SIPp 入門

加藤泰文

Asterisk ユーザ会

自己紹介

名前

加藤泰文 (かとうやすふみ)
http://www.ne.jp/asahi/ka/to/， http://iddy.jp/profile/ten-forward/

仕事

ホスティング会社の開発

コミュニティ活動

今日の目標

SIPp の存在を知ってもらう．
簡単な使い方を通して，より高度な使い方を考えてくださる方の掘り起こし．
今後の勉強会で「応用編」の発表をやっていただこう，という流れ．:-)
みんな幸せに... :-)

Agenda

SIPp とは
インストール
かんたんな使い方
シナリオ
Asterisk とのテスト
PCAP play
認証
外部ファイルからの値挿入
性能評価
まとめ

SIPp とは

http://sipp.sourceforge.net/
HP のエンジニアによって書かれた SIP のパフォーマンステストツール．
XML でのシナリオ記述．
pcap ライブラリを使って RTP のストリーミングデータ再生．
GPL
HP-UX, Tru64, Linux, Solaris, FreeBSD, Windows(cygwin?) で動作．
Debian, Ubuntu では "sip-tester" パッケージ．

インストール (1)

パッケージ (Ubuntu, Debian, Gentoo,...)

$ sudo apt-get install sip-tester
$ sipp -v
SIPp v2.0.1-TLS-PCAP, version 20070516, built May  7 2008, 10:10:34.

Ubuntu 9.04 での実行例．

Windows Installer

インストール (2)

ソースから
- 必要なモノ
  - C++ コンパイラ
  - curses/ncurses ライブラリ (ヘッダ)
  - libpcap (PCAP play サポートの場合)
  - OpenSSL 0.9.8 以上 (ヘッダ) (TLS/認証サポートの場合)
- コンパイルパターンの選択
```
$ make
$ make ossl (TLS and authentication)
$ make pcapplay (PCAP play)
$ make pcapplay_ossl (PCAP play, TLS, authenticaton)
        
```

デモ (1)

簡単な使い方

     $ sipp -sn uas (UAS シナリオ)
     $ sipp -sn uac 127.0.0.1 (UAC シナリオ)

実行例

使い方 (オプション)

$ sipp [options] remote_host[:remote_port]

-sn: 組み込みシナリオの指定 (-sn uac)
-sf: シナリオファイルの指定 (-sf uac.xml)
-s: リクエストURIのユーザ名部分
(-s 200 -> ex. INVITE sip:200@192.168.0.1)
-d: 通話が成立したあとのpauseの長さ(ms) (-d 10000 -> 10 秒)
-r: 1秒当たりの通話数(calls per sec.) (-r 10)
-m: 指定した数の通話が終了した時点でテストを終わる (-m 1)
-l: 同時発呼数
-trace_stat: 統計ログの保存
-trace_rtt: 応答時間ログの保存

(例)
$ sipp -sn uac -d 10000 -s 200 -r 10 -m 10000 192.168.0.1
(uac シナリオを使って 192.168.0.1 の 200 番に対して
10 call/sec の割合で 10000 通話テストする)

シナリオ (1)

自分と相手の SIP のやりとりを xml で表現
- <send></send> で送出するコマンドを記述．
- <recv></recv> で受け取るレスポンスのコードを指定．
これを時系列に並べたものがシナリオファイル．
組み込みのシナリオがいくつかある．
- 基本は二つ
  - UAC (User Agent Client)
  - UAS (User Agent Server)

シナリオ (2)

正規表現
後方参照，マッチする/しないで変数をセットしたり出来る．
分岐
正規表現によってセットされた変数を元にしたり分岐する．
メディア再生
音声やビデオパケットを投げる．
認証
ログ
sipp のコマンド実行 (テストの停止とか...)，外部コマンド実行
テキストファイルからの文字列代入．

