第1稿
オペラプログラムの幕開きはポンキエッリの「時の踊り」。フランス風のグランドオペラ「ジョコンダ」の中のバレエ。愛する男のために自ら命を絶つという歌姫の悲恋の物語とは殆ど無関係の、華麗な曲である。最初の歌はテノールとソプラノの二重唱で、ヴェルディの「椿姫」から「乾杯の歌」。開幕のツカミとして用いられている派手な曲だが、この明るさから物語の悲痛な最後を思い浮かべることは困難に近い。続いてはモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」から、ソプラノとバリトンの二重唱「手をとりあって」。稀代の女たらしである主人公(スペイン語ではドン・ファン)のナンパの歌。ひっかけられた村娘がその気になるのも怖い。自分に求婚してくる男の首をはねまくっているという、別の意味で怖い主人公が登場するプッチーニの「トゥーランドット」からは、無事に愛が成就するカラフ(テノール)が歌う「誰も寝てはならぬ」。ジョルダーノの「アンドレア・シェニエ」は、フランス革命でギロチンの露と消えた詩人の物語。革命政府の幹部ジェラール(バリトン)は、シェニエの恋人を手に入れたいがためにシェニエを告発。そこで歌われるのがこの「祖国の敵」。これだけ深刻な歌のあとには一息入れたいもの。マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」の「間奏曲」はそんな曲。自分を棄てた男と恋敵との不倫をその亭主に密告するというシリアスな場面のあとで非常に効果的に使われる。後半は、ヴェルディの「ドン・カルロ」から、男二人の「友情の二重唱」。政略結婚で、いとしい婚約者があろうことか父親の妃になってしまって嘆く主人公を、親友のロドリーゴが慰め二人の友情を確かめ合うというもの。続いてソプラノのソロで歌われるのは、ロッシーニの喜劇「セヴィリアの理髪師」からロジーナのアリア「今の歌声は」。素敵な男性の声に答えて娘心を技巧たっぷりに歌う。最後にウィーンのオペレッタ、レハールの「メリー・ウィドウ」から有名なメロディーの「ワルツ」を3人全員で歌い、今宵のオペラのひと時は幕となる。
今世紀最後の定期演奏会、18世紀のモーツァルトから20世紀のプッチーニまで、3世紀にわたるオペラの名曲でひと時を。
アミルカーレ・ポンキエッリ/「時の踊り」(オーケストラ)
フランス風のグランドオペラ「ジョコンダ」は、愛する男のために自ら命を絶つという歌姫の悲恋の物語。この曲はそういった内容とは殆ど無関係な華麗なバレエ音楽。導入に続いて、ポップスでも使われている有名なメロディーが現れる。
ジュゼッペ・ヴェルディ/「乾杯の歌」(テノールとソプラノの二重唱)
世間知らずの若者の純愛によって、つかの間の幸福を得るが、周囲の思惑からやむなく離別、再び会えたときにはすでに死の床にあったという高級娼婦の物語「椿姫」から、開幕のツカミとして用いられている派手な曲。この明るさから物語の悲痛な最後を思い浮かべることは困難に近い。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト/「手をとりあって」(ソプラノとバリトンの二重唱)
悪業の報いで最後は地獄に落ちることになる、稀代の女たらしが主人公のオペラ「ドン・ジョヴァンニ(スペイン語ではドン・ファン)」。今日も通りがかりの村娘をナンパしようとしている。ひっかけられた娘も最初は嫌がっているが、やがてその気になってしまうのが怖い。
ジャコモ・プッチーニ/「誰も寝てはならぬ」(テノール独唱)
自分に求婚してくる男にクイズを出して、正解できなければその首をはねるという、別の意味で怖い主人公が登場する「トゥーランドット」。彼女に一目惚れし、クイズにも正解、愛が成就することを確信した異国の王子カラフが歌う、美しいアリア。
ウンベルト・ジョルダーノ/「祖国の敵」(バリトン独唱)
フランス革命でギロチンの露と消えた詩人の物語「アンドレア・シェニエ」。革命政府の幹部ジェラールは、かつて思いを寄せていたシェニエの恋人を自分のものにしたいがために、シェニエを告発する。そこで歌われるのがこの深刻なアリア。
ピエトロ・マスカーニ/「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲(オーケストラ)
これだけ深刻な歌のあとには一息入れたいもの。この曲も、自分を棄てた男と恋敵との不倫をその亭主に密告するというシリアスな場面のあとで非常に効果的に使われる。ちなみに、タイトルの「田舎の騎士道」よろしく、薄情な男は決闘で殺されてしまうというのが結末。
ジュゼッペ・ヴェルディ/「友情の二重唱」(テノールとバリトンの二重唱)
ヴェルディ後期の傑作「ドン・カルロ」から、主人公と親友のロドリーゴが歌う男っぽい二重唱。政略結婚で、いとしい婚約者がこともあろうに自分の父親の妃になってしまったと嘆くドン・カルロを、ロドリーゴが慰め、二人の友情を確かめ合うというもの。
ジョアッキーノ・ロッシーニ/「今の歌声は」(ソプラノ独唱)
有名な喜劇「セヴィリアの理髪師」から、財産目当ての後見人になにかと束縛されている娘ロジーナのアリア。自分に思いを寄せてセレナーデを歌ってくれた素敵な男性の声に答えて、娘心を技巧たっぷりに歌う。このメロディーは、のちにサン・サーンスが「動物の謝肉祭」の中で借用。
フランツ・レハール/「メリー・ウィドウ」のワルツ(三重唱)
最後にパリを舞台にしたオペレッタから。タイトルは「あかるい未亡人」。嫁いだ大富豪が急死したために大金持ちになった未亡人ハンナをめぐる、恋のかけひきのお話。誰でも一度は聞いたことがあるメロディーがゲスト全員によって歌われ、今宵のオペラのひと時は幕となる。