大嫌いなあなたへのキス



「あ」


不思議にはかない声をあげた後に、そんな自分が可笑しかったか、ふふ、と小さく笑った彼、
その彼の体の上、銀次は目元をうっすらと上気させたその顔を、魅入られたように眺めていた。









押し倒す時はいつも命懸けだ。いつも寝ることばかり考えているわけではないが、何せ花の18歳。切れ長の瞳も蠱惑的に美しい想い人に、斜めに視線を向けられたりすると、それだけで電圧――いや血圧があがる。
そこで一気にテンパって「すいません一発やらせてください!」とばかりに飛び掛かった瞬間。気まぐれな想い人は気まぐれに身をかわし、あるいはこうるさげにメスで前髪を綺麗に切り払い、あるいは細い綺麗なあの脚で容赦なく尻を蹴飛ばす。
「そう簡単に手に入るとは思わないで下さい」
ものやわらかく笑った顔は、細めた瞳だけでいつも雄弁にそう語る。


逆にまったく逆らわれない時もある。というかむしろ、向こうから上に乗って来てまで誘ってくれる時も、稀にはある。ただそこまでしておいて、抱き着いたらメス出されたりするから、ほとほとこの人は油断ならない。
そういう時は泣いて泣いてとにかく拝み倒すに限る。
「赤屍さん、それはいくらなんでもひどいです! 俺眠れないじゃないですか!」
そうすれば、面倒を好まない想い人は、ごねる銀次にあきれつつもキスぐらいはしてくれる。後は完全に運試し。殺気を放って追い払うか、諦めて身体の下に敷かれるか、それは気まぐれな想い人の胸ひとつ。


わかっている。よぉくわかっている。所詮自分は遊ばれているのだ。
握りこぶしを作って「絶対強くなってやる」と窓の外の月に誓う銀次の隣で、基本的に何事にも動じない想い人は、体にまといつかせたシーツの感触を楽しむように寝返りをうつ。真っ白い背中やら脱げかけたシャツやらが視界に入って、銀次が言い出すことは大抵ひとつだ。
「あのぅ、赤屍さん、物は相談なんですが……」
そう深刻な表情で言い出す銀次に、おおよそ想い人は優しく笑ってきっぱり言う。
「今日はもういやです」
そうなるとすごすごシーツに潜り込むしかない。おやすみのメスならぬおやすみのキスが、気まぐれな想い人から降ってくることを期待して。そのあたり銀次はかなりめげない性質らしい。


ナチュラルに非道な想い人とは、そういう意味で凸凹がうまく噛み合っている。









……さて今、やはりもののはずみか突発的事故か、はたまたここで逢ったが百年目か、とにかく必死の覚悟で体当たりをくらわせベッドにもつれこんだ銀次は、身体の下の明らかに上機嫌の含み笑いを見て、「今日はいける! 2回ぐらいは!」と心中やけに具体的に快哉を叫んだ。


ちなみに慢性金銭欠乏症、しかもパートナーつきの銀次に、自宅やホテルに想い人をご招待する甲斐性はない。大抵、ドクタージャッカル御用達のホテルへ、付き人よろしくくっついて行き、稀には飯まで奢ってもらった、挙句の果ての体当たりとなる。ある意味、恩を仇で返していると言えないこともない。
だが銀次に、「赤屍さんより強くなってやる」という決意はあっても、「いつかきっと俺の金で赤屍さんをホテルのスウィートに招待するんだ!」という決意は微塵もない。
「ヒモだな」とは、パートナーの簡潔にして端的すぎる感想であった。


ぞっとするほど冷たい頬に手を当てると、無邪気にすら見える微笑を向けてくる、身体の下の長身の想い人。この笑顔こそ曲者なんだ、と思いつつも、魅入られずにはいられない。
雰囲気に飲まれるまい飲まれるまいと、ことさらに真面目な顔と真面目な声をつくる。ひどく面白そうに、押し倒された想い人がそんな自分を観察していることには、気づかない振りをした。


