TopPage


なぞの美女、Madame de la Tour の最新CD情報。

(00/2/19-00/3/4)

作曲家別索引

この画像は風夢さん(http://plaza.harmonix.ne.jp/~furm/)のご好意により使用させていただきました


3月4日

JANÁCEK,KODÁLY
Masses
J.O'Donnel/
Westminster Cathedral Choir
HYPERION/CDA67147
「今年はヤナーチェクを極めるのが目標。」なんて、お正月の頃思ってたんだけど、そこは元来年頭の目標なんて守った事のない私。すっかり忘れてた。この1枚で少しは近づけるかしら?
ヤナーチェクとコダーイの宗教合唱曲集です。コダーイはマスターの方がくわしそうなので、私はヤナーチェクを。
このミサ曲変ホ長調は1908年頃に書き始められたラテン語によるミサで、オケを使わず、オルガンと混声合唱、独唱のために書かれた物。でも、なぜかヤナーチェクはキリエとアニュス・デイ、クレドの3分の2だけ書いて作曲を中断。その20年後、あのグラゴルミサの第1草稿に使ってみたんだけど、2度の改訂でほ とんど取り除かれて結局お蔵入り。
どこの世界にも専門家という人はいるもので、ヤナーチェク専門家はウィングフィールドという人。彼が取り除かれた部分に目をつけて、補筆完成したのがこの版と言うわけ。何しろグラゴルミサの第1草稿も校訂している人。(こちらはマッケラスによって録音されてるのね。品番はCHANDOS CHAN9310)
さすがヤナーチェク専門家ね。でも私には正直どこが補筆なのか、全くわからないわ。
演奏はジェイムス・オドネル指揮のウェストミンスター大聖堂聖歌隊。去年パヌフニクのミサが出てたわね(TELDEC 3984-28069-2 国内盤はWPCS-10357)。オルガンもアンドリュー・リード。同じ人ね。
でもオケなしのせいか、印象がずいぶん違うのね。ボーイソプラノもちょっとばらつき気味。録音データはパヌフニクと1ヶ月しか違わないから、当然メンバーも殆ど同じはずなのにね。
コダーイは良かったけどね。ヤナーチェクはちょっと散漫かな。でも資料的価値という事でゆるしちゃおう。
合唱好きのマスターに薦めたんだけど手に入らなかったって。それはすみませんでしたね。またケースだけでも送りましょうか。

3月1日

GODOWSKY
The Complete Studies
on Chopin's Etudes
Marc-André Hamelin(Pf)
HYPERION/CDA 67411/2
私の行き付けのお店には、この作曲家のマニアがいるようなの。いつ行っても何かしらお勧めコメントが貼ってあって、それを読むのが楽しくて。
この間はジャワ組曲だったわ。これもなかなか面白いんだけど、あまりにもマニアック。ちょっと取り上げるのはためらってしまったの。
さて、今日久し振りにお店に行ったら凄かったわよ。レジ前の1番目立つ所にこれが並んでるの。
私もそれを見て思いきり興奮してしまったわ。何しろ私の大好きなアムランがこれまた大好きなゴドフスキーを弾くんですもの。発売予定は聞いてたから楽しみにしてた人は私だけではなかったみたい。さすがね。
あまりにも難しすぎるためか、全曲盤は今までに2種類しか出てないはず。マッジ(ソラブジ弾いてた人ね)とグランテね。私はそのうちのグランテを持っていて、これも確かにうまいんだけど、アムランはさらにその上。弾きこなすのに精一杯のはずのパッセージが彼の手にかかると何て軽やかに響く事でしょう。
54曲中22曲が左手だけのために書かれてるの。でもこれを聴く限り、どの曲が左手だけで弾かれてるかなんてわからないわね。それほど鮮やかなの。
あとNo.32はポロネーズ、No.34はマズルカ形式で書かれてるんだけど、これがまたすごくいい。完璧なポーランド舞曲に仕上がってるの。ショパン本人が聴いたら嫉妬しちゃいそう。
どの曲も楽しめるけど、なかでもオススメはNo.4748。2曲(3曲)同時に弾くように書かれてる全く想像の域を越えた作品。
もうため息物。まだむ大満足の2枚組でした。

