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02/6/17作成)

02/6/22掲載)

「サムソンとデリラ」のCD


第3幕第3場

■原作

旧約聖書

■台本

フェルディナン・ルメール

■時

紀元前1150年ごろ

■所

パレスチナのガザ

■おもな登場人物

サムソン
ヘブライ人、怪力の持ち主。
デリラ
ペリシテ人の美女。
大司祭
ダゴンを祀る僧。
アビメレク
ガザの知事。

■あらすじ

■第1幕

 この当時、ヘブライ人はここパレスチナの先住民であったペリシテ人に支配され、奴隷として扱われていました。今日も人々はガザのダゴンの神殿の前の広場に集まって、神に見放されたわが身の不幸を嘆いています。ヘブライ人の英雄サムソンは、そんな群集に、神を信じて戦おうと呼びかけ、奮い立たせます。その騒ぎを聞きつけてそこに現われたのが、ガザの知事、アビメレク。ヘブライ人たちのことをさんざん侮辱しますが、かえって群集の反感を買い、自らの剣をサムソンに奪われて切り殺されてしまいます。意気あがったサムソンと群集は、イスラエル解放を叫んでその場を去ります。
 ダゴンの神殿から大司祭が現われ、アビメレクの死体を目にします。ペリシテ人たちは、ことの一部始終を怯えながら大司祭に報告します。そこに使者が、サムソンに率いられたヘブライ人がこちらに向かって攻めて来ることを報告し、この場を立ち去るようすすめます。大司祭は、しぶしぶ山の中へ逃げることにします。
 ヘブライの老人達が解放の喜びを歌う中、勝利を収めた戦士達もサムソンに導かれて登場します。そこへ、いきなり神殿の中からペリシテの乙女達が現われます。彼女達のあとから登場したのが、妖艶なデリラ。サムソンに向かって「ソレクの谷にある私の隠れ家にいらっしゃい」と誘惑し、乙女達とともに舞いを踊ります。ヘブライの老人は「惑わされてはいかん」とたしなめますが、もはやサムソンには、デリラの誘惑に打ち勝つ力はありません。

■第2幕

 デリラの隠れ家で、デリラはサムソンがやってくるのを待っています。彼女の目的はただ復讐。手練手管でサムソンを篭絡し、破滅させようと心に決めています。そこへ、サムソンの軍勢により追放された大司祭がやってきて、デリラにサムソンの弱点を探るよう頼みます。二人の会話の中で、デリラは今まで3度にわたってサムソンの秘密を探ろうと試みたのが、すべて失敗に終わっていたことが明らかになります。サムソンはデリラを愛したかに見せて、その愛を自制心を持ってはねのけていたのです。今度こそ憎しみを晴らそうと、デリラと大司祭は手を組むことを誓います。
 夕闇が迫り、サムソンが現われます。ここに来させてしまえばデリラのもの、サムソンはデリラの誘惑に負け、ついに「愛している」と口走ってしまいます。しかし、「秘密を教えて」というデリラの問いかけには、頑として応じようとはしません。そこで見せるのが「女の武器」の涙、ついほだされて秘密を漏らしたばっかりに、サムソンは髪を切られて無力になってしまいます。陰に潜んでいたペリシテの兵に取り押さえられて「謀られた」と気付いても、もはや後の祭りだったのです。

■第3幕

 捕えられたサムソンは、両眼をえぐりとられ、ガザの牢獄の中で足枷をはめられ、石臼を挽く刑に処せられています。サムソンには後悔の念がつのるばかり、遠くからは、「女の色香に迷って同胞を裏切った」という囚われたヘブライ人たちの叱責の声が聞こえてきます。
 場面は変わって、ダゴンの神殿の中。ペリシテ人たちが、勝利の宴を始めようとしています。ここで演奏されるのが「バッカナール」、エキゾティックな音楽に合わせて、官能的な踊りが繰り広げられます。
 踊りが終わると、サムソンが少年に手を引かれて神殿に連れてこられます。大司祭とペリシテ人は彼のことをあざ笑い、デリラは復讐の成就をこれ見よがしに言いふらします。彼らの神であるダゴンをたたえて、神殿内は大いに盛り上がります。
 サムソンは、少年に頼んで神殿中央の柱のところへ連れて行ってもらいます。ペリシテ人たちが乱舞する中、彼は「しばらくの間、昔の力をお返しください」と祈り、柱をゆすります。すると、彼の怪力は蘇り、柱は真っ二つに裂け、神殿は跡形もなく崩壊します。その場にいたペリシテ人は、サムソンもろとも神殿の下敷きとなり、息絶えてしまいました。


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