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今日の禁断 | グラミー | ||
![]() 以前、「おやぢの部屋」で、「新しいアルバムが出たのだけど、ショップでは売ってないのでサブスクで聴いた」というようなことを書いていました。それは、ノルウェーの「2L」というマイナーレーベルのアルバムなのですが、そこのアルバムは、サブスク全盛の世の中で、唯一現物を買いたくなるというものなのですよ。それは、基本的に同じ音源をSACDとBD-Aの2枚組で販売しいて、特に、BD-Aの方は、私にとっては世界一と思える極上のサウンドが味わえますからね。 ですから、そのアルバムも、とりあえずはサブスクで聴きましたが、いずれは普通にショップで現物を買おうと思っていたのですよ。でも、そのショップでは、そのアルバムの販売予定さえ明示されていなかったので、なんか不安感がよぎったのですね。 それは、現実のものになりました。ちょっと気になったので、そのレーベルの、日本での代理店のサイトを見てみたら、 ![]() 実は、この案内はすでに3月には出ていたのですね。ただ、その時点では、このサイト自体は依然と変わらない体裁で見ることが出来たので、こんなことになっていたのには全く気付きませんでしたよ。 そして、今度はショップの、そのレーベルの案内を見てみたら、そこからは、最近まではあった今年になってからのアルバムが、ほとんどなくなってしまっていました。おそらく、以前も、代理店に発注という形だったものが、こんなことになったので、もう入荷の見込みが立たなくなってしまったのでしょうね。 この、キングレコードの子会社である代理店は、たとえばスウェーデンのBISとか、フランスのHARMONIA MUNDIといった、マイナー・レーベルの中でもかなり大手のレーベルの日本での窓口でした。ただ、この2つのレーベルに関しては、ショップでは少し先までのアルバムの案内があるので、すでに別の代理店経由で入手できるようになっているのかもしれませんね。もしかしたらNAXOSとか。でも、2Lのような本当に小さなところは、もう日本のショップでは入手できなくなっているのかもしれません。それならそれで、別に直に買えばいいだけのことなのですが、時間がかかりますし、何かと面倒くさいですね。 こんなことが起こるのも、やはりCDのようなフィジカルなメディアの凋落ぶりの影響なのでしょう。もはや、そのようなものを販売しても、利益が生まれないほどの状況になっているのかもしれませんね。 決して安くはないCDなどを買ってみて、それが気に入らなかったとしても、基本的に返品は出来ません。ですから、それを販売するにあたっては、そのCDのすばらしい面を強調するインフォメーションを付けて、購買意欲を持たせるようにしているのでしょう。あるいは、音楽雑誌などでその評価を高めてもらうために、担当のライターを接待したりすることもあるのでしょう。それは、メジャーレーベルでは、日本のブランチの仕事でしょうし、マイナーレーベルでは、この「キングインターナショナル」のような代理店の仕事になってきます。 しかし、サブスクがこれだけ広がった世の中では、そんなでたらめなインフォメーションなどは全く必要がなくなります。自分で聴いてみてつまらなかったと思ったら、別のものを聴けば済むことなのですからね。「レコード芸術」がなくなったのも(それでも、ネット版はまだやってますが)、キングインターナショナルが営業を終了したのも、根っこは一緒なのでしょう。 ![]() |
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Aventure Number : 4053 | date : 2025/4/29 |
今日の禁断 | ライプツィヒ | ||
![]() きのうは、予定通り、バッハの「ヨハネ受難曲/第2稿」を聴いてきました。 ![]() 開演は2時なのですが、好きな席で聴きたいと思ったので、いちおう1時ぐらいに着くように行ってみました。情報では、チケットが売り切れになっていたそうなので、早めに。そうしたら、やはりその時点でもうすでに行列が出来てましたね。しかも、その列の最後には「最後部」という案内板を持った人までがいます。さらに、その列が、普通だとホールの入り口からまっすぐ伸びているものなのですが、昨日は入り口から右側、チラシなどが置いてある壁に沿って列が作られているのですよ。その列は、いつの間にかそのまま壁沿いに伸びていって、そのまま入り口までつながっていましたね。こんなの、初めて見ましたが、確かに合理的な並び方ですね。 