由緒正しい アンドレ(Andre) 

アンドレは平民にも関わらず (^_^;) 名前は由緒正しい。名前に関しては歴史が古く、出処は紀元前にまでさかのぼる。 この名は元々ギリシャ語名であり、それは アンドレアス(アンデレ):Andreasであった。
Andreasは ギリシャ語の古語 aner の所有格 andoros から生まれたものである。
aner の意味は現代英語の man つまり “男性” であり、
andoros は 強い、生命力がある、繁殖力がある を意味し、
現代英語のmanly “男らしい、雄々しい、勇ましい、”と同じことを意味する。

  フランス語 英 語 ドイツ語 イタリア語 ロシア語
男性名 Andre
(Andres)
Andrew
(Anderson)
Andreas Andrea Andrej
女性名 Andree Andrea - Andrea -

右表のように言語によって変化するが、名前の持つ意味から考えると皆同じ名前である。表の( )の名前はAndre と同じ意味を持つ名前である。
また、アンドレは男性名ではなく女性名としても使用される事もある。女性名の場合は “勇ましい女性、強い女性” みたいな意味になるのだろうか?

mark おまけ:昇天の祝日
聖人の命日を昇天の祝日という。
名前をもらった聖人の祝日には自分の誕生日のようにお祝いする習慣まであるとか。
現在も聖人カレンダーなる物が存在し、それには毎日一人もしくは複数の聖人の命日が書かれている。
アンドレの名を持つ聖人が3名ほど分かったので彼らの昇天の祝日を記す。

■聖アンデレ
12使徒の1人。スコットランドとロシアの守護聖人でもある。昇天の祝日は11月30日

■聖アンドレア・アヴェリーノ
テアティノ修道院を設立した16世紀のナポリの司祭。昇天の祝日は11月10日

■聖アンドレ・ボボラ
ギリシァ正教とローマ教会を和解させようとして殉教した17世紀ポーランドのイエズス会士。昇天の祝日は5月16日

 さて、アンドレが生きていた当時のフランスの国教は、カトリックである。
カトリック圏の国では、宗教的な意味合いから聖人(キリスト教の殉教者やキリスト教に尽くした人物)から名前を貰わねばならない時代もあったらしい。
当時のフランスでもやはり好き勝手に名前をつけることは許されておらず、多くの場合聖人の名前から名付けられていたようだ。
(フランス革命後、一時期名前の自由化がなされたが、しばらくして廃止。フランスでは比較的近年まで人名名簿なるものの中から名付けなければならなかったそうだ)
ということは、アンドレも聖人にあやかって名づけられた可能性が大である。

 アンドレの名前を持つ聖人で最も有名な人物、それは聖書に登場する 聖人Andreas:アンデレ(又はアンドレアス、アンドレ、アンドリュー)である。
聖アンデレは、イエス・キリストの12使徒の1人。元は漁師であったが、兄弟のペトロと共にイエス・キリストの最初の弟子となった。そして、キリストの死後も布教活動を続け最後には十字架にかけられ殉教した。その為彼のイメージは、信念を貫くたくましい男というのが一般的である。
アンドレの両親は生まれてきた息子に 聖アンドレのように “信念を貫くたくましい人になって欲しい” と願って名付けたのかもしれない。もしそうならば、これはあまりにも暗示的である。
アンドレは宗教には殉じなかったが、愛に殉じる(^_^;)ことになったのだから・・・・。
彼は自分の名にふさわしい生き方をしたのかもしれない。

|backnext |