TopPage  Back


(08/9/27掲載)

[稿と版] | [曲目解説](PDF)


アンタールの初稿と第2稿の比較

 この度、指揮者の新田さん経由でアンタールの初稿(「第1稿」)を入手することが出来ましたので、第2稿との比較を試みてみました。なお、ここに掲げた相違箇所は特に目立つところだけを取り上げただけで、その他にも多くの細かい箇所が異なっています。
※この比較は第2稿のスコアを元になされています。スコアをお持ちでない人にとっては不親切かもしれませんが、ご容赦下さい。

■第1楽章
【小節数】(増減は初稿を基準にしていますが、小節数、練習番号などは第2稿によっています)
【オーケストレーション】(第2稿を元にした比較。同じ部分の再現は最初に出てきた場所だけ表記)
編成:
Fl Pic Ob C.A. Cl Fg Hr Tp Tb Tuba Hp Perc
第2稿 3 (1) 1 1 2 2 4 0 0 0 1 Tim,Piatti,GC
初稿 3 (1) 2 0 2 3 4 0 2 0 2 Tim,Piatti,GC

■第2楽章
【小節数】
【オーケストレーション】
編成:
Fl Pic Ob C.A. Cl Fg Hr Tp Tb Tuba Hp Perc
第2稿 2 1 2 0 2 2 4 2 3 1 0 Tim,GC,Tam-Tam
初稿 2 1 2 0 2 3 4 3 3 1 0 Tim,GC,Tam-Tam
なお、初稿のスコアには、「付録」として、第2楽章の異稿が収録されている。これは141小節の長さしかなく、17小節に現れるファンファーレ(?)のテーマも出てこない習作のようなもの。

■第3楽章
【小節数】
【オーケストレーション】
編成:
Fl Pic Ob C.A. Cl Fg Hr Tp Tb Tuba Hp Perc
第2稿 2 1 2 0 2 2 4 2 3 1 1 Tim,GC,Tri,Piatti,Tamb
初稿 2 1 2 0 2 3 4 3 3 1 2 Tim,GC,Tri,Piatti,Tamb

■第4楽章
【小節数】
【オーケストレーション】
編成:
Fl Pic Ob C.A. Cl Fg Hr Tp Tb Tuba Hp Perc
第2稿 3 0 1 1 2 2 4 0 0 0 1 Tim,Tam-Tam
初稿 3 0 0 1 2 3 4 0 0 0 2 Tim

初稿から第2稿への改訂の経過を見てみると、確かに無駄だと思われるフレーズを短くするなどの推敲の跡はみられます。しかし、初稿のオーケストレーションには、ある意味拙さの中にも、まさに20代のリムスキー・コルサコフの「若さ」が感じられるような箇所も見受けられます。ぜひ、実際にその演奏を「音」として聴いてみたいものですが、現在はこの稿による演奏は公式の録音としては存在していません。没後100年という記念すべき年だからこそ、このような珍しいものを録音して発表するには又とない機会だと思うのですが。

 TopPage  Back

Enquete