レゴラスは快活なエルフです。
彼の快活さは、裂け谷やロスロリアンのエルフしか知らないギムリを少々当惑させました。
戦っている時でさえ、彼は溌剌とした強さを喪うことは決してなく、その姿はまさしく緑葉の名にふさわしいように思えました。
「どうしてあんたはそんなに、いつも朗らかかつ能天気でいられるんだね、レゴラス」
ある日ギムリは、思い切ってそう尋ねてみることにしました。
「不思議がるほどのものかい? 私はそんな、気張って朗らかにしてるつもりはないんだけどなぁ」
問われたレゴラスはかえって不思議そうでした。
本人もわからないのであれば、あれはきっと生まれつきの変わり者なのでしょう。
ギムリはそう考えることにして、もう質問するのをやめにしました。その様子を、前を歩くアラゴルンは背中で聞いていました。
「彼はね、ギムリ」
レゴラスが夜の見回りに立った後、唐突にアラゴルンは話し出しました。
何のことかと思えば、それは昼間、彼が興味を抱いたレゴラスの快活さについての話なのでした。
ギムリが斧を磨く手を止めて見上げると、アラゴルンは少し陰鬱を顔によぎらせて、それから苦く笑いました。
「彼は私たちのことがとても好きなのだ。可愛いと思っているんだよ。
その可愛い私たちと一緒にいられるのだから、朗らかにしていて当然なんだ」
「私は子供じゃないよ、アラゴルン。小さい人たちと一緒にしちゃ困る」
「子供だよ。一瞬のうちに老いる子供だ」
アラゴルンは無意識のうちにペンダントをまさぐりながら、視線を落として言いました。
「私たちは皆、レゴラスから見れば、彼の生涯のほんの一時だけを独占した一瞬の光だ。
夏の短い夜に見た、ガンダルフの花火のようにね」
「否定はしないけど」
突然のやわらかな声は笑いをはらんで、背後の木の陰から声の主と共に現れました。
「レゴラス」
「そう、否定はしないよ、アラゴルン。けどね、その一瞬は私の永遠の生の中で、きっともっとも大切な光になるのだと、私は思っているよ」
闇の森の屈託ない王子は、隣り合って座っていた二人の間に割り込むように押し入り、膝を抱えて座りました。
そうして機嫌よくふたりに挟まれた状態で、彼はこう言ったのです。
「不機嫌にしてる時間なんて、あるはずがないじゃないか。
君たちのようにすぐ死んでしまう生物とのつきあいは、一瞬一瞬がまさしく宝のようだよ」
レゴラスは悲しいほどに満足げに見えました。
「……案外、時というものの大切さを知っているのは、永遠の時を持つエルフたちなのかもしれないな」
アラゴルンはぽつりとつぶやき、ギムリは黙って髭に口を埋めました。
「さぁ、さぁ、君たちは夜やすまないと動けない人たちなのだから、もうお休みなさい。
今日は私が一晩見ていてあげるから」
快活なエルフは笑ってふたりの肩を叩きました。本当に、子供のようにおとなしく、彼らは言うことを聞いてその場に横たわり、毛布に包まって丸くなりました。
両隣の彼らをかわるがわる眺めてそっと微笑んだ、不死なる王子の歌声はおだやかに、死すべき定めの子らの胸のうちへと落ちていったのでした。