目的地の森や林や川原を見つけても、かぶとむしやくわがたむしが集まる木を知らなくては探すのがとても大変です。
私の始めた頃の苦い経験より「なんとなくゴツゴツした木にいたなぁ〜?どんぐりの木だったっけ?」というような感じで森や林に入ると探さなくてもよい木まで見なくてはなりません。
左の写真は、クスノキの樹皮ですが、こんな感じで似ている樹木はハリギリなど他にもたくさんあります。
効率よく探すには、ある程度木の種類は覚えておいたほうがよいでしょう。
住んでいる地域などによって知っておくと良い木は多少違いはありますが、ここでは東京近郊での樹木を例に載せてみました。

雑木林の王様、樹皮は厚くゴツゴツしており縦長に割れているような感じに見えます。葉は細長く裏側には毛がない。アベマキによく似ていますが東京近辺はほとんどがクヌギです。大抵の図書にはカミキリなどの虫が産卵のため傷つけたりするため樹液がしみでると書かれていますがクヌギの場合は、人為的または自然災害などの傷やボクトウガの幼虫によるのではないかと見解が変わりつつあります。
近年、人の手が入らなくなりほとんどのクヌギは、電柱のようにすらっと伸びており樹液はあまり期待出来なくなっています。なかには山おやじと言われるような人の手が入ったのや捲れや抉れたりしているのがあります。こういったクヌギは枯れない限り毎年のように樹液をだすので一本見つけたら大量に甲虫類を確保できます。毎年安定採集できるのが魅力です。
何らかの理由で捲れた樹皮(こういうのを探しましょう) 山梨の台場クヌギ(長年人の手が入り変形)

クヌギと並び雑木林の代表的な樹木。樹皮はクヌギよりも薄く縦長の割れ目がおおざっぱでやや薄い。萌芽再生能力が高いためかクヌギよりも数が多く、たいていの森や林に生育しています。樹皮が薄いせいか樹液が噴き出しやすく、5月には、甲虫たちの最初の樹液酒場となっている事が多いです。クヌギの捲れと違いコナラは、同じ木が毎年同じように樹液をだすという事があまりなく、毎年どの木が樹液をだすのか見当がつきにくい樹木でもあります。ある意味では採集者泣かせで樹液はカミキリ・スズメバチのような虫任せによる樹木といえます。樹皮は、剥がされるとクヌギよりも弱くすぐ立ち枯れ状態になります。

ヤナギは、河川敷、高山採集のメインになると思いますがコゴメ、カワ、タチ、オノエと種類も多くなかなか判別は難しいですがクワガタ・カブトムシはよく集まります。吹き出るような樹液ではなくじわぁ〜としたような感じで、コウモリガの木屑の塊痕や自然災害、自ら囓った傷などからもしみ出ます。コクワ・ヒラタなどは穿孔痕に隠れている事が多いです。残念ながら私はシダレヤナギでは確認がとれてません。
高山においても、河川や林道沿いのヤナギで見かけます。長く細い葉が目印になりますが奥多摩では厳しいです。
写真は、山梨の林道沿いのヤナギ。昼の採集の王様といえるでしょう。

四天王の最後、シラカシの木
樫の木というとアカガシ、シラカシ、アラカシのように何種類かありますが私が見回っている所では、ほとんどがシラカシです。
(どうやらシラカシは関東で多く、西でアラカシが多いようです。)特に神社に多く、樹齢がいっているものは樹皮もゴツゴツしており、根もむきでています。樹液は吹き出るというよりは、しみ出るというタイプの分類に入ります。屋敷林としてもよく使用されているので昔ながらの家そばでも見かけます。ひっそりとした神社裏の木をそっと覗くとカブクワが群がっているなんて光景もよくあります。