シナリオ例

UAC

UAS

        SIPp UAC            Remote
        |(1) INVITE         |
        |------------------>|
        |(2) 100 (optional) |
        |<------------------|
        |(3) 180 (optional) |
        |<------------------|
        |(4) 200            |
        |<------------------|
        |(5) ACK            |
        |------------------>|
        |                   |
        |(6) PAUSE          |
        |                   |
        |(7) BYE            |
        |------------------>|
        |(8) 200            |
        |<------------------|

        Remote              SIPp UAS
        |(1) INVITE         |
        |------------------>|
        |(2) 180            |
        |<------------------|
        |(3) 200            |
        |<------------------|
        |(4) ACK            |
        |------------------>|
        |                   |
        |(5) PAUSE          |
        |                   |
        |(6) BYE            |
        |------------------>|
        |(7) 200            |
        |<------------------|

シナリオファイル

下記の例の [] で括られた部分がコマンドラインオプション等で置き換えられて送出される．

<scenario name="Basic Sipstone UAC">
<send retrans="500">
<![CDATA[

INVITE sip:[service]@[remote_ip]:[remote_port] SIP/2.0
Via: SIP/2.0/[transport] [local_ip]:[local_port];branch=[branch]
From: sipp <sip:sipp@[local_ip]:[local_port]>;tag=[pid]SIPpTag00[call_number]
To: sut <sip:[service]@[remote_ip]:[remote_port]>
Call-ID: [call_id]
CSeq: 1 INVITE
Contact: sip:sipp@[local_ip]:[local_port]
Max-Forwards: 70
Subject: Performance Test
Content-Type: application/sdp
Content-Length: [len]
:
: (snip)

Asterisk とのテスト (1)

UAC シナリオで認証なしのもっとも簡単なテスト．

sip.conf

UAC シナリオのユーザ名 "sipp" を登録．

      [sipp]
      type=friend
      host=dynamic
      user=sipp
      canreinvite=no

extensions.conf

着信があったら，応答後，適当に音声や音楽を流す extension を書く．

      exten => 400,1,Answer()
      exten => 400,n,SetMusicOnHold(default)
      exten => 400,n,WaitMusicOnHold(10)
      exten => 400,n,Hangup()

デモ (2)

前ページの簡単なデモ．

$ sipp -sn uac -d 10000 -s 400 -m 1 -i 192.168.0.2 192.168.0.1

10秒間ポーズ
400 番に通話
1 通話で終了

pcap play

pcap ライブラリを使って，あらかじめ記録してあった RTP ストリームのデータを送出する．
```
<nop>
  <action>
    <exec play_pcap_audio="pcap/g711a.pcap.pcap"/>
  </action>
</nop>    
```
root 権限必要．
記録は，tcpdump や wireshark でダンプしたデータを保存して利用 (sipp にもサンプルのデータが付属)．

デモ(3)

組み込みの uac_pcap シナリオを使って，asterisk にレジストしたソフトフォン宛に発信．
```
# sipp -sn uac_pcap -d 10000 -s 201 -m 1 -i 192.168.0.2 192.168.0.1 
```
ちゃんと音声が聞こえる事を確認．

デモ(4)

Echo するだけの extension に対して発信．

# sipp -sn uac_pcap -d 10000 -s 300 -m 1 -i 192.168.0.2 192.168.0.1

extensions.conf

exten => 300,1,Answer()
exten => 300,n,Echo()
exten => 300,n,Hangup()

認証付きテスト

組み込みシナリオでは無理なので，シナリオファイルを作成する必要がある．UAC を雛形にする．"-sd" オプションで組み込みシナリオを出力可能．
```
$ sipp -sd uac > uac.xml
```
シナリオファイル中の送出 SIP コマンドの雛形に
```
[authentication username=sipp password=sipp]
```
のような行を追加する．sipp が認証用のヘッダを追加してくれる．

デモ (5)

sip.conf に "secret=sipp" のようにパスワードを設定する．

作成したシナリオファイルを読み込むように指定．

$ sipp -sf uac.xml -d 10000 -s 400 -m 1 -i 192.168.0.1 192.168.0.8

csv ファイルからの値挿入

-inf オプションで指定したファイルから，シナリオに値を挿入可能．
ファイルの一行目は，ファイルからデータをどのように読むかを記述．"SEQUENTIAL", "RANDOM", "USER"
```
SEQUENTIAL
200;300
201;301
```
1 列目の値がシナリオファイル中の [field0] に，2 列目の値が [field1] に... と置き換わる．
デフォルトのデミリタは ";" なのに注意．