「あっ……赤屍さんっ」
「はい?」
「……えーと、ですね」


すれっからしの大人たちなら、わざわざ呼びかけなどはすまい。黙ってシャツのボタンに手をかければ良いのだ。呼びかけて極上の微笑で「はい?」などと聞き返されては、どういう反応を返して良いのかわからない。
言葉に困って、つい、言わずもがなの問いをこぼしてしまう。
「……あのー、えーと、ですね。とりあえずキスしてもいいですか?」
「……」
さて、どうしようか? といったところか。滑稽に生真面目な問いかけに、やはり生真面目に切れ長の赤瞳が窓の外を眺めやる。
「そうですねぇ……」
とりあえず、のしかかる圧迫感がややお気に召さなかったようである。ぼんやりつぶやきつつ、その白い人差し指を、ネクタイの結び目にひっかけてくい、とゆるめた。
きっちり止めていたシャツの第一ボタンを外すと同時に、つつ、と人差し指は己の喉を指でたどる。はっ! と気づいた銀次が、その魅惑の光景から目を引き剥がして白い美貌を確認した。
やはり笑っている。笑っている、が――


クスクス、と耳をくすぐる笑声。
顔を窓の外に向けたまま、視線が流されて銀次を見ている。
殺しの現場では身も凍りつく――なのに、こういうシチュエーションで見ると沸騰寸前まで滾らせられる、一撃必殺の切れ長のこの――


――この、流し目。


誘ってる!
絶対誘ってるよこの人!
と内心で絶叫しつつ、どこか呆けたような声を銀次は想い人にかけた。


「……すいません赤屍さん」
「どうしました、銀次くん?」
「返事もらってないけどキスします」
「……は?」
「絶対します、何がなんでもします! 怒られてもします! ごめんなさい赤屍さん!」


もはや自分でも何を言っているのかわからないままに、細い肩を右手でシーツに押さえ込み、左手をネクタイにかけると、まさしく一瞬の早業でしゅるん! と解いてしまう。
おや? と興味深げに赫い視線はネクタイを追う。
はじめて押し倒された時には、ネクタイの解き方のわからない銀次に、あやうく窒息させられるところであったはずだが、どうやら日々精進しているらしい。
言動は混乱してやや破綻しかけているが、ネクタイを枕元に放り投げた手で顎をつかむ仕草など、なかなか堂に入ったものだ。


「手慣れてきましたね」
「……おかげさまで」


教師に成長を見守られるできの悪い生徒の気分を味わった銀次は、半ば馬乗りになったまま、紅く薄い唇に、己の唇を押し当てた。


考えてみれば、この人の、こうやって自分をからかうところも、玩具としか思っていないところも、くすくす笑ってばっかりで人の話なんざろくに聞いていないところも、
――人を殺すところも、人を殺すことを楽しんでいるところも、そんな己に疑問を抱かないところも。
思いつく限りの彼の特徴が大嫌いなのに。
なのにどうしていつもこうして夢中になって彼を貪ろうとするのか。考えれば考えるほど、自己嫌悪と自己崩壊の危機に立たされそうで、銀次はそれを深く考えることは決してなかった。


やんわりと自分を受け入れてなだめる舌に、陶然と瞳を開き――ぎょっ、と動きを止める。
超至近距離で視点の定まらぬ視界に、映る赫い色彩。
キスもそうそうに切り上げて、ほんのわずか、唇を離した状態で囁く。
「あの、俺いつも言ってますよね。
 ……できれば眼ぐらい閉じてほしいんですけど」
「うーん……」
たわむれるように目の前の唇を舌でつつき、銀次の顔が溶け崩れかけた瞬間に、
「いやです」
にっこり笑ってすげなく言いきる。
「……せ……せめて理由を……」
つつつつつ、と頬から喉にかけてからかうようにたどる唇に硬直しながら、それでも「ごまかされるもんか!」と言葉を重ねる銀次に、ヒルのように喉にぴたりと吸いついた薄く赤い唇が、笑いとともに答えを投げてよこす。