別名カワラフジノキ、昔は屋敷林として使用されたり城の守りにも使用されたりしていたそうですが、東京近郊ではあまり見かけなくなりました。樹皮のトゲや大きい豆果が特徴。樹液はよく出て、コナラのように吹き出ることもありますがどちらかというとヤナギのようなでかたをします。樹液がでているとカブトムシが沢山集まってきます。この風景を見たらカブトムシが別名サイカチムシと呼ばれる理由はわかるでしょう。


イタヤカエデは、ヤナギの木と同じようにいろいろ種類があります。
なかなか区別がつきませんが、山地でモミジのような葉を見かけたらとりあえずルッキングしてみましょう。枝先の細い部分にしがみつき樹皮を囓っているミヤマクワガタを見つけられるかもしれません。
イタヤカエデの吹き出ている樹液を一度なめてもらうとわかるのですがとにかく甘いです。実際、イタヤカエデの樹液は売られてもいます。半透明のような白い液に甲虫が集まる理由がなめてもらえばわかります。
山地ではヤナギがなければイタヤを探せ!がキーワードかもしれないですね。
  
河川敷や沢沿いでよく見かけます。クヌギなどがそばに無ければ要チェック クルミの樹皮の穴から顎をだすヒラタクワガタ
山沿いの林道などでは、ミヤマがつきます。
 
雑木林や丘陵などでポピュラー。
カミキリや動物などに狙われやすいのか樹皮が傷ついてるのが多くみられます。この木もあまりあてにならないので、クヌギ、コナラなどが見あたらないときに探すとよいでしょう。
東京では、公園や街路樹で見かけます。たぶん大抵は植栽だと思われますのでなかなか昆虫採集というイメージは思い浮かばないかも知れません。ただ武蔵野周辺や多摩川にはアキニレが数多く残ってますのでこの近辺にお住いのかたにはあたりまえの事なのかも知れません。樹皮の赤いポッチのようなのが目印になります。
ユリノキ
街路樹で見かけるこの木も樹液を出しクワガタが集まるそうですが、外来種のため丘陵・雑木林では
滅多にお目にかかれません。

奥多摩方面でのヤナギ採集は厳しいですが、林道、登山道でのメインの採集は、ハンノキ属の若木がメインなります。樹液が出るというよりも囓って出して吸うという感じになりますので細い部分をルッキングするといいでしょう。樹皮に傷跡を見つけたら可能性は大です。とはいうものの初めての時はどれがハンノキ?かわかりにくいと思います。実を目印に覚えるといいでしょう。細い枝に噛み傷が見つかったら周囲を探しましょう。

東京近郊ではあまり見かけない。公園の植栽などでたまに
見かけることがあります。おもに暖かい地方の海岸沿いなどに
多いといわれてます。
東京近辺は、古木が多く、あまり樹液じたい期待できません。
写真は、伊豆で見かけたタブノキ
樹液がでるとクワガタが集まります。
   

東京近郊では、公園に植えられているのを見かけるが雑木林ではあまり見かけません。ほとんどが植栽かと思われますが時たま丘陵、林にポツンとあることがあります。

東京の雑木林ではあまり見かけません。多摩地区でまとまって見られる所は、私が知る限りでは2ヶ所だけです。愛知はアベマキが多く見られます。樹皮はクヌギよりやや荒く弾力性があり指で削るとコルクのような感じです。クヌギと同じ感覚で探したほうがいいでしょう。

シミチョロの樹液がでている所にコクワがついていました。

意外かも知れませんが伐採後の発酵した竹の樹液にも集まります。甘酸っぱいような香が数日間漂います。

クリスマスツリーにクワガタ?なんて思いますが
関東ではあまりなじみのないネブトクワガタがつきます。
白いロウのような樹液ではなく、木部内部から出てくるわりと
サラサラした樹液に集まります。
強烈な発酵臭のような臭いはまったくなく、近くで嗅いでみて
何となく臭うかな?という程度です。
   

イヌシデ・・・白い筋が目印 アカシデ・・・紅葉がきれい

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