思っています。(矢部智子/フリーライター/30代♀)

・「若い」「女性」という点でひっかかってしまうのは、昨今の話題作りの主な材料が「若い」「女性」だからでしょうか。作品未読なので読んだらひっかかりが溶けるかも知れません。(直木賞は他に人材なかったんかい!と裏拳で突っ込みたいです)(ハヤミ/らくがきや/?代♀)

・今回の受賞者2人の作品はとても興味があり、読みたいと思いました。金原さんみたいなああいうふてぶてしいキャラ、しかもティーンが受賞したのは、将来的にとてもいいことだと思う。日本文学にカツが入るといいですよね。(Haru/ライター/40代♀)

・うまく話題が作れたな、と思いますが,次の展開をどーするのかが気になります。(ピョン吉/雑誌編集/30代♂)

話題作りか!とやっぱりうがってしまいました。(A・U/雑誌編集/40代♀)

・将来国語の教科書に載るような作品だったらいいなあと思います。読んでませんけど。(ババラ/会社員/30代♂)

・出版業界を盛り上げるために必要だったんだなあと少し悲しくなりました。まるでタレント扱いで、お二人にも気の毒のような…。でも、普段本を読まない人まで『文芸春秋』を探し回っていたのを目の当たりにし、すごいーと思いました。拝読しましたが、私はあまり好きではありませんでした。(とら/編集/30代♀)

・読んでないので、内容についてはなんともいえない。ただ、純粋に作品の完成度だけでなく、文学界、出版界をもりあげようという商業的な意図が、選考委員中にあった可能性がすごく高い気がする。もちろん、ある程度以上の水準の作品であることは前提の上だと思うけど。(金原りさ/フリー/40代♂)

・活気があっていいと思います。苦節何十年より若い人がとるほうがすがすがしい。久世光彦などおじさん作家たちの色めきだった様子が滑稽(ぴーちゃん/雑誌編集/30代♀)

・写真界で言う、2年前の木村伊兵衛賞みたいだな、というのが最初の印象。(しかもあの時は女子3人でしたが)どの業界も、ヒロインを求めているんだなーと。ヒーローではなくヒロインってのが感慨深いです。どちらもまだ読んでません。単行本ではなく「文藝春秋」を買おうと思ってます。(kisarazu cats /雑誌編集/30代♀)

『蹴りたい背中』、素敵! 狭い世界だからこそヒリヒリしてて、残酷で。恐ろしく繊細で微妙な階級意識が痛いほど青春してます。(米光一成/自分でも判らなくなってきた/30代♂)

・率直に言うと、売上につながったのでうれしいです。雑誌の文藝春秋も売れたので、これを機会に文芸誌も時々買ってくれる層ができるといいなぁと思ってます。感想に関しては、私にとっては必要ない小説、というか、もうこういうの知ってるよん、といった感じでした。『蹴りたい背中』の方は、あと二押しくらいで興奮するのにとは思いましたが(オオウラウタコ/書店員/20代♀)

・読みたいんだけど、どうもおやじたちがギラギラ読んでいるような気がして、ちょっとひいてます。(中尾慧里/美容ライター30代♀)

・いや、べつにいいんじゃないでしょうか。話題にはなったし。芥川賞自体にはさほど関心がないからかも。(スズキトモユ/出版流通管理/30代♂)

・久坂葉子、峰原緑子など、若くして芥川賞候補になる人は昔からいた。若い女性の直面する問題が、大人(選考委員)の理解できるものになっているということなのかな。ともあれ、若さや美貌も才能だと思う。年寄りであることや醜いことも才能だし。(枡野浩一/歌人/30代♂)

・少なくとも10年以上、芥川賞なんて話題にしたことなかったに違いないおじさんたちが、さかんに世間話のネタにしているのは、たいへんけっこうなことなのではないでしょうか。ストレートにうがった言い方をすれば、文春の作戦勝ちであり、芥川賞の役割が存分に発揮されている状態なのだと思います。(ノリスケ/フリーライター/40代♂)

へえ。て感じです。(蔡俊行/ホルモン店オーナー/40代♂)

・おいしすぎる、文春! ネットでも「りさタン」とか言ってる萌え男がいっぱい。わかりやすスギなやつらだ。でも今度は若い男のコにも受賞させてほしいデス……。(F・T/出版/40代♀)

お二人とも美しい。どうして? と思いましたが、美しい。何か変?(藤波信男/ギャラリー/40代♂)

・芥川賞ってそもそもなに? 芥川龍之介みたいに小説の天才だ、と認めます賞? ずっと純文学の賞みたいにいわれてきたけど龍之介って純文学なの? どっちかっていうとエンターテイナーじゃない? っていうか純文学ってもともとそういうもの?(どうも面白くない文学ってイメージがあるけど)ちゃんと考えたことなかったけど今回の受賞作を読んだら、「こんなもんなんだ〜そうだよね〜、19歳だもんなあ」と思ってしまった。天才なの? あのふたり? 龍之介は草葉の陰で何思う?(わし/出版/40代♀)

・最近の芥川賞・直木賞って、「ものまね王座決定戦」化してません? 江國香織とか唯川恵、村山由佳あたりなんて、「さして似てないけど腰が低いから点数が高い松本明子」って気がするし、京極夏彦なんかは「ここらであげないと可哀想だからあげときますか」ってカンジの栗田貫一っぽい。今回なんて、いいとこ「すばる文学新人賞」だろう! と思ってたら、その通り、受賞してたんですね、そっちも。ちなみに読む気も起こらないす。(白丸/広報/30代♀)

・いやー、本屋なので本が売れるのはよいと思いましたありがたい。(とある本屋/書店員/40代♀)




さて、大森望と豊崎由美は、
今回の芥川賞の結果をどう捉えたのか!? 
それが意外にも……。
ぜひ、本屋さんで確認してくださいね!

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何か効きそうな玉に祈ってみる。


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