「目を閉じたら、君の顔が見えなくなってしまうでしょう?」


「……赤屍さん、」
「はい?」
「そーゆー嘘でいつもごまかせると思ったら大間違いです」
「心外ですね……嘘をついたつもりはありませんが?」
ベッドに留めつけるように肩に置かれた銀次の右手に、想い人はたわむれに、細く白い指を絡める。
この指からメスが出るのだ。撫でただけで人の体を細切れにするこの指が。骨の髄まで他人の血が染みついていたっておかしくない、この指が……


……この指がなぜこうも白くて綺麗なんだろう。


「嘘……じゃ、なくても、」
「はい?」
指が何かを確かめるように、ゆるゆると腕を這い回りながら肩に昇ってくる。それだけで脊椎から腰椎にしびれるような感覚が走り、脱力した銀次はどっ、と想い人の身体の上に見事倒れ込んだ。
目の前にあるなだらかな白い喉仏。身体の上の熱さを楽しむように、くすくすと笑う声。


「『嘘じゃなくても』……続きは、なんですか?」


指は正確な動きで脇腹の肋骨の一本一本を辿っていく。冷たい。なのにあっけないほど簡単に、銀次の体温は上がる。
「……嘘じゃなくても……本当、でもない、でしょうっ」
最後の「でしょうっ」とともに伸び上がるように顔を上げ、お返しのように首筋にきつく吸いつく。
ぴた、と指の動きが止まって、綺麗に尖った顎が反った。喉が鳴って片手が銀次の頭を押さえる。


頭を抱かれた銀次は不意に「そのまま僕の頭を撫でていてください」と頼んでみたい衝動にかられた。
この綺麗な手と綺麗な身体が、そうして自分を安らがせてくれたなら――まるで本当の、年上の恋人のように、優しく髪を梳いてくれたなら――
「……疑り深い人ですね?」
やわらかくて、冷たくて、甘い。そんな声。
銀次は一瞬で甘美な誘惑を断ち切った。ありえないことを想像して、悲しい気持ちにはなりたくない。ましてや空想にひたって気を抜いた結果、それを感づいたこの人に、細切れにされるのはごめんだった。
少しでも気を抜いたら、「隙を作りすぎる」と不機嫌になるこの残酷な人に。


そう、そんな優しいことを言う人ではない。
顔を見ていたかったのがたとえ本当だったとしても、基本的には、銀次が目をつぶれと言ったからとりあえず「いやです」と言ったに決まっている。
この人はひどい人なのだ。人間として欠けたところが大きすぎて、「冷酷」といった性格すら存在しない。息をするように自然に非道な人なのだ。
人間という枠から脱却してしまった、綺麗な綺麗なバケモノ。


……もどかしげにシャツのボタンを外していく銀次の背を、白い指はたわむれに滑る。あおるような、なだめるようなその動きに頭の中をかき乱されて、何も考えることができない。さきほどまでのキスの話など、とっくに脳裏から消え去っている。
ただ目の前の綺麗なモノに触れていたい。見ていたい。
不意に背の指がぴたり、と一点で止まる。
「……ああ」
満足げな声が、反った顎の上から漏れる。
「赤屍……さん?」
徐々に覗く白い肌に押し当てた唇をそのままに、銀次がぼんやりと問うた。
喜びをこらえかねた、といった、わずかに浮いた声音が、降ってくる。