そんなに並んでしまったので、予定では1時半に開場だったのですが、15分早く入場が始まりましたね。私は、チケットではなく招待状を頂いていたのですが、特に何も書いてなかったので、そのまま普通の受付に行くと、そこで「招待状の方は、別の窓口に行ってください」と言われてしまいましたよ。 それで、言われるがまま、当日券売り場の窓口に行ってみると、中にいた初老の人が座席表を見せて、そこに書いてある赤線の部分が招待席なので、貼り紙がしてあるから、そこに座って欲しい、というのですね。なるほど、そういうシステムだったのですね。ただ、その部分は確かに良い席なのですが、私にとってはステージに近すぎるので、いつも座っているあたりに座りました。確かに、先ほどの赤線の部分には誰も座っていませんね。というか、そういうところに招待客面して座るのは、絶対嫌ですからね。 開演が近づくと、そこもぼちぼち埋まってきますが、やはり空席はあります。よっぽど、「そこの席、空いてますよ」と言ってやりたかったですね。でも、本当に開演間近になると、団員がやってきてかなり残っていた「貼り紙」を外していましたね。運のいい人は、そのタイミングで「良い席」がゲットできたのでしょう。ちょっとなんだかなあ、とは思いますけど。 プログラムには、対訳が入っていましたね。これは、私の知り合いが作ったもので、なかなか的確な言葉が選ばれている優れものです。でも、私は、コンサートでそういうものを見ながら演奏を聴くという習慣はないので、せっかくなら、これを字幕で見せてほしいと思ったのですが、ステージにはそのような設備はないようでしたね。 演奏家をチェックすると、オーケストラは仙台フィルのコンサートマスターが中心で、仙台フィルのメンバーやOB、そしてエキストラ(ニューフィルに来て下さる方も)などがメンバーでしたね。弦の編成は5.4.3.2.1。フルートはこの合唱団とはいつも一緒にやっているAさん、もう一人は、地元の売れっ子のNさんでした。オーボエ(オーボエ・ダモーレ)は、2人とも初めて聴く方。その他に、ヴィオラ・ダ・ガンバと、通奏低音のファゴット、チェンバロとポジティーフ・オルガンが加わります。オルガンが最前列、というのがユニークですね。ヴィオラ・ダモーレが入る曲は、第2稿では別の曲に差し替えられていたんですね。 客電が落ちると、なんと、ステージの後ろの壁に「ヨハネ受難曲 第2稿」などという文字が浮かび上がりました。ここで対訳を見せてくれるようになっていたのですね。これはすばらしいことです。というか、このホールにこんな設備があったんですね。そういえばサントリーホールでメシアンの「聖フランチェスコ」を聴いた時も、同じようなことをやってましたね。 その対訳は、私の席からはギリギリ判読できる、というサイズでした。それこそ、招待席に座っていれば、もっとよく見えたでしょうね。でも、いいんです。音はここの方がいいですからね。でも、コントラバスは1本しかいないのに、ものすごく響いていましたね。そして、エヴァンゲリストなどのソリストの声も、やはりすごくはっきり聴こえてきます。このホール、オーケストラの音は「異常」(この間のニューフィルの指揮者)なので、私はここではオーケストラはもう聴かないことにしているのですが、こんな特性もあったのですね。 そして、100人の合唱です。これは本当にものすごいサウンドで迫ってきます。これだけいると、もはや、間違いなく主役ですね。実際、オーケストラは木管のソロなど、ちょっと冴えませんでしたね。ですから、この曲の場合、ソリストたちのレシタティーヴォの間に合唱が入ってくるという部分は、字幕のおかげもあってとても充実した気分を味わえました。合唱は、音圧はありますが、表現はとてもコンパクトで的確ですからね。後半でピラトが登場すると、それがさらにレベルアップしてました。 その分、ソリストたちのアリアがいまいちだったのは残念です。中には、プロじゃないだろうというような方もいましたし。 休憩も入れて、トータルで3時間、合唱の方々は大変だったでしょうね。客席でも、コックリされている人が多数見かけられました。 でも、「第2稿」を生で聴けたのは、本当に幸せでした。さらに、普通の稿にあるフィナーレのコラールがアンコールで聴けたのも、うれしかったですね。これがプログラムでネタバレされていなければ、もっと感動していたことでしょう。これはもう、至高の演奏でした。 ![]() |
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Aventure Number : 4052 | date : 2025/4/27 |