2月28日

THE SIBELIUS EDITION
Symphonies and Orchestral Works
Sir John Barbirolli/Hallé O
EMI/CMS 567299 2
定評ある名盤のリマスター。EMIartね。EMIって「愛媛県みかん工業」ですって?だったらartはなによってマスターに聞いたの。そしたらなんて言ったと思う?「愛知県ラーメン・チャーハン協会」ですってよ。もうわたしついていけないわ。こんなサイトは見切りをつけて、和紀さんのところにでも引っ越そうかしら。
ほんとはね、artというのは「アビー・ロード・テクノロジー」。EMIの有名なアビー・ロード・スタジオで行ったリマスターのことなのよ。
バルビローリ/ハレ管のシベリウスという有無を言わせぬ名演奏とあいまって、昔の録音が信じられないくらいみずみずしく蘇ってこわいくらい。北欧系の演奏家からは絶対聴けないような派手なサウンドね。金管がすごくいいのよ。
ちょっと間違えるとこけおどしの演奏になってしまうんだけど、その一歩手前でとどまってるのがさすがよね。
じつは、この全集は何回にも分けて録音されているのね。1257番が66年で、エンジニアはネヴィル・ボイリング。346番が6970年で、クリストファー・パーカーという人がエンジニア。
で、この二人の録音ポリシーが全然違うみたいなのよ。あるいは時代の流れかもしれないけれど、ボイリングは一つ一つの楽器の音をはっきり録るタイプ。オーボエなんかはまるでコンチェルトみたいなでっかい音像だからびっくりするわね。これに対してパーカーはもっと全体の響きを重視するようになってるみたい。いまは、よっぽどのことがない限り、このタイプでしょうね。ずっと自然だもの。
だから、12番は仕方がないけれど、せめて57番はパーカーが録っててくれてたらって、これはないものねだりね。

2月26日

GUILMANT,WIDOR
Organ Symphony
Ian Tracey(Org)
Y.P.Tortelier/BBC Phil
CHANDOS/CHAN9785
実は私はオルガンの音が大好き。
以前もリストを取り上げたわよね。あの音にぞくぞくしちゃうのね。
だからマーラーの8番とか2番も好きなの。(でも私が仕事中にクレンペラーを聴こうとすると必ず邪魔が入るのよ。ひどいわね。)
まあ、それは置いといて。
フランスのオルガン製作家、アリスティド・カヴァイエ=コル。彼を通じて、フランク、ヴィドール、ギルマンの3人が相次いでオルガンの作品を書いたのは有名な話。このアルバムもその3人の作品を集めた物なのね。
ギルマンのオルガン交響曲というのは、オルガンソナタの編曲ものなんだけど、ヴィドールのはオリジナルのオケ版よ。オルガン独奏のための「交響曲」も有名よね。
以前同じ顔合わせでプーランクとヴィドールとギルマンの曲集が出てたのね。そちらもお気に入りなのよ。
聴いてみたわ。やはり素晴らしいわね。
なかでもヴィドールの3番は天地創造をたたえる賛歌。この荘厳さ、華やかさは、とても言葉では言いあらわせないわ。
ここでオルガンを演奏しているのはイアン・トレーシー。1980年に英国教会大聖堂のオルガニストに最年少で就任した人。
指揮者のトルトリエは今更説明の必要はないわね。あの大チェリストの息子さん。以前出たメシアンがとてもよかったから注目しているの。もうすぐ来日するはずよ。
これ書きながら3回も繰り返して聴いてしまったわ。
そうそう。ライナーに詳しいオルガンの説明も載ってるから、それを見るだけでもためになるわよ。

2月25日

SIBELIUS
Orchestral Works
Uwe Mund/
Kyoto Symphony O
ARTE NOVA/74321 72120
この頃このレーベルにはまってる私。
日本唯一の自治体直営のオケ、京都市交響楽団のシベリウスです。(都響ってのがあるけど、あれは財団法人)
このシベリウス、昨年の定期の演奏曲目だったのだけど、これは改めてセッションで録音した物なのね。
何でもARTE NOVAのディレクターだかプロデューサーのディーター・ムーエトという人と指揮者のウーヴェ・ムントが友達で、「是非スタジオで」という事になったのだとか。さっきまで見てたドラマで「一期一会」なんて言ってたけど、そんな感じなのかしら。
もうすぐスメタナの「わが祖国」もリリースされるし、バルトークの「オケコン」と「中国の不思議な役人」も録音予定なんですって。ちょっと目がはなせないわね。
で、演奏。
指揮者のムントはウィーン生まれ。ウィーン少年合唱団で学び、数々の歌劇場で研鑚を重ねた人。だからまったりとした持ち味が、それこそ京都にピッタリあうのね。なんともはんなりとしたシベリウスですこと。

先日のサラステのシベリウスのような迫力には欠けるけど、(ちょっと金管が弱いのよね。それが残念。)「トゥオネラの白鳥」は美しいし、「悲しきワルツ」の不思議な味わい。そう、音はシベリウスなんだけどちょっとウィーン風。独特な味わいね。
でも全体的に渋いわね。このフィンランデアでは、ちょっとブルース・ウィリスは出てきそうもないわ。(なに言ってんだか)