デモ (6)

csv で発信元，通話先，認証データを挿入．

csv ファイル

SEQUENTIAL
201;[authentication username=201 password=pass];401
202;[authentication username=202 password=pass];402
203;[authentication username=203 password=pass];403

シナリオ

<scenario name="Basic Sipstone UAC">
  <send retrans="500">
    <![CDATA[
      INVITE sip:[field2]@[remote_ip]:[remote_port] SIP/2.0
      Via: SIP/2.0/[transport] [local_ip]:[local_port];branch=[branch]
      From: [field0] <sip:[field0]@[local_ip]:[local_port]>;tag=[pid]SIPpTag00[call_number]
      To: [field2] <sip:[field2]@[remote_ip]:[remote_port]>

コマンド

sipp -sf uac_auth_csv.xml -inf demo.csv -m 3 -d 10000 -i 192.168.0.2 192.168.0.1

性能評価 (1)

性能評価方法の例

SIPp での負荷のかけかた
- 単純に単一の番号に対して同時に多数の発呼する．Asterisk 側は MusicOnHold や Echo を実行する extension にしておく．負荷は -l とか -r 等で調整．
- csv で準備した多数の番号に対して順に発呼．例えば，番号によって実行する extension を変えておいて，色々な処理をさせて，実際の利用シーンの状況に近づけるということも考えられる．
SIPp で負荷をかけながら，人間が通話を行って，評価する．

性能評価 (2)

性能評価項目

数値測定
- sipp の統計情報 (応答時間等)
- サーバ負荷 (vmstat, sar, iostat 等)
- ネットワーク負荷
音声評価
- SIPp で負荷をかけている状態で，人間同士で評価する (音質，途切れ，遅延，転送機能等)．
- Asterisk の Milliwatt コマンドで途切れの検出 (一人で可能)．
- 留守録機能や通話録音を提供するのなら，録音されたファイルを再生して確認．

性能評価 (3)

(ご参考) 性能評価方法の工夫

「Asterisk運用・開発ガイド」(エムトゥエックス株式会社監修，株式会社アイウィーヴ，マッキーソフト株式会社共著，オーム社)に載っていた性能評価方法．

まとめ

SIPp 組み込みのシナリオで簡単にテストすることが可能．クライアント側，サーバ側のシナリオがある．
音声や映像のストリームを流すことも可能．
カスタマイズしたシナリオを作成し，正規表現，分岐，外部ファイルからの値の挿入など豊富な機能で，複雑なシナリオも実現．
電話なので，結局最後は人間の耳で評価．その時に負荷をかける方法として SIPp は有効．とぎれ，遅延等の評価．

参考文献

ご清聴ありがとうございました．

SIPp入門

2009-09-12 / Asterisk 勉強会

SIPp 入門

加藤泰文

Asterisk ユーザ会

自己紹介

今日の目標

Agenda

SIPp とは

インストール (1)

インストール (2)

デモ (1)

簡単な使い方

使い方 (オプション)

シナリオ (1)

シナリオ (2)

シナリオ例

シナリオファイル

Asterisk とのテスト (1)

sip.conf

extensions.conf

デモ (2)

pcap play

デモ(3)

デモ(4)

extensions.conf

認証付きテスト

デモ (5)

csv ファイルからの値挿入

デモ (6)

csv ファイル

シナリオ

コマンド

性能評価 (1)

性能評価 (2)

性能評価 (3)

(ご参考) 性能評価方法の工夫

「Asterisk運用・開発ガイド」(エムトゥエックス株式会社監修，株式会社アイウィーヴ，マッキーソフト株式会社共著，オーム社)に載っていた性能評価方法．

まとめ

参考文献