今日の禁断 ハンセン


 前回のニルセンの「交響曲第4番」のパート譜の間違いは、単にピッコロのパートをフルートのままにしていたというちょっとした不注意が招いたものでしたが、それ以外にも音そのものが間違っているところも見つけてしまいました。それは、練習番号「18」の2つ前の小節(231小節)から始まるピッコロのトリルの音です。下のスコアの赤枠で囲った部分の後半ですね。
 そこを拡大すると、こうなります。
 このトリルは、上に♯が付いているので、「E-Fis」という全音のトリルです。
 ところが、パート譜ではそれが「E-F」の「半音」のトリルになっています。
 これは、前後の和声などを考えても、「Fis」の方が正しいのは明らかです。ここはこのトリルを吹いているのはピッコロだけなので、間違えたままで吹いたりしたらかなり恥ずかしいことになりそうですね。合奏が始まる前にちゃんとチェックすることが出来て本当によかったな、と思いました。
 でも、これは本当にピッコロだけの音ですから、他の誰とも重なっていないので間違っていても本人は気が付かない可能性もありますよね。もしかしたら、指揮者もそれに気が付かないなんてこともあったかもしれませんから、ちょっと今までの録音を調べてみました。
 最初は、おそらく最も最近のアラン・ギルバートとニューヨーク・フィルが2014年に録音したSACDをチェックしてみました。でも、なんだかこれが「半音」のように聴こえるのですよね。まあ、このオーケストラや指揮者がニルセンを演奏することなどあまりないので、そんなことになってしまったのでしょうかね。
 でも、その他にもカラヤン/ベルリン・フィルとか、メータ/LAフィルなどを聴いてみても、やはり「半音」にしか聴こえないんですよ。カラヤンやメータって、そんなに耳が悪い指揮者だったのでしょうか。
 その謎は、すぐに解けました。私が持っているこの曲のスコアは2000年に出版された最新のニルセン全集による新しい楽譜なのですが、この曲が出版されたのは初演と同じ年、1916年で、その楽譜は今の楽譜と一緒にIMSLPで見ることが出来ます。その初版のスコアでは、しっかりここが「半音」のトリルになっているのですよ。
 今回のニューフィルが使っているのは、この初版を元に作られたパート譜のリプリントであるKALMUS版ですから、間違っていたのは当然だったのですね。新しいパート譜は入手できなかったのでしょうか。
 つまり、カラヤンやメータの時代には、スコアそのものが間違っていたのでそれ以外に演奏のしようが無かったんですね。ニューヨーク・フィルの場合には新しい楽譜はもう出ていましたが、オーケストラのライブラリーにはまだ古いパート譜しかなくて、それを使ったからこうなったのでしょう。指揮者のギルバートも古いスコアしか持っていなかったのか、新しいスコアでも気が付かなかったのか、どちらかなのでしょうね。
 こんな間違いは、他のパートでもたくさんありそうですね。一応前もってスコア(もちろん新版)と見比べて、チェックしておいた方がいいのではないでしょうか。
Aventure Number : 2935 date : 2017/4/22


今日の禁断 クーラウ


 定期演奏会が終わっても、ニューフィルの活動は続きます。今週こそはお休みでしたが来週の火曜日にはもう普通に練習が始まりますからね。そこでやるのが、おそらくほとんどの人が弾いたことがないと思われるニルセンの交響曲ですよ。下手をしたら「弾いたことがない」だけではなく「聴いたことがない」という人さえいるでしょうからね。
 私の場合はさすがに聴いたことはありましたが、もちろん演奏するのは初めてです。ですから、渡されたパート譜をまずはしっかりさらっておかなければいけませんね。その最初の練習の時には、おそらく他の人たちもしっかり譜読みをしてきているはずですからきっと1回で通ってしまうでしょう。そんな中で弾けなくて取り残されるなんて最悪ですからね。
 と思って譜読みを始めてみましたが、私の場合は今回は3番フルートでピッコロ持ち替えというポジションですから、意外と楽。2回ぐらい全部通して吹いてみたらそんなに大変なところはないことが分かってしまいました。この間のニューフィルのエルガーなんかは、いつまで経っても全体像がつかめなくて大変だったのに、こんなに簡単に出来てしまうのは、私のスキルが上がったせいではないはず、本当にあまり「ヘン」なことをやっていないので、きちんと読みさえすればすぐにできるようになってしまうからなのでしょう。ですから、その「きちんと読む」というのが大事なんでしょうね。確かにちょっと変わったシンコペーションとかがありますから、いい加減に数えていたのではいつまでかかってもマスターできないでしょうね。ただ、休みが異常に長いので、それを数えてきちんと入るのがちょっと大変そうな気はします。
 あとは、なにかとっかかりがあると、親しみがわいてやる気になってくることってありますよね。エルガーの時はそれが「ダースベイダーのテーマ」でしたが、今回のニルセンは「そだね〜」です。
 これは1番の譜面ですが、第3楽章(実際は切れ目なく全曲を演奏するようになっています)に相当する部分でフルートがソロで「そだね〜」と言ってますよ。これがもうちょっと先に行くと、
 もう「そだね、そだね、そだね・・・」のオンパレード。ここはちょっといやかも。というか、ピッコロの場合はこういうところはありませんから。
 譜読みが結構進んだので、スコアもちゃんと読んでみようと思って読み始めたら、なんだかピッコロに吹いたことのないような部分があるのに気が付きました。パート譜と見比べると、スコアでは「Piccolo」と指定されているところが、パート譜では「Fl. grande」になっているではありませんか。このパート譜は手書きですから、写譜屋さんが間違えたのですね。早く気が付いてよかったです。あるいは、知らないふりをしてパート譜の通りにフルートを吹いてみて、練習指揮者がそれに気が付くかどうか試す、という手もありますね。やりませんけど。
 ニルセンを演奏する定期では、北欧特集で序曲にはデンマークの作曲家の、これこそ絶対に誰も演奏したことがない曲が決まっています。それも一緒に譜読みをする前に小節番号を入れておこうと、ちゃんと調べてくれた人がいたのでそれを元に数え始めたら、なんだかどう数えてもその資料と合わないところが出てきました。資料では練習記号事の小節番号が書いてあるのですが、その「D」だけが1小節違うんですよね。
 それは、やはりピッコロのパート譜でしたが、2番フルートのパート譜だときちんと資料通りのところにあります。ですから、これも写譜屋さんが記号の場所を間違えたんですね。それだけではなく、1番フルートのパート譜だと、それは30小節近く前に付いてましたよ。長いことオーケストラをやってますが、これほどいい加減なパート譜は初めてです。
Aventure Number : 2934 date : 2017/4/20


禁断ばっくなんばあ

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