2月24日

SHOSTAKOVICH/Concerto No. 1
KODÁLY/Sonata for Cello Solo
Pieter Wispelwey(Vc)
CHANNEL CLASSICS/CCS 15398
今日はチェロ。
以前、かのヨーヨー・マが自身の楽器を改造してボッケリーニに挑戦しましたね。(成功した、しないは別にして)今や、時代の様式を考慮する事が演奏家としての必須条件になりつつあるのでしょうか。
で、ウィスペルウェイね。彼はあのアンナー・ビルスマに師事したこともあっ てかモダン楽器、オリジナル楽器その両方で素晴らしい演奏が可能な人。ルトスワフスキやリゲティも得意。そうかと思えばプーランクを弾いてみたり、もちろん斬新なバッハの無伴奏チェロ組曲も忘れてはいけません。
ただ、知名度が低くてね。もっと有名になって欲しいわ。
今作は、お馴染みショスタコーヴィチのチェロ協奏曲1番とコダーイの無伴奏 チェロソナタ。ショスタコの方は、室内楽伴奏ヴァージョン(弦が少ないだけで、編成はフルオケと同じ)なのがユニーク。 終楽章のティンパニの、叩きつけるような音の連なりが衝撃的。もちろんホルンの音も際立ってるわよ。
ウィスペルウェィのチェロは決して大声で叫ぶ事はないんだけど、それが彼の ねらいなんでしょう。わざと控えめに演奏して曲の本質を生かす。そこに高等戦術を感じてしまったわ。以前聴いたアルト・ノラスの素直な演奏と比べると、その差は歴然かな。
コダーイは2度目の録音。これも以前の演奏より自然な流れに終始しているよ うね。最初聞いたときはあまり印象に残らなかったもの。でも繰り返して聴く と良くなってくるのね。この曲聴いて「美しい」なんて思ったのは久し振り。
さて、こうなると次は何を聴かせてくれるのかしら。楽しみね。
ちなみに、使用楽器は1860年製のフランス物だって。(ワインじゃないんだけど)

2月23日

RICHARD STRAUSS
Ein Heldenleben,
Salome(Closing Scene)
Donald Runnicles/NDR SO
TELDEC/3984-23293-2
今日はシュトラウスの英雄の生涯です。
この曲は、ご存知の通りシュトラウスが自分のことを英雄と称して、その生涯を音楽で現したという、とんでもない曲よね。若気の至りと言えばそれまでね。(でもそんな彼だけど、20年後に「小商人の鑑」という歌曲集で、この英雄の主題を使って、それこそ皮肉の固まりのような曲を書いているのよ。ここまでやられるとさすがに何となく憎めないわね。)
それはさておき、この1枚。
指揮者のラニクルズって、レヴァインの代役でメトを振ったり(92年)929395年にはバイロイトでタンホイザーを振ったりと、オペラには精通している人。で、こういう物語性のある曲はうまいであろうと、期待したわ。確かにメリハリもあって楽しく聴けるんだけど、なんとなく荒っぽいのよね。細部が合ってなくてもお構いなしなの。
やっぱり最初の5分が決めての曲。そこがかっこよくなくっちゃね。
あと録音がイマイチ。何となく乾いた音。それも物足りないわ。やっぱりこの曲のベスト盤てカラヤンの最後の録音かな?
でもオペラ指揮者のラニクルズ。サロメの終幕の場面を聴いて見なくちゃ。このところお馴染みのアレッサンドラ・マークがサロメね。
確かに各楽器の歌わせ方とか浮かび上がらせ方はうまいわね。ただ、これも録音のせいか、あまり音が色っぽくないのよね。こう、一度にいろいろな音が溶け合う陶酔感に欠けるのよ。なんだか健康的なサロメ。でも音は本当に砂漠のよう。
ヘンゼルとグレーテルの時の演奏はとても良かったんだけどね。(あっ、そう言えばあの曲に色気は必要無いわね。)
シュトラウスにはとりわけきびしいまだむでした。

