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01/7/19作成)

01/7/24掲載)


第2幕第4場

■台本

リヒャルト・ワーグナー

■時

13世紀はじめ

■所

チューリンゲンのヴァルトブルク

■おもな登場人物

ヘルマン
チューリンゲンの領主
エリザベート
ヘルマンの姪
タンホイザー
吟遊詩人、騎士。エリザベートと愛し合っていた。
ヴォルフラム
同じく吟遊詩人、騎士。タンホイザーの友人。エリザベートに淡い恋心を抱いている。
ヴェーヌス
ヴェーヌスベルクに住む快楽の女神

■あらすじ(参考:渡辺護著「ワーグナーの作品」)

■背景

ドイツ中世では、騎士たちもミンネゼンガー(恋愛歌人)として歌う習慣がありましたが、その一人、タンホイザーは、エリザベートとの清い愛があったにもかかわらず、官能の愛を求め、ヴェーヌスベルクにおもむいて、妖艶なヴェーヌスのとりこになっていました。

■第1幕

第1場
 ヴェーヌスベルクの洞窟の中で、タンホイザーとヴェーヌスが歓楽的な愛にふけっています。

第2場
 ヴェーヌスの美しさをたたえながらも、故郷への思いが押さえきれなくなったタンホイザーは、ヴェーヌスと分かれる決心をします。ヴェーヌスは何とかひき止めようとしますが、タンホイザーの意志は堅いものがありました。タンホイザーが去ると同時にヴェーヌスベルクは崩れ落ち、消え去ります。

第3場
 タンホイザーは、いつの間にかヴァルトブルクの城が見える谷に立っています。巡礼の行列が近づき、また遠のいてゆくのを見つめていたタンホイザーは、感動し、地に頭をたれて泣きます。

第4場
 ヘルマンと騎士たちが通りかかり、昔の仲間のタンホイザーをみとめて喜びます。タンホイザーは、官能の情欲におぼれた自分の罪の重さを思い、旧友たちの厚情を容易には受け入れることができませんが、エリザベートが待っていると聞かされると、勇気付けられ、仲間に加わります。

■第2幕

第1場
 ヴァルトブルク城内にある歌の殿堂の広間。エリザベートが登場し、タンホイザーがふたたび歌合戦に参加する喜びを歌います。

第2場
 ヴォルフラムに導かれたタンホイザーが、エリザベートと再会します。喜び合う二人ですが、ヴォルフラムは苦しいあきらめに至らなければなりません。

第3場
 タンホイザーとヴォルフラムが去ったあと、ヘルマンが現われ、エリザベートに優しく歌合戦が近づきつつあることを知らせ、幸運を祈ります。

第4場
 歌合戦を見に、騎士や貴婦人が入場、最後に歌手たちも入場してきます。歌合戦の始まりです。ヴォルフラムをはじめとする騎士たちは、清らかな愛をたたえる歌を歌いますが、タンホイザーはそれらにことごとく反論を唱え、恍惚となってヴェーヌスをたたえます。騎士たちは憤激してタンホイザーに切りかかりますが、エリザベートがそれを押しとどめ命乞いをします。タンホイザーも正気に返って呆然となります。ヘルマンは、このような大罪の許しを乞うには、ローマへ行って教皇の許しを得るほかはないと言い、教皇の許しが得られるまで帰ってくることはならぬと宣言します。タンホイザーは「ローマへ!」と叫んで、遠くを通る巡礼たちの群に加わるため、去って行きます。

■第3幕

第1場
 ヴァルトブルク山麓、エリザベートがマリア像の前でタンホイザーのために祈っています。ヴォルフラムが現われ、彼女に同情して歌います。そこに、罪をあがなった巡礼が通りかかります。エリザベートはその中にタンホイザーの姿を探しますが、無駄でした。彼女はマリア像に祈りを捧げ、タンホイザーの罪が許されるなら自分の命を捨てても良いと言います。

第2場
 一人残ったヴォルフラムは、空にやさしく輝く星がエリザベートの道を照らしてくれるようにと歌います(夕星の歌)。

第3場
 消沈した姿のタンホイザーが現われます。苦しいローマ行きの模様をヴォルフラムに語りますが、教皇から許しを得られなかったタンホイザーは、今やヴェーヌスのみを求めようとしています。ヴェーヌスが現われ、タンホイザーを迎えようとしますが、ヴォルフラムが「エリザベート!」と叫ぶと、タンホイザーは狂気よりさめ、ヴェーヌスは地中へ消え去ります。その時、エリザベートは死骸となって運ばれてきたのです。タンホイザーも、彼女の遺体の前でこときれます。そこへ、若い巡礼たちの一行が、緑の葉の生えた杖を持ってきます。教皇の予言では、それはタンホイザーが救われたしるし。彼は、エリザベートの犠牲によって、救済されたのでした。


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