「……筋肉が、綺麗についてきたな……と思いましてね?」


飛び退くように跳ね起き、銀次は身体の下の異形を凝視した。









「……結局、」
絞り出すような声。自分でも笑えるほど震えている声だった。
「結局、それしか考えてないの……?」
銀次の腕の中で、熱に酔ったように身を反らせながら。遠く頼りない視線を泳がせながら。
いつが殺し時だろうかと、そればかりを考えていたのだろうか。
すがるように背に回した腕で、どれほど強くなっているのか、したたかに計算していたというのか――この人は。
「いけませんか?」
脱がされかけたシャツをそのままに、おっとりとシーツの上に横たわる細い体。
あのやわらかな笑顔のまま、己の髪をかきあげる指先から、きら、きら、と金属の輝き。
「あんた……最悪だよ」
吐き捨てた言葉に、少し考え込むように首を傾げる白い美貌。
「問題はそこなんですよ、銀次くん」
「……は?」
赫い瞳が。
子供の奇行を観察する大人のような優しさで――笑っている。


「君は殺人鬼で冷酷で人を人とも思っていないわたしが、大嫌いなんでしょう?
 なのにどうしてそんなにわたしと寝たがるんですか?」


その言葉に少しでも自嘲や悲哀があったなら、銀次は楽になれるのに。穏やかなテノールは穏やかなまま、心から不思議そうに、無邪気なほど純粋に、銀次を見上げて質問する。
残酷な――人なのだ。
簡単に人を殺傷する己を、残酷と言うのだとは、勿論知っているだろう。だがこの人は、こうしてものやわらかく銀次を見上げて今の質問を吐くことが、残酷だとは――夢にも思わない。


「……たしかに俺、あんたのことだいっきらいだよ」
傷ついて欲しい。少しでも。少しでも良いから、そんなことを言われることをショックに感じて欲しい。そうしたら好きになれるのに。少しだけ好きになれるのに。
「失礼な言い草ですね? 君はわたしの体で十分に楽しんでいるでしょう」
少し不愉快にはなったらしく、息をついて細い体がシーツから起き上がる。体の上の遮蔽物――銀次をどかせようとして、
「だいっきらいだ」
バチン! と目から火花が散るほどの放電を受けた。
「ツ、」
さすがに虚を衝かれて手を引いた瞬間、放電の主がその手を掴んでシーツの上に押しつける。
「だいっきらい」
「……ですから」
両手を捕えて渾身の力で握り締め、シーツに押さえたまま、真っ白いシャツの合わせに噛みついて噛みしめる。彼の肌を噛むように。
そのまま、ぐん! と頭を起こした。


当然、はじけとんだボタンは彼と彼の想い人の身を打ち――……だがそんなもののためではなかろう胸の痛みに顔を歪め、銀次は獣のようにくわえていたシャツを、口から落とすとぽつり、つぶやく。


「……だいっきらいでも惚れちゃったんだから、仕方ないじゃないですか……」


言ってからすとん、と力が抜ける。
ああそうだ。
惚れているのだ。
これほどまでに許せない人なのに、これほどまでに嫌いな人なのに、何でか知らないが惚れてしまったのだ。


「……惚れちゃったんですか?」
「……みたいです」
「……それは……お気の毒に」
よほど意外だったのか。どこか気の抜けたような身体の下の声と表情。あ、可愛い、と反射的に思ってから、そんな自分に魂が抜けるほどビビる。まずい。この人を綺麗だと思うならまだしも可愛いとまで思うようになってしまっては、間違いなく、二度と戻れない底無し沼に落ちつつある証拠である。
「と……とにかくですね。俺、赤屍さんに惚れちゃったんです。だから、好きになりたいんです」
「……それで?」
「それでですね。誠にぶしつけなお願いだとは思うのですが」
本能的に、たたみかけるなら今だ! と確信した銀次は、押さえた手と手の指を絡ませ、じぃー、と赫い瞳を覗き込んで囁いた。


「どうか……俺好みの赤屍さんになっていただけないでしょうか?」


沈黙が降りる。
笑うことも忘れたような顔で、ぱち、と切れ長の瞳を瞬かせる想い人は、寝転んだせいで白い額が露出して――まことに遺憾ながらやはり可愛いと思ってしまう。自分より頭半分長身の人を「可愛い」呼ばわりするのも何だかなー、と思う銀次は、そもそもDr.ジャッカルを「可愛い」と表現することが何だかなー、であることには気づいていないらしい。


唇にはりついてしまった一筋の髪を、どけてあげたいが両手を押さえていて手が塞がっている。
なんとなく顔を近づけ、頬をついばんではりついた髪の毛をくわえ、取ってやると、少し逃げるように赫い瞳はそらされた。
「……まったく、君という人は……」
どことなく呑まれたような声なのには気づかず、銀次はお預けを食らった犬のような表情でこつん、と額と額をくっつける。
「だめですかー……? 俺、赤屍さんのこと、ものすごく好きになりたいんですよ」
「……だめです」
君の言う「俺好み」のわたしとは、要するに人間的で人道的なわたしなんでしょう――いやそうにそうつぶやく薄い唇に、くちづけを落とし。
「どうしてもだめ?」
「だめ、です」
そむけられる顎に唇を押し当て。
「どうしても?」
「どう、して、も――」


「絶対に……?」
逃げる首筋、先程つけた跡をもう一度吸い上げると、
白い喉はわずかに震え――


声を出すことを、ためらった。


「……絶対、っていうのは、ありえないよね……?」
喉に唇を触れたまま囁く。
「――生意気を言うようになりましたね?」
ややいまいましげな声。わずかに上ずっている。身体の下で、ほっそりした肢体が逃げようとうごめくのがわかって、銀次は不意に飢えを自覚した。
絶対的に速さを追求したこの身体は、意外にパワーに欠ける。メスを出す気がない時ならば、銀次はこの綺麗な人を力任せに抱いていられるのだ。


生意気を言えるようになったのは、あなたに実地で鍛えられているからだと思います――と心中つぶやき、銀次はみたび顔を上げて、視線を窓の外に向けている白皙の美貌を覗き込んだ。


「……わかりました」


窓の外に視線を向けたまま、ゆっくりと、いつもの笑みが口元に戻る。陶器のような生き人形の肌に、生気が満ちていくのがわかった。この静かに笑みの咲きほころぶさまを、銀次は見るのが好きだ。ふっと笑みを消した想い人が、再びいつもの微笑を浮かべようとする瞬間。それは文楽の人形が動き出す瞬間にも似て、銀次に甘やかな錯覚を与えてくれる。この生き人形に、豊かな感情が内在するかのような。
「赤屍さん……?」
名を呼ぶとつい、と赫の瞳が流されて銀次を斜めに見上げる。フ、と口元に笑みを刷き、世にも美しい殺人鬼は優しく囁いた。


「君がわたしを制するほど強くなったら。わたしも覚悟を決めて君の望むわたしになりましょう」


どこかうっとりと微笑んで見上げてくる視線が。退屈を紛わせる玩具を眺める瞳ではなく、叩きがいのある不敵な若者を眺める瞳に変わったことに、あくまで銀次は気づかない。
ただ背筋を駆け抜ける戦慄の冷たさと――それを上回る甘さにほとんど恐々として、
脱げかけたシャツから白い媚態を見せる鎖骨に目がくらみ、


「……赤屍さん」
「なんでしょう?」
「折り入って相談がですね、あるんですけれども……」


「……手加減してくださいね?
 君はわたしよりずっと若いんですから」
「はっ、……はい!! 俺がんばります!」
「いや、だから頑張らなくて良いと――」


がばっ! と擬音の聞こえそうな勢いのキス。襲いかかる、と言った方が良いような抱擁。
熱中する銀次は気づかない。許可しない方が良かったかな、と微妙に後悔した表情の赤屍が、しばらく、銀次の顔をぼんやり眺めたのちに――


ゆっくりと、瞳を閉じて身体を銀次に委ねたことを。