2月21日

ILLUMINA
Ligeti/Lux aeterna etc.
Timothy Brown/
The Choir of Clare College, Cambridge
COLLEGIUM/COLCD 125
他誌に先を越されてしまったけど(張り合ってどうする)、とっても素晴らしいCDだから紹介させてね。
タイトルが「イルミナ」。「カルミナ」じゃないわよ。「イカスミ」でもないわね(似てないって)。ラテン語で「光をあてる」っていう意味なんだって。
いろんな時代の光をテーマにしたア・カペラの曲を集めたアルバムなの。
グレゴリオ聖歌から始まって、おととし生誕900年(!)で盛り上がったヒルデガルト・フォン・ビンゲンから、一番新しいのではジョン・ラッターまで、時代も様式も違う作品が18曲。
なんかすごい組み合わせでしょう。一歩間違えば、ごった煮みたいな安っぽいヒーリング物になってしまいそうね。でも違うの。
1曲1曲がとてもていねいに歌い分けられているのね。ラフマニノフの晩祷の深さ。パレストリーナのポリフォニーの隙のなさ。純正な響き。ため息がでちゃうわ。
で、じつは一番のお目当ては、リゲティのルクス・エテルナ。こないだもバーンスタインで書いたばかりだけど、例の「2001年問題」ね。あの映画で使われてた演奏はわりと無機質で、サウンドトラックとしてはぴったりはまっていたとは思うのね。だから曲に対してそんなイメージが出来上がっているんだけど、これはまったく別の表現ね。フォーレのレクイエムのルクス・エテルナに通じる世界。永遠の光に照らされた復活への期待。録音がすごくいいからだけど、まるで光にあたったプリズムみたいに刻一刻変わってゆく色彩感。この曲の別の面を教えてもらった思いで、とてもしあわせよ。
で、ふつう聖歌隊っていうと男の子ばっかしよね。でも、この団体は大人の混声合唱なの。それでいてとても無垢な響き。いいわ〜。
このコレギウムっていうのは、ジョン・ラッターが自分のために作ったレーベルよね。ラッター以外の人が登場したのはね、じつはこの聖歌隊は、彼がむかし指揮してたものだからなの。で、その後任者が、今のブラウンってわけ。

2月20日

CHOPIN
Nocturnes
Valery Afanassiev(Pf)
DENON/COCQ-83295(国内盤)
おまちかね鬼才アファナシエフの新譜です。去年来日した時のライブ録音。
前作のベートーヴェンでも思い切りアファナシエフフ節を聴かせてくれたものですが、今回もやってくれましたね。
最初の1番の作品9−1から独特の世界です。
誰もがひっそりと弾き始めるあのテーマ。それを彼は1音1音叩きつけるように。はっきりいって耳障りです。
収録されてる9曲全てがそんな調子。あのショパンの面影はどこにもありません。
そう、これはあたかも熱の出た時に見る夢の世界。奇妙に歪む周りの景色。遠くの方で聞こえるかすかな音。意識とは裏腹に、思うように動かない手足。
そうそう、そんな時に食べるアイスは普段と違って凶悪な味がするんだっけ。
全曲通して聴くとまるで悪夢を見ている気になりますが、実は結構心地良かったりもします。はまると抜け出せない禁断の夜の音楽とでも言いましょうか。
いつものように、彼自身の書いたライナーも読み応え充分。アファナシエフが何を考え、こんなショパンを構築したか、(もちろん全てを理解するのは不可能ですが、)わかった気になれます。相変わらず自分の世界に入りっぱなしではありますが。
これだけで1時間は楽しめました。
とにかくショパンを聞いてうっとりしたい方にはオススメできない1枚です。
「ああ、聴かなきゃよかった」と後悔する事うけあい。でも私は大好き。
甘いショパンなんて飽き飽きしてる人に。

2月19日

R.STRAUSS
Olympische Hymne u.a.
Hayko Siemens/
Münchner Symphoniker

ARTE NOVA/74321 72107 2
このところ面白い新譜がたくさんあって、端から買っちゃうものだから、さすがのまだむと言えども、少し控えようかなと。
こういう時はNAXOSARTE NOVA。3枚買っても1枚分なのがうれしいわよね。演奏はそれこそ玉石混交。また、それも楽しいのよ。
で、今回はR・シュトラウス。珍しい曲ばかりの1枚よ。ミュンヘンシンフォニカーのライブ録音ね。
第1曲目の「荘重な入場」。これは小澤・VPOで聴いたことがあるわ。あの演奏とははっきり言って比べ物にならないけれど。でも何となくほほえましいのよ。金管が音を外したって許せちゃう。なぜかしら。
祝典前奏曲もベームの名演があるわね。つい比較しちゃうけど、まあいいわ。シュトラウスって確かに金管の人の憧れの対象よね。決まるとすごくかっこいいもの。外すと目立つけどね。
で、このアルバムのメインは合唱曲。とても珍しい録音「ベルリンオリンピックのための賛歌。」これが聴けるのはとてもうれしいわ。
あとは「さすらい人の嵐の歌」と「仕立て屋」。この2曲はプラッソン盤がでてるわね。(そういえば国内盤は「仕立て屋」に別のかっこいい邦題がついてたわ。)もちろんあちらの方が、オケも合唱もソロも水準が高いのだけど、こちらは、なんだか手作りの味がするのね。バリトンが張りきりすぎてたり、合唱がばらけたりもするけど。でも「みんな頑張ってるね。」って応援したくなるのね。
もう少し芳醇な響きが欲しいけど、これは無いものねだり。
結局シュトラウスなら何でもいいんでしょうって?確かにそうかもね。これが愛というものね(うそ)。1000円で買える贅沢な1時間でした。

もっとあります。こっちを見てね。


 TopPage